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2023年度認証評価:大学基準協会の指摘事項のまとめ

大学が7年に1回受審しないといけない認証評価は、大学については今は5つの評価機関があります。そのうちの一つである大学基準協会の2023年度の受審大学の評価結果報告書を全て確認し、指摘事項(長所・改善・是正)について、とりまとめを行いました。

なお、大学院大学は除いてるのと、学生支援や社会連携などは長所が多く全てを取り上げてはいません。

www.juaa.or.jp

1.理念目的

改善

  • 理念等を実現していく中長期計画を策定していない

2.内部質保証

長所

  • 教職員からの意見聴取した内容を取り上げ、顕在化していない課題を取り上げている
  • 自己点検・評価レポートへの複数買いに渡るフィードバック
  • 外部評価による未来指向型の評価
  • 各小委員会での各部局の点検・評価結果の共有や相互の助言や支援

是正

  • 大学による自主的かつ定期的な点検・評価はこれまで十分に実施していない
  • 各部局の点検・評価や改善・向上の取組も大学として把握していない
  • 規程にはない組織が教育改善や新たな取り組みを実施し、改善支援は行っていない
  • 点検評価項目及び評価指標が策定されていない

改善

  • 年度計画の内容及び点検・評価を行う際の評価指標や基準は各部局の裁量である。
  • 全学としての教育研究活動全般を点検・評価し、改善・向上に向けた今後の方向等を検討していない
  • 内部質保証と自己点検・評価を担う委員会がそれぞれあるが役割が重複し、役割分担が不明瞭
  • 内部質保証や自己点検・評価の委員会はあるが、同時に兼ねて開催している
  • 内部質保証を担う委員会が改善支援を行っていない
  • 改善が各部局に委ねている。
  • 附置研究所や事務局の活動の適切性は点検・評価の対象にしていない
  • 課題解決の方向性を明確に策定する必要がある
  • 学長から学内の情勢の委員会等への改善に向けたフィードバックや支援を行う方法が確立されていない   

3.教育研究組織

長所

  • 計画に基づき、各種プログラムの実施や次世代社会に対応する教育研究を実施している

4.教育課程・学習成果

長所

  • 医療系:他職種連携に必要なコミュニケーションに必要なルーブリックの導入やその他の取組で医療現場のニーズに応じた高い能力を有する人材輩出に向けて発展的に教育課程等を充実させている。
  • 社会・地域ニーズに応える教員養成機関としての取組
  • 公開履歴書ステムの導入(学生の学び・経験のエビデンスの就職先等への提供)
  • 学習成果の可視化を踏まえて新たなカリキュラムの設計
  • 学習成果の把握・評価を行った上で、アセスメント結果を活用し、授業設計や運営方針の見直しなど具体的な改善につなげている
  • 多角的な学習成果の測定に取り組んでいる
  • 企業と連携した人材育成プログラムでの取組
  • 少人数授業のグローバル教育の取組
  • 各学部の開講科目と「全学連携教育機構」が開講する演習科目による5つの教育プログラム(「環境・社会・ガバナンス」「ジャーナリズム」「国際協力」「スポーツ・健康科学」「地域・公共マネジメント」)で構成する「ファカルティリンケージ・プログラム」(FLP)を展開しており、建学の精神に沿った実学志向の取り組みとなっている。
  • 大学の理念と教育の取組
  • 低学年次から医師として患者に寄り添う姿勢や診療に要するコミュニケーション能力を高めるとともに、医師としてのロールモデルを学ぶ機会となっている
  • 初年次でのキャリアプラン構築や寮生活を通じた自主的な学びを強化すべく、「工学スタートアップセミナー」や1年次及び3年次に「学外実習」を開設し、プログラムを改善・発展させており、知識・技術力、チャレンジ精神、コミュニケーション力、応用力等の「創造性」を涵養していることは、評価できる。

是正

大学院
  • 研究指導計画、研究指導の方法およびスケジュールを定めていない
  • 「文化・教育・研究・社会貢献支援実践活動」(1科目2単位又は4単位、4年間で最大 16 単位)では、授業内容が部活動やサークル活動への参加となっているが、その活動自体は正課外に位置づけられる部活動等に対して、体系的な事前・事後学習等がなくそのまま単位を認定することは適切ではないため、科目のあり方を見直すよう、是正されたい。

