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初めての認証評価〜受ける認証評価受審から、攻める認証評価受審へ〜

大学は学校教育法109条により自己点検・評価を行うこと及び認証評価を受審することが定められています。

認証評価は7年に1回で受審することが必要で、認証評価機関の1つである大学基準協会では2018年度から第3クール(サイクル)の認証評価が始まっています。今までの認証評価は自己点検・評価を実施していること、内部質保証の体制があることが求められていましたが第3クールでは内部質保証と有効性が求められています。

こう書くと認証評価というとかなりハードルが高いもので、難しいものだという印象を持ちます。また今まで認証評価に関わっていないとどう準備していいかがわからないということもあるかもしれません。

そこで本記事では初めての認証評価として、受けるだけの認証評価から、認証評価をどう使うか、どう受ければいいかのエッセンスやノウハウの一部だけをまとめてみます。

※本記事は大学基準協会での受審経験をもとに書いています。

認証評価の大まかなスケジュール

認証評価はどのようなスケジュールで受けるのでしょうか。認証評価の準備から自己点検・評価報告書の提出、評価結果を出るまでは評価機関のハンドブックを見ればわかりますので、そこではわからないスケジュールはどうなっているのでしょうか。
ここでは一例として下記の表をあげてみます。

3年前 ・大学内で認証評価受審の案内と、認証評価に関する理解を醸成する。
2年前 ・認証評価の評価の視点から、内部質保証システムや評価の視点でできていない箇所を確認し、改善する。
前年 ・自己点検・評価を行い、報告書を作成する。
認証評価受審年 ・認証評価の自己点検・評価報告書を提出する。
・認証評価の自己点検・評価の課題で対応できるものは実地調査までにできる限り対応する。なお、課題が解決しなくても解決のロードマップを作るなど取り組むことが重要
・実地調査を対応する。
・評価結果を受け取る。
翌年 ・指摘された課題について、改善のためのロードマップを策定し、改善を図る。
2年後・3年後 ・ロードマップをもとに、改善の進捗状況を内部質保証組織が確認し、改善を図る。
4年後 ・7月までに改善状況報告書を作成し、提出する。

これを見ると7年に1度ではなくて、7年サイクルで大学は認証評価に関して何らかの対応を毎年していくことになります。

認証評価は学部から全学へ

第2クールの認証評価では学部ごとに作成された自己点検・評価結果を一本にまとめて自己点検・評価報告書を提出した大学も結構あったと思います。しかし、これだと自己点検・評価報告書のページ数が膨大になります。

第3クールでは大学としての自己点検・評価が求められ、ページ数も制限されています。つまり1つの基準について、「A学部はこうだった、B学部はこうだった、C学部はこうだった」から「大学としてこうであり、長所としてA学部のような取組がある。また出来ていないところとして◯◯と認識し、現在〜〜〜と改善を図っている」というように点検評価をする必要があります。

そのため、既存の内部質保証システムにおいて、どの点を長所とするか、短所とするかをきちんと議論することも重要です。

認証評価は受けるだけから、活用するへ

認証評価は膨大な手順・作業・時間が必要です。そこで嵐(認証評価)が無事に過ぎ去っていくのを待つのではなく、認証評価を課題解決のためのツール(改善のための外圧)として活用することも考えてみましょう。

例えば大学として今まで課題としてなんとなく認識はしていたけど、改善出来なかった課題について認証評価を機として改善を図ることも考えられます。具体的には自己点検・評価報告書に出来ていない箇所や課題を書き、認証評価機関から指摘されるようにすることもできるでしょう。

認証評価で改善を指摘されたくないという事もあるかもしれませんが、ここで考えを変えておきたいのは、あえて改善意見を受けることも必要だということです。改善課題や是正勧告があっても認証評価として適合されることもあるので、どこまでを課題として自己点検・評価報告書に記載するのかは認証評価担当者の腕の見せ所です。

認証評価は情報戦である

認証評価について、評価機関の説明会や前年度評価を受けた大学の事例報告があるかと思います。確かにあれは非常に参考になるのですが、公式の場では言えないこともたくさんあります。そこで前年度の評価を受けた大学の情報、同時期に評価を受ける予定の大学の情報が重要です。

前年度受審した大学へは、代表電話へ直接相談してアポイントをとってヒアリングする事も必要です。また同時期の認証評価を受ける大学に知り合いがいると、大学がどのように進めているか、相談した内容や現状の共有化などは大変役に立ちました。

こちらは例えば大学評価コンソーシアムでの集まりなどで直接やりとりをしたりすることもありましたね。

認証評価の担当職員になった場合は自学だけではなく、大学外へのネットワークもあるといいかと思います。