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第4期認証評価に向けた論点と課題のメモ

大学は7年1回認証評価を受審する必要ががあります。根拠となる法令は学校教育法109条ですね(下記、該当箇所)

第百九条 大学は、その教育研究水準の向上に資するため、文部科学大臣の定めるところにより、当該大学の教育及び研究、組織及び運営並びに施設及び設備(次項及び第五項において「教育研究等」という。)の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するものとする。
② 大学は、前項の措置に加え、当該大学の教育研究等の総合的な状況について、政令で定める期間ごとに、文部科学大臣の認証を受けた者(以下「認証評価機関」という。)による評価(以下「認証評価」という。)を受けるものとする。ただし、認証評価機関が存在しない場合その他特別の事由がある場合であつて、文部科学大臣の定める措置を講じているときは、この限りでない。

また認証評価で何をみるかは、学校教育法第百十条第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令を参照してください。

さて、この認証評価ですが7年ごとに受審するため、第○期あるいは第○クールともよばれ、2022年は第3期となっており、2025年から第4期となります。

認証評価は前年度に認証評価の自己点検・評価を行いますので、第4期の認証評価の準備は2024年より前からとなります。

この認証評価ですが、第1期は自己点検・評価の実施、第2期は内部質保証の体制、第3期は内部質保証の有効性が見られてきました。それでは第4期はどのようになるでしょうか。

本記事では、公開されている文科省や各種団体等の第4期に向けた記述内容をメモとしてまとめています。

国からでている答申や文書について

まず国から出ている答申などから認証評価についての記述をみていきます。

2040年に向けた高等教育のグランドデザイン答申(H30.11.26)

グランドデザイン答申では教育の質保証システムの確立の中で下記のように書かれています。

設置計画履行状況等調査及び認証評価については、教育の実質的な改善を促すために、設置計画履行状況等調査における指摘事項及びその後の改善に向けた対応状況や認証評価の結果を踏まえ文部科学大臣が認めた大学における法令違反について、資源配分への反映や学校教育法第15 条に基づく改善勧告、変更命令等の段階的措置を行うことを検討する。
○ 加えて、認証評価については、現在法科大学院の認証評価のみが対象となっている大学評価基準に適合しているか否かの認定を行うことを認証評価機関に義務付けた上で、適合しているとの認定を受けられなかった大学については、教育研究活動の状況について文部科学大臣へ報告又は資料を提出することを求めることとする。
○ また、認証評価の結果に応じて、受審期間を一時的に長くしたり、短くしたりすることを検討する。

ここで重要なのは認証評価は大学の質保証システムの一つであるという点です。よく認証評価は、とりあえずその期間だけしのげればいいというような考えの人も聞きますが、認証評価は事後チェック機能を持った質保証のファクターであるという点は理解が必要です。

さて、グランドデザイン答申では認証評価は結果に応じた対応などが記載されております。結果におうじて、柔軟な対応が想定されますね。

<参考・関連記事>

www.daigaku23.com

質保証システム部会新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について(審議まとめ) 」R4.3.18

続いて中教審 質保証システム部会の審議まとめです。この審議まとめでは認証評価について多くの指摘・記述があります。まずは質保証の文脈の中に記載されているものです。(下線は筆者)

P9
「学修者本位の大学教育の実現」の観点からは、教学マネジメントが適切に行われていることなど、個々の学位プログラム単位で内部質保証が機能していることが求められる。そのためには、各大学において学位プログラム毎に適切な情報が公表され、認証評価の際に、各大学で学位プログラムごとに学修成果が把握されていることや研究成果を継続的に生み出すための環境整備等「教育研究の質」が適切に確認されていることも求められよう。

P10

認証評価についても、認証評価機関によって 評価結果や評価水準の差があるという指摘がある中、より評価の客観性を高め、国際通用性のある仕組みへと充実させていくことが求められる

質保証システムは、常に変化し続ける社会 に対応するための柔軟性を確保する必要がある。例えば、時代の変遷に対応した教育研究組織を容易に編制可能とするよう、最低限の水準を厳格に担保しつつ大学設置基準の柔軟な運用を可能とすることや内部質保証の体制・取組が優れている大学に対しては認証評価の負担を軽減するといった弾力的な取扱いを可能とし、大学の創意工夫を促していくことが必要であろう。

認証評価機関によって差があるというのはその通り、神戸大学の高田英一先生の論考(「内部質保証の現状と課題― 認証評価の評価結果の比較を中心に ― 」第11回大学情報・機関調査研究会論文集 92-95 2022年11月)やそこに記載されている参考・引用文献などで触れることができます。

またこの審議まとめでは認証評価の章があり、そこを全部は引用できませんので、気になる部分のみ、下記に記します。

P20~

認証評価制度の改善・充実の方向性
【学修者本位の大学教育の実現】
○内部質保証について、自己点検評価の体制が整っているかだけでなく、自己点検評価結果により、どう改善されたかを評価し公表する形へと充実する。<通知等>

