大学は法令により、自己点検・評価を実施する必要があります。
学校教育法
第百九条 大学は、その教育研究水準の向上に資するため、文部科学大臣の定めるところにより、当該大学の教育及び研究、組織及び運営並びに施設及び設備(次項及び第五項において「教育研究等」という。)の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するものとする。
また、大学は認証評価を7年に1回受審する必要があります。
さて、ここで評価について話をすると聞かれるのが、大学が行う自己点検・評価の評価の観点・視点・基準は認証評価の評価の観点・視点・基準を入れなければならないのか?というものがあります。
ただ2022年度から2023年度にかけて、大学は自己点検・評価システム、内部質保証システムについて一部見直しが必要な大学もあり、その要因も踏まえて一部整理してみたいと思います。
昨今の自己点検・評価の変化
2021~2023年度にかけて、自己点検・評価に関しては、教職課程の自己点検・評価の実施、大学設置基準の改正などがあります。
また第3期認証評価期間は折り返しとなる中で、第4期認証評価についても、視野に入ってくるところでしょう。
特に教職課程の自己点検・評価については、新たに自己点検・評価を行うのか、既存の中に混ぜ込むのかは大学によってやり方が異なるでしょう。
また大学設置基準の改正について、パブリックコメントを見ると下記のようになります。(赤字は筆者)
第1条
3 大学は、この省令で定める設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、学校教育法第百九条第一項の点検及び評価の結果並びに認証評価の結果を踏まえ、教育研究活動等について不断の見直しを行うことにより、その水準の向上を図ることに努めなければならない
今までは、大学設置基準以下とならない、水準の向上を図るだったのが、自己点検・評価や認証評価の結果を活用して、教育研究活動の見直しをすることが今後求められていきます。
ここの記述が大学の内部質保証なのではないかと思います。
つまり、自己点検・評価は「作文でいいや」として、自己点検・評価結果が有効活用されていないと、設置基準を満たしているのかが問われてしまうかもしれません。
<参考資料>
自己点検・評価と認証評価
では、どのように自己点検・評価を行えばいいのでしょうか?
大学の自己点検・評価報告書を見ると、自己点検・評価のやり方は様々です。例えばロジックモデルを用いる、PDCAを書かせるなどがありますね。
評価の観点については、認証評価の観点をそのまま使う大学もあります。確かに認証評価の観点を活用して自己点検・評価を行っておけば、認証評価受審時にそのまま転用できるので、各部局・部署や評価担当者も労力が少なくてすみますね。
ただこれにはいくつか課題があるように思います。
- 今の認証評価の観点を使っても、次に受審するときは評価の観点が大きく変わっている可能性がある
- 認証評価の観点は、基礎的なものが多くあり、大学として目指すべき方向性や方針とどのように兼ね合いをつけるのか
- 大学の教育研究の改善に資しているのか?
- 中期計画との関連はどうするのか?
認証評価の視点を使うと認証評価のための自己点検・評価になってしまう危惧もあるので、大学評価担当者は、今回の大学設置基準の改正により、内部質保証や自己点検評価について見直しをしていくことが求められるのかもしれません。