改善

大学院
  • 博士後期課程で学位にふさわしい学習成果を示していない
  • 教育課程の実施方針に関する基本的な考えを具体的に示していない
  • 前期・後期課程で学位授与方針や教育課程の編成方針を学位ごとに設定していない
  • 学習成果とDPの連関性が明確ではない
  • 修士論文相当の成果物をルーブリックで評価しているが、学位授与の方針との関連が不明瞭
  • 修士論文と課題研究論文の審査基準が同一

学部

○学習成果

  • DPに沿った学習成果の把握・評価として十分ではない

○CAP制度

  • CAP制度はあるが、教職等の資格に関わる科目を履修する場合、成績優秀者には上限をこえて履修可能だが、これが相当数の学生がいる
  • 一部の学年で上限を設定していない
  • 上限を超えて履修している学生の学習実態を踏まえた指導を行う体制になっていない
  • 4年生や編入生は除外としている
  • 1年間に履修登録できる単位数の上限が設定されているものの、「随意科目」並びに各学部で定められた教育職員免許状及び諸資格取得に係わる科目のうち卒業所要単位に含まれない授業科目については上限を超えて履修登録することを認めている。→単位の実質化になっていない
  • 教育課程編成の実施方針に教育課程の実施に関する基本的な考えを示していない

5.学生の受入

長所

  • 働きながら学ぶことに意欲を持ちつつも、経済的な事情等により大学進学に不安を抱えている入学者を支援するため
  • 優秀な大学院学生を対象に、「特任助手(任期付)」として雇用し、学生の身分を有したまま研究者として従事することで研究者としてのキャリア形成を支援する「若手研究者育成支援制度」を導入

是正

  • 学生の受入方針について研究科で学位課程ごとに方針を定めていない

改善

  • 大学院:講座によっては試験日より前に面接を実施するなど専攻主科目の筆記試験及び面接の時期や方法が統一的に行われておらず、組織的な取り組みとしては十分ではないため、改善することが求められる。
  • 定員関連は学生数に関するものなので省略(指摘される数値基準は、大学基準協会の資料を参照)    

6.教員・教員組織

改善

  • 教育改善以外の研究活動の活性化や社会貢献等の諸活動の推進を図ることを目的としたFDA活動を実施していない
  • 大学院固有のFDが行われていない

7.学生支援

長所(一部紹介)

  • クラスアドバイザー
  • 学生スタッフの活用(ピアサポート)
  • 学生相談等の対応を一元化して統括する組織として「ウェルネスセンター」を設置し、カウンセラーや医師等専門家と教職員が連携しながら個別の学生の事情に考慮した相談や支援ができる体制を整え、英語や中国語でも相談に応じている。
  • 学生がチューターとなり、個別面談等を通じて新入生の相談に対応する「学生チューター制度」を設け、新入生の円滑な大学生活のサポートをすることで、生活に悩みを抱える学生の減少に寄与している。    

8.教育研究等環境

長所

  • チーム医療に貢献する医療従事者の人材育成拠点として期待できるとともに、2024 年を目途に当該施設を附属病院、看護学部棟及び医学部棟の中心に位置づけ各施設と接続することを予定するなど、大学の学部構成を活用して効果的な教育を実施するためのキャンパス整備を行っている
  • 学生の多様なニーズに応える居場所を創出
  • 健康長寿社会に貢献する口腔科学の先端的な研究として「顎骨疾患プロジェクト」を展開し、外部資金に採択され、その助成が終了した後も大学としてプロジェクトを継続し、講座を越えた異分野連携・共同研究や卒業生からの臨床課題の提供による研究連携の推進によって、教員の研究論文の質の向上や外部資金の採択件数の増加につながっている。

改善

  • 教員の研究時間の確保に向けた制度や仕組みが十分に整備されていない
  • TAの適切な研修の実施

9.社会貢献

長所 (大学特色が強いので省略)

10-1.大学運営

  • 教職協同での研究から課題解決を実施。職種や部署の垣根を越えた組織力の向上・強化に寄与