大学職員になって中堅といえる立場の自分ですが、比較的業務や自己啓発で様々な本を読んでいるほうだと思います。
そこで今回は新人から中堅の大学職員の人には、ぜひ個人の机の上、身の回りや部署に是非に置いておいて欲しい本をまとめました。基本的な知識等を学ぶための書籍ですのでどの部署にいてもこれらの本は必要になるかと思います。
なお、他大学の事例本などは公開情報などからでも取れるものも多いので、自分はあまりおすすめしません。 頭でっかちになるためではなく、地に足をつけて仕事をするために参考になりそうな本を紹介します。
- 大学の組織や運営に関する入門本
- 大学や法人の歴史や建学の精神について書かれている本・冊子等
- 教育六法(もしくは教育小六法)
- 教学に関する本
- 大学のデータの定義や指標
- 大学経営等に関する本
- 図表作成に関する本、エクセル等の使い方の本
- 文書や校正に関する本
- 大学の規定と法政執務
- 若手大学職員や大学職員になりたい人向けの必携本
- 会計関連に関する本
- 終わりに
大学の組織や運営に関する入門本
2019年に大学SD講座として「大学の組織と運営」が発売されました。大学の基本的な特徴や大学を取り巻く環境、歴史や伝統、制度などわかりやすく説明されています。対象としては若手大学職員や大学職員になりたい人向けだと感じます。(中堅以上は既に知っている事も多いかと思います)
またこの本は「大学業務の実践方法(大学SD講座3)」があります。こちらは、大学職員の業務の特徴や心構え、どの職員にも共通する業務(文書やコミュニケーション、法令や学内規則)などが網羅的にまとめられています。
大学職員の心構えに関する書籍や文書は、年配職員の自伝や身の上話、自慢話を絡めたものが多いですが、この本はそういうものがない、新卒大学職員1年目&上司や先輩に恵まれていない人には良い本ですね。
大学や法人の歴史や建学の精神について書かれている本・冊子等
大学によっては、大学の歴史や建学の精神について本にしたり、パンフレットにしているかと思います。おそらく採用試験の選考の時に、ホームページとかで建学の精神について勉強をしているかと思いますが、大学職員になった後にも、その大学で働く上では必ず理解はしておく事が必要です。
おそらく各大学の図書館にあったり、周年事業などで配布されたりする事も多いです。
特に学部学科の設置事務担当や補助金申請担当になったら、そこから文章を引用することがあるかと思います。(大学によっては、学生に配布する手引きにも載ってますね)
教育六法(もしくは教育小六法)
法令は、e-Gov法令検索で見ることはできるのですが、解説などが必要な場合は教育小六法はあったほうがよいかなと思います。またどの部署でも、最低限、学校教育法と大学設置基準は最低限読んでおく必要があります。例えば、必要な校舎面積の計算や学部学科や大学全体の教員数の計算ができると、総務や学部学科等の設置申請で非常に役立ちます。自分は新しい部下には経費購入で必ず教育小六法を1冊渡しています。
教学に関する本
教学に関する本もたくさんありますが、実務的な本がいいかと思います。もう出版されてだいぶ経っていますが、分かりやすいのはこれですね。 教学や教務に関する本はこちらが決定版といっていいかと思います。
- 作者: 中井俊樹,上西浩司
- 出版社/メーカー: 玉川大学出版部
- 発売日: 2012/03/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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また2021年度に出たこの本は高等教育に関わることについて、キーワードごとに詳細に書かれているので非常にわかりやすい本です。イメージ的にはちょっと詳細な用語集ですね。
この他に大学用語集が昔はあったのですが今は絶版となっています。あと例えば単位制度などの原理原則を理解する上では舘先生の本は役に立つと思います。
大学のデータの定義や指標
大学のデータの定義や指標については、この本が一番です。
大学IRスタンダード指標集 ―教育質保証から財務まで― (高等教育シリーズ)
- 作者: 関東地区IR研究会,松田岳士,森雅生,相生芳晴,姉川恭子
- 出版社/メーカー: 玉川大学出版部
- 発売日: 2017/03/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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また仕事の中でデータをいじる際はデータ解釈学入門などは分かりやすかったです。
大学経営等に関する本
東京大学の大学経営・政策コースから出ている大学経営について書かれた本です。初学者でも非常に分かりやすく書かれています。
図表作成に関する本、エクセル等の使い方の本
エクセルは言うまでもなく、図表を分かりやすく作成できる人は(自分も含めて)あまり周りにはいないと思っています。
大学は文書が基本ですが、企画系・広報・募集等は図表の本は役に立ちます。ポイントを押さえるだけで見易さや見栄えが違いますよね。
- 作者: ドナ・ウォン,村井瑞枝
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2011/04/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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グラフをつくる前に読む本 一瞬で伝わる表現はどのように生まれたのか
- 作者: 松本健太郎
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2017/09/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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文書や校正に関する本
また大学職員は文章を書く仕事も多いです。これは役職がついたり、上にいけばいくほど文章を書くスキルが求められます。 また公用文の書き方もぜひ押さえておきましょう。特に公用文はルールが70年ぶりに改訂されました。
- 作者: 日本エディタースクール
- 出版社/メーカー: 日本エディタースクール出版部
- 発売日: 2012/03/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 日本エディタースクール
- 出版社/メーカー: 日本エディタースクール出版部
- 発売日: 2011/06/01
- メディア: 単行本
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大学の規定と法政執務
大学は規程をもとに動いています。その規程を理解する為には法政執務の本があると非常に役立ちます。特に自分は法学を大学で学んでこなかったので、この本を参照する事が多いです。
- 作者: ぎょうせい法制執務研究会
- 出版社/メーカー: ぎょうせい
- 発売日: 2013/01/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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若手大学職員や大学職員になりたい人向けの必携本
内容自体は調べれば分かることなのですが、コンパクトにまとまっていることにこの本の価値はあるかと思います。
そしてこの本の不思議な所はバックナンバーが妙に高額で販売されている事ですね。
会計関連に関する本
会計関連はOJTで学ぶこともありますが、基礎的な本は手元にあると何かあった時に助かります。
またこちらは、一問一答形式で分かりやすく解説がされています。(ただし網羅的・基礎的な本ではないので、何かしらの会計関連の本の補強として準備しましょう)
終わりに
部署によって必要な本は様々なだと思いますが、これぐらいあるといいかなと思っています。出来れば個人負担ではなく、仕事の不可欠の本もありますので、本人に負担のないように出来るといいなと思っています(私もまだ半分ぐらいしか、経費で買って部下に渡せてないです) もちろんこれ以外にも、自学の履修の手引きとか、規程集とかもあります。
(2022年4月30日更新)