大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

大学や高等教育関連、法令の解説が中心のブログ

【スポンサーリンク】

令和7年度私立大学等改革総合支援事業タイプ1の特徴と変更

2025年7月早々に手元に令和7年度私立大学等改革総合支援事業の設問が届きました。

これは例年より1ヶ月ぐらい早く、担当者としてはちょっと面食らっております。

ただ、各事務部に調査を依頼するのであれば夏期休暇期間に入るまえに手元にあるのは非常にありがたいことです。

さて、令和7年度私立大学等改革総合支援事業ですが、近年はあまり大きな変化がなく、今年はメジャーチェンジがあるかと思っていたのですが、今年も大きな変更はありませんでした。

特徴として令和7年度に公表された「知の総和答申」の影響を一部受けているぐらいです。

そのため、過去の令和5年度及び令和6年度の過去の記事もあわせてご覧いただければと思います。

www.daigaku23.com

www.daigaku23.com

令和7年度の大きな変更点

令和7年度の主な変更点は下記となります。

・得点が33問97点満点から34問100点満点へ

・アドミッションオフィサーの設問が削除

※近年点数が下がっている設問であり、比較的何とかなってしまう(なんちゃってアドミッションオフィサーも該当していると想定される)設問の1つでした。

・知の総和答申の影響

 CAP制の設定、アカデミックアドバイジング、他大学との連携※あとで詳細記述

・過年度との比較

 点数が昨年より高いか、昨年申請していない場合は得点アップ↑

知の総和答申による影響の設問について

今回は知の総和答申に触れられている内容がいくつか入っています。

1つ目としてCAP制です。もともとあった設問です。下記の下線部分が新規追記箇所です。

全学年に対し履修科目単位数の上限(いわゆるCAP制)を大学設置基準上1単位が45時間の学修を必要とする内容をもって構成されることを標準としていることを踏まえ、適切に設定し、その上限を学生の成績状況に合わせて、緩和あるいは厳格化させる制度を設けていますか。

認証評価だと50単位が目処となっていますが、私立大学等改革総合支援事業では特に具体的な数値は記載されていません。大学がそれぞれの考えや解釈をもとに適切であるとしておけばいいのですが、個人としては何らかのしかるべき委員会できちんと確認をしておくと安心かなとは思います。

(玉川大学みたいに半期16単位とかなら文句のつけようもないと思うのですが)

2つ目はアカデミック・アドバイジングです。

改革総合支援事業では、全学生が活用できる相談窓口の設置や専門職の配置が求められています。

個々の学⽣の希望や学修の進度を踏まえつつ、主体的な学修と体系的な履修を確⽴させるとともに、「ディプロマ・ポリシー」に定められた学修目標の達成を念頭に、個人としての目標の設定や達成状況の確認を促し、⾃分の将来を⾒据えられるきめ細かな履修指導や学修支援、学生支援等を通じて入学時から卒業時まで継続した取組
(アカデミック・アドバイジング)を⾏う体制を整備していますか。

求められているのは相談窓口の設置又はアカデミック・アドバイジングの専門職なので、相談窓口がある=きちんと学内に機能があれば大丈夫と言えるかもしれません。

学内にある学修支援のセンターなどにそのような機能がないかなども検討してみましょう。(実は比較的点数をとる大学が多いのではないかと思います)

あとゼミの先生が1~4年まで同様の相談などを包括的にやっている体制があれば該当しそうでもあります。

ただし全学生を対象としていることが必要で、複数キャンパスがある大学で1つのキャンパスにしかその窓口がないといった場合は留意が必要でしょう。

※なお研究科は対象外とのこと。大学院大学は別。

最後は他大学との高度な連携です。これは結構難易度が高いですね。

他の⼤学等と⾼度な連携・統合等に向けて、以下のいずれかの取組を実施していますか。
ア他の国内大学等との共同教育課程又は連合大学院を設置している。
イ他の国内大学等との統合等により教育研究資源を集中させながら、学部等を設置している。
ウ大学等連携推進法人に参加している。

私立だとアの事例は少ないのではないかと思います。イについては関西国際大学など一部あります。でもふと思うと私立大学等改革総合支援事業はおそらく他大学から学部等を設置者移行などで吸収する側と国は考えているのかもしれません。

ここは今年は点数がとれる大学は少ないと思うので、次年度以降の課題でしょうか。

※大学等連携推進法人で一社法人をつくっても文部科学大臣の認定が必要

その他

さて、Q&Aなどが追加された設問もあります。

その設問は卒業時調査です。卒業時調査は回答率が85%(もしくは50%)以上が必要でその結果を公表し教育活動の見直しに活用していることが必要です。今年はQ&Aに教務委員会での調査の分析結果の報告について、アンケート内容の見直しではなく、教育の改善を行うことを前提とした検討が必要と指摘しています。

また入試に関する設問では、一部語句の変更などがありますが、内容に大きな変化はありません。

終わりに

最初に書きましたが令和7年度の私立大学等改革総合支援事業は過去数年から大きな変更はありませんでした。

昨年のタイプ1の選定ラインが70点だったこと、アドミッションオフィサーの1点がなくなる、アカデミック・アドバイジングの2点が入ったことから、今年の選定ラインは72点前後ではないかと考えています。

(例年選定されている大学であれば、アカデミック・アドバイジングの設問の要件程度は対応してくると思うのです)