大学の授業はセメスターであれば90分15週ですね。私がまだ学生のころは13週目ぐらいで授業が終わってしまうとか、補講もなしとかがあり、前期は4月〜7月、後期は9月下旬〜1月中旬といったことがあったと記憶しています。
しかし、15週の中に試験を含めてはいけないと明確化されたことや私学だと入試の前に授業を終わらせないと行けないことも鑑みると8月上旬まで授業期間、後期は9月中旬からと昔のように大学生は夏休みは長いとは言えなくなりました。
近年、大学は工夫しているのが、授業時間を100分あるいは105分として授業期間を短くすることです。
100分授業あるいは105分授業のメリット・デメリット
授業期間が短くなることで学生や大学は半期で1週〜2週の余裕が生まれます。このことにより、長期期間中に行う留学や資格関係の実習など、余裕をもってすることができます。
一方、授業時間が90分から長くなることで集中力の低下や(学生や教員)の疲労といった課題もありますし、時間割も5時限が終わるのが遅くなるといったスケジュールの課題もでてきます。スケジュールについては、9時から1時限がスタートだったのが8:45からスタートする大学もありますし、昼休みも短くなる可能性がありますので大学の方で工夫が必要です。
また横山(2021)はSNSから100分・105分の授業に関する内容分析を行い、学生にはネガティブな意見があること、身体的な苦痛、集中力の継続といった悩みがあると分析をしています。
また100分授業や105分授業の事例は大学時報 No.390に特集が組まれていますので、参考になります。
100分授業や105分授業の根拠や考え方
それでは100分授業や105分授業についてはどのような根拠を示せばいいのでしょうか。
まずは昔の大学設置基準の規定からみていきます。
2013年に改正された大学設置基準では授業期間について下記のように規定されました。
(各授業科目の授業期間)
第二十三条 各授業科目の授業は、十週又は十五週にわたる期間を単位として行うものとする。ただし、教育上必要があり、かつ、十分な教育効果をあげることができると認められる場合は、この限りではない
この授業期間がある意味柔軟化されたことにより、1回90分を2時間だから15回で30時間の学習とみなしていた慣行から、90分×15回=1,350分の授業時間がとれればいいんじゃね?となったわけです。
そうすると1,350分だと、100分授業の場合は14回だと1,400分あるので多い分にはOKだろうということになるわけですね。
なお、令和4年からの改正大学設置基準には下記のようになっています。
(各授業科目の授業期間)
第二十三条 各授業科目の授業は、十分な教育効果を上げることができるよう、八週、十週、十五週その他の大学が定める適切な期間を単位として行うものとする。
<参考過去記事>
実際に授業時間と回数を表にすると下記のようになります。(表1)
表1 授業時間と授業回数
授業回数が15回の場合は、100分授業は14回、105分授業だと13回でいけますが、8回授業(例:1単位で事前事後学習は計15時間)を想定すると100分授業も105分授業も回数が7回になる計算になります。
学部学科によっては1単位の授業もあったりするので、時間割と授業週数がうまくいくように検討する必要がありそうです。
終わりに
実際、数年前の大学が100分授業にした際に、本学の教員が非常勤教員をやっていたのですが、最初はかなり(100分は厳密には求めませんみたいな)緩い運用をしていたと聞いています。
また授業週数が減るので、授業回で非常勤教員に手当を払っている大学は支払い関連の見直しもしないといけなそうですね。
参考文献
仲井 邦佳(2016)「大学の単位制度と学年暦 : 「1単位=45時間」と「1科目=1350分説(15週論)立命館産業社会論集 51 (4), 1-11, 2016-03
横山文人(2021)「100/105分授業時間変更への大学生の反応に関する内容分析」ホスピタリティ・マネジメント / 亜細亜大学経営学部編集委員会 編 11 (1), 13-20, 2021