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大学基準協会 2019(令和元)年度大学評価(認証評価)の指摘事項の概要や特徴について

2018年度から内部質保証の有効性が問われる第3期の認証評価の2年目となる2019(令和元)年度大学評価結果が各認証評価団体のHPで公表されました。

 

今回は大学基準協会の大学基準協会 2019(令和元)年度大学評価(認証評価)に受けた30校の各結果から、どのような意見(提言)がついているかを簡単にまとめました。なお、本記事内の意見のマインドマップは私的にまとめ・分類したものであり、全ての提言内容を掲載しているものではありません。提言内容の概観を見るものになります。

※マインドマップの誤字脱字は後日修正します。

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2019(令和元)年度大学評価(認証評価)の受審校について

2019(令和元)年度大学評価(認証評価)を受けた大学は全部で30校であり、亜細亜大学、 石川県立看護大学、大原大学院大学、鹿児島国際大学、関西外国語大学、関西医療看護大学、  九州産業大学、京都文教大学、グロービス経営大学院大学、慶應義塾大学、高知工科大学、 駒沢女子大学、埼玉工業大学、産業技術大学院大学、島根県立大学、東京経済大学、東京神学大学、東京農業大学、東邦大学、日本女子大学、阪南大学、兵庫医療大学、福岡工業大学、 佛教大学、法政大学、三重県立看護大学、宮城大学、宮城教育大学、武蔵野大学、和光大学となります。

大学の設置形態別では私立が23校、公立法人が6校、国立が1校となり、大学院大学が3校です。

長所の内容について

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2019(令和元)年度大学評価(認証評価)においても例年同様に学生支援や社会連携・社会貢献に長所になる事が多かったです。

また教育課程・学習成果では学生の主体的な学びや学修成果に関する内容も長所として取り上げられていますが面白いのは「時間割の工夫(授業を1~3限に配置し、4・5限は自主学習や課外活動、補習等の時間に活用する。」といったものやDPに沿った特色ある教育をしていることが長所として挙がっています。

改善課題の内容について

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認証評価で改善課題は、基礎要件の軽微な不備や大学としてふさわしい水準を確保するために改善を求める点となります。

この改善事項では、内部質保証や学習成果で多くの提言がされています。例えば内部質保証では、内部質保証を推進する組織があっても十分に改善がされていないとか、単に進捗管理するだけの機能しかないといったことがあります。

また第2期でよく指摘をされていた自己点検・評価を認証評価の申請時のみというのもありました。

内部質保証について

内部質保証システムにより、内部質保証に責任を持つ組織はきちんと改善の指示や支援をする必要があります。その為には内部質保証システム自体もきちんと点検・評価をしないといけませんが、内部質保証が適切かどうかは自分達の判断だけではなく外部評価を活用することも有効だと考えています。(しかし、内部質保証に資する大学の外部評価については事例報告や研究報告があまりないのです)

全体としての所感は、内部質保証システムはあるけど、改善が出来ていないなどと有効性を確認できないケースがいくつかあるといった大学があるように思います。

教育課程・学習成果について

これも毎年度のことですが、単位の上限制度については指摘がされています。特に例外(CAP制度適用除外科目)がある事については原則指摘される事が多いです。また学習成果については、1年目よりかなり厳しく見られており、各種調査の実施や調査とGPAを活用するといってもディプロマポリシーやカリキュラムポリシーと関係が不明な場合は指摘されています。何となく調査をやってもダメという事ですね。

その他(教員・教員組織や大学運営)

今回特徴なのがFDやSDの指摘がいくつか見られます。FDは大学院においてFDをやっていない点、SDは組織的・継続的に行われていないことや教員の参加がいない(SDは職員のみとしている?)といった事があります。

また学校教育法が改正されてだいぶたちますが、それを反映していないといった指摘もありました。この点は、改正当時に文部科学省から調査がきて、対応済みになっているはずなのですけどね。

是正勧告について

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是正勧告は大学としての水準を確保するために重大な問題が指摘されます。今回は内部質保証ではそもそも内部質保証の体制が構築されていないことや、単位が取得できなかった場合、翌年度以降に受講せずに試験合格のみで単位を認定している、学位プログラムとして異なるのにそれを大学側が認識せずに放置しているケースが指摘されています。

マインドマップPDF版について

上記のマインドマップを統合したPDF版を下記に埋め込んでおきます。