      〜略〜

【先導性・先進性の確保(柔軟性の向上)】
○認証評価で内部質保証の体制・取組が特に優れていることが認定された大学に対しては、次回の評価においてその体制・取組が維持・向上されていることを確認しつつ、評価項目や評価手法を簡素化するなど弾力的な措置を可能とする。<通知等>
○法令適合性等について適切な情報公表を行っている大学に対して、法令適合性等に関する評価項目や評価手法を簡素化するなどの措置を可能とする。<通知等>
○分野別評価と機関別評価のサイクルが異なること等に伴う大学の受審負担を軽減する仕組みや分野別評価の合理化の在り方について、認証評価の実施状況や受審大学の状況も踏まえ引き続き検討する。<その他>

【厳格性の担保】

○不適合の大学については受審期間を短縮化(例:3年)する。<政令改正>

内容としてはグランドデザイン答申での記載を具体化したものが多いですね。なお、自己点検・評価結果については公表が求めれていますが、調べると公表していない、あるいはホームページの奥底にあり、中々見られないようにしている大学もあります。

中央教育審議会大学分科会大学振興部会(第7回)会議資料

大学振興部会において、出口における質保証の資料がありますが、ここに認証評価は下記のように記載されています。

P6

今後、質保証システム部会審議まとめも踏まえて、大学評価基準に定められる認証評価を行うべき事項として「学修成果の把握や評価に関すること」を追加するとともに、認証評価の第4サイクルにおいて、ゼミや卒業論文等、高学年次におけるディプロマ・ポリシーに定める資質・能力を総合的・客観的に評価する科目に関する取組状況が適切に評価されるよう各認証評価機関に促すことが必要である。

第4期認証評価と示したうえで、ゼミや卒論、あるいはキャップストーン科目でしょうか、このあたりの取り組みを評価されるようにとでています。例えば教育課程上では同じゼミの科目でも、ゼミごとで評価が違う場合はどのように見られるかは分かりませんし、それとも共通の評価が出来ているかといったことも問われるような気がします。

(卒論できているから、学生は知識や能力が身についている、ゼミではどんな能力や知識も涵養できるではなく、それを具体的に示し、可視化する必要があると言われるかもしれません)

この箇所は大学設置基準改正で基幹教員制度を適用するに際に検討する必要がある主要授業科目にゼミや卒論をあてる場合とも関連がありますね。

各発行物・冊子等での取扱い

ここでは文科省以外での企業や各種団体からでている発行物で取り上げられているものをまとめます。

進研アド「Between」みんなで進めよう!学生のための内部質保証(2022年No.305)

この特集では、大学基準協会と高等教育評価機構から第4期に向けた課題が示されています。詳細は冊子をご覧ください。

between.shinken-ad.co.jp

まず大学基準協会の課題として下記の3点です。

  1. 学修成果を基軸に据えた内部質保証の重視とその実質化を行う評価
  2. 大学の取り組みの有効性・達成度を重視する評価
  3. オンライン教育の動向を踏まえた評価

1つめは、内部質保証システムにおいて、学修成果を適切に自己点検・評価に用いて、それをベースとして改善を図っているかということですね。例えば自己点検・評価で、学位プログラムごとに行い、その場合は主観的な作文ではなく、可視化された学修成果をもとにきちんと点検・評価を実施することが問われるのではないでしょうか。

2つめについては、令和3年に報告書がでた「達成度評価のあり方に関する調査研究」の報告書をまず読んでおく必要があると思っています。

また評価方法についても言及されており、学生の意見を取り入れた評価や特色ある教育の評価なども実施するそうです。学生については、今まで実地調査の中で学生インタビューが行われておりましたが、わざわざこう書くということは別の手法がとられるのかもしれません。

続いて高等教育評価機構です。

こちらは自己点検・評価委員会への学生の参画や、点検・評価サイクル(重点な点検項目は毎年、それ以外は2〜3年)や評価の効率化や負担軽減が示されています。

(筆者の大学は自己点検・評価サイクルは上記のように分野ごとに毎年・2〜3年に1回と定めた運用をしています)

<参考記事>

www.daigaku23.com

大学基準協会「達成度評価のあり方に関する調査研究」

学習成果の可視化などの提言が記載されています。特に報告書のP276~からは評価基準を理解するうえでの手助けとなります。また第4期認証評価の方向性について、P305から記載されており、下記が示されています。

  1. 学習成果に基軸を置いた内部質保証の実質化
  2. 大学の特色ある取り組みの進展に寄与する評価の強化
  3. 評価の負担の軽減化

第4期認証評価受審に向けて

2022年に入ると、第4期認証評価の話題をちらほら聞くようになりました。そこに向けてやるのは、学修成果をきちんとはかること、それを活用して、常に改善を組織的に行うこと(それを記録に残すこと→自己点検・評価にそのままつながる)でしょう。

認証評価は情報戦でもあります。いろんな情報が公表されしだい、この記事に追記したいと思います。