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内部質保証システムに資するための自己点検評価は毎年行わなければならないのか

大学は、自ら教育の質の向上を不断的に取組み、教育等が適切な水準にあることを大学自身の責任で説明し証明する「内部質保証システム」を構築し、内部質保証を行う事が求められています。

この内部質保証は、PDCAサイクルが適切に機能しているかが重要であり、大学は教学マネジメントの下に自己点検評価を重層的・連結的に行うことにより内部質保証システムを構築します。

その為、大学の学部学科や委員会、センターなどでは毎年度点検評価を行う必要があります。おそらく大学、大学に置かれた評価室や自己点検評価を担う点検評価委員会等から自己点検評価を行う事が毎年求められているのではないでしょうか。

さて、この自己点検評価ですが毎年行う必要があるのでしょうか?

ただこの話は国公私といった大学の設置形態や組織文化によっても異なるのであくまでも一意見ではありますが、この自己点検評価サイクルについて、少しまとめてみます。

自己点検評価サイクルのいくつかの着眼点

自己点検評価サイクルは毎年、全ての分野を行うとしている大学も少なくはないでしょう。しかし、自己点検評価はしっかりやればやるほど多大な業務となります。そこで自己点検評価サイクルが毎年でない大学もあります。

例えば、自己点検評価サイクルはこのようなものが例示出来ます。

  • 自己点検評価を毎年度全ての分野行う
  • 自己点検評価は隔年あるいは数年置きに行う
  • 分野ごとに自己点検評価サイクルを定め、4〜7年に1回は全ての分野について自己点検評価を行う。

ただ大学基準協会の第2期の認証評価で指摘されていた事項として認証評価のときに自己点検評価を行うというものがありました。

大学は法令により7年に1回、認証評価を受審する事が求められています。つまり日常では自己点検評価をやっているのではなく、認証評価の時にまとめてやってしまうというケースがあるのです。これだと内部質保証が出来ているとは言えません。今もそのような大学であれば、認証評価ではかなり厳しい指摘がされるのではないかと思います。

 

自己点検評価を数年置きに行う

組織として自己点検評価を数年毎、例えば2年の大学もあれば3年の大学も聞きます。これは大学としては、○年は自己点検評価を行うと決まっているので、非常に管理はしやすいです。

ただ隔年であっても数年置きであっても、何もしなくていいというわけではなく、例えばデータ集やファクトブックの作成、モニタリングを行うといったことや、組織としての自己点検評価ではないけど委員会レベルでは簡単な評価を行っておくといったことは必要であろうと思います。

数年前からさかのぼって自己点検評価を行うのは、当事者にとってはかなり大変な作業です。そのためには、毎年度適切にモニタリングはしておく必要があります。

分野ごとに自己点検評価サイクルを定める

自己点検評価を分野あるいは観点ごとに自己点検評価サイクルを定めて実施するという事もあります。例えば、大学基準協会の基準3の「教育研究組織」は大学の学部学科や研究所などについて取り扱っていますが、毎年自己点検評価を実施する必要はあるでしょうか?

また施設系についてもマクロ的な部分は毎年やらなくてもいいかもしれません。一方、学生の受け入れや教育方法や学習成果は毎年行う必要があるとする大学も多いでしょう。

例えば、名寄市立大学は、第3期認証評価の1年目の自己点検評価報告書で下記のようにサイクルを定めています。

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                         出典:2017年度 名寄市立大学点検・評価報告書

これを見ると、毎年行うもの、隔年で行うもの、そして何を評価するか、見直しをするかといったものが一覧化されています。

ただ分野によって自己点検評価サイクルが異なるのは、評価室や自己点検評価委員会が毎年度適切に自己点検評価のサイクルをチェックしないといけないだろうなと思います。ただ毎年自己点検評価をやらなくていい分野については評価の負担がだいぶ軽減化されることになるかと思います。

何を自己点検評価するのか

自己点検評価サイクルといっても深度をどうするかといった事も考えねばなりません。例えば点検評価では毎年度の計画でしょうか?それとも方針まで全てを見直すのでしょうか?

教育であれば毎年度の自己点検評価は教育方法や学習成果を点検し、例えば5年〜10年に一回は3つの方針の見直しを行うといった事も考えられます。

自己点検評価サイクルを組み立てるにあたり、どこまでを点検評価するのかといったコンセンサスをしておかないと、各部局から毎年方針見直しやカリキュラム見直しがしたいといった点検評価報告書が出てくることも考えられます。

自己点検評価サイクルを組み立てるにあたって留意すべきこと

自己点検評価サイクルを組み立てるにあたって、中期計画やKPI、認証評価の受審年との関連も重要です。

特に法令により認証評価での指摘を中期計画に反映させる必要がありますので、こんな感じで統一させておかないと自己点検評価サイクルがバラバラでどこかでえいやと統一させないといけません。