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設置計画履行状況等報告の過去数年の指摘事項の特徴と整理について

大学は学部学科等を設置認可や届出によってつくると、原則は完成年度まで設置計画履行状況等報告書(以後「履行状況」)を提出する必要があります。

いわゆるアフターケアというもので、設置認可・届出時に国や社会に対して約束した教育が適切に行われているかをみるもので、大学の質保証システムの1つでもあります。

図表1‐1‐8 我が国の大学の質保証のイメージ図

出典:特集1 2040年に向けた高等教育のグランドデザイン:文部科学省

この履行状況は5月に提出し、書面調査必要に応じて面接や実地調査が行われ、3月に結果が発表されます。

結果は何もつかなければOKなのですが、指摘事項(法律違反・是正・改善)がつくことがあります。そこで指摘事項について2023年度から過去5年にどのような指摘事項がついているかをまとめてみました。

指摘事項是正について

是正がつくとかなりまずいなという印象があり、指摘されているのは①定員管理、②教員組織、③科目、④カリキュラムといったものが指摘されています。なお2023年度の履行状況の是正は、収容定員の充足率のみでした

①定員管理
ⅰ)充足率が低い
 ・0.13~0.22倍
 ・前年からの指摘から改善策の検討がされていない(しない合理的な理由もない)
 ・教育内容のさらなる充実を図ること
 ・学生確保の改善策を講じること
 ・長期的な学生確保を客観的根拠に基づき分析して改善すること

ⅱ)コースとしているが、計画で定めている配属学生数を遵守すること
ⅲ)充足率が高い
 ・例:1.97~2.74倍

②教員組織
ⅰ)助手の不足
 ・人数の不足
 ・指導能力の担保ができていない(FDSDの実施)
 ・教員組織の適正化

ⅱ)教員の不足
 ・設置計画から減少しているのに補充が検討されていない
 ・就任辞退や辞任が多く、原因分析や改善策が十分ではない

③科目
ⅰ)ある科目のシラバスの授業計画について、各回の授業を担当する教員を明らかにすること
 ・授業内容の違いがわかるようにすること
ⅱ)科目のシラバスで達成目標に対応する授業内容を講義概要などに明示すること
ⅲ)目的にあった実習先の確保をすること

④カリキュラム
ⅰ)実習で科目が受けられないなどが内容に体系的な学びをするような教育課程にすること

指摘事項改善について

•    教員数が計画時より減少
•    定年規定の趣旨を踏まえた教員配置
•    入学定員未充足
•    教員の就任辞退が多い
•    教員の指導体制の充実と細やかな履修指導
•    入学定員超過
•    成績評価の学生からの不服申し立て制度が適切に周知されていない
•    退学者が多い(授業料が未納、除籍が多い)
•    プログラミング教育で初歩的な知識や教材への理解が足りていない学生が散見される
•    キャリア科目で就職支援に関する内容が散見され、科目の到達目標の生涯にわたるキャリア形成に必要な意欲・態度を身につけることとは整合しない
•    単位認定を行う外部試験について、一部に大学教育に相当する水準とは言えないものが含まれている
•    看護実習におけるカンファレンス欠席の場合の記録閲覧に関する個人情報の取り扱い
•    カリキュラムポリシーに学習方法や学習成果のあり方が明確ではない.ガイドラインを参考にすること
•    養成する人材像と3つの方針が対応できていない
•    教員数が設置計画より減少し、一部の教員に過度な負担を生じている.

指摘事項マップについて

上記の記事を書く上でまとめたマインドマップが下記となります。

右側が是正、左側が改善です。