大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

大学や高等教育関連、法令の解説が中心のブログ

【スポンサーリンク】

大学評価という仕事と大学評価担当になった時のイロハ

大学では学校教育法により、自己点検・評価を行い、その結果を公表することが定められています。

<参考>学校教育法

第百九条 大学は、その教育研究水準の向上に資するため、文部科学大臣の定めるところにより、当該大学の教育及び研究、組織及び運営並びに施設及び設備(次項及び第五項において「教育研究等」という。)の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するものとする。

 ただし大学は自己点検・評価報告書を公表するといっても、どこにどこまで公表するかは大学の裁量であると言っていいでしょう。

上記は自己点検・評価ですが、大学で評価室に配属になったといっても大学評価の仕事は幅広く、例えば国立大学の法人評価や認証評価、法令に基づく自己点検・評価、分野別評価、外部評価などがあります。そのため、大学の設置形態や大学の取組具合などで「評価の仕事」の話をしても様々です。

 そのため、本記事も私学の評価担当者として、さらに大学職員としての記述に過ぎませんが、後輩や部下が評価担当者になったときを見据えて、こっそりとメモを作っておきます。

大学評価とは何か?

まず大学評価とは何でしょうか?

上が決めた数字を達成するための手段でしょうか?

それとも現場の意見や実態と上から降ってくる目標に合わせて辻褄を合わせるために作文をすることでしょうか?

データやエビデンスに基づいて査定をすることでしょうか?

人によって色んな考えがありますが、私自身は「組織の自浄作用の維持」「教育研究の質向上」だと思っています。達成目標を達成することが重要ではなく、大学としてあるべき方向にベクトルをそろえることが評価であると思います。

言うまでもなく、大学には様々な組織があり、向いている方向はバラバラであってもいいのですが、ダークフォースに落ちないようにすることも大学評価の役割として重要であるとも思います。

評価の視点・観点の有無

大学によって、自己点検・評価のやり方は様々です。あらかじめ、評価すべきポイントを具体的に指定した評価の視点(あるいは観点)をもとに自己点検・評価を行うこともあれば、これらを設定しないが各種方針に基づいて自己点検・評価を行う大学もあります。

縦の自己点検・評価と横の自己点検・評価

2022年度より、教職課程の自己点検・評価の実施が求められています。また数理・データサイエンス・AI教育についても、国の認定制度を受ける場合は大学の数理・データサイエンス・AI教育を担う組織が自己点検・評価を行うことが必要です。

そのため、今までは学位プログラム単位で自己点検・評価を行っていた場合を縦の自己点検・評価とすると、組織を横断した横の自己点検・評価の実施も今後は増えていくでしょう。

その際、評価担当者に求められるのは評価のプロとしての評価の支援ではないかと思います。

評価の仕事は何をするのか?

それでは大学評価の仕事は何をするのでしょうか?評価室の規模や役職によっても異なりますが、私自身は今までこういう事をしてきています。

ただし評価専門というわけではないので、自分の仕事としては評価の仕事のエフォートは2割ぐらいです。

  • 大学の中期的な指標に関する事項
  • 自己点検・評価システムの改善(内部質保証システムの改善も含む)
  • 自己点検・評価報告書のとりまとめとチェック
  • 認証評価対応
  • 各部門との調整や依頼

大学の中期的な指標は数年後の定量的・定性的な目標の設定のPJに入ったり、データ定義の設定、各組織からデータを集めて、結果一覧を作成する仕事があります。本学では中長期計画をさらに具体化する形にしていますが、大学(学校法人)によっては中長期計画に数字を具体的に定めてこれを指標としているケースもあるでしょう。

次に自己点検・評価システムの改善ですが、自己点検・評価も自己点検・評価が必要です。そのためには評価に関する基礎知識などはきちんと押さえておく必要があります。これは自己点検・評価報告書のチェックに繋がる所でもあり、自己点検・評価が適切に行われているかを確認する作業にも評価の知識は必要です。 

例えば、自己点検・評価の適切性については、PDCAのDOの実際にやったことと、Checkがほぼ同じ内容ではないかという点をみたりします。

認証評価は、1年だけではなく複数年に渡る仕事ですね。本学は職員が資料だけを収集、教員が執筆という分担ではなく、自己点検・評価報告書に一部も執筆やリライトを担当することもあります。

ただ国立大学だと評価担当の教員がいて、私学で働いている立場からすると「先生にそこまでやってもらうのですか」ということもあり、逆に「職員でそこまでやるの?やってもらえるの?」という事もあるので、大学の文脈や職員の位置づけで仕事内容は大きく変わるように思います。

評価室に異動になったら何をするか?

それでは未経験で評価室や評価担当になった時に何をすればいいのでしょうか?自分自身が今までやってきたことをまとめると次のものがあります。

・大学の今までの自己点検・評価報告書を読む

・評価関連の書籍を読む

・大学の文脈を知る

・評価系の勉強会に参加してみる

・各部署とコミュニケーションをとる

・受審する認証評価機関の評価の説明会や公表資料を読み込む

大学の自己点検・評価の歴史を知る

まずは大学の今までの自己点検・評価がどのように行われてきたのかを把握するために、最低でも2~3年前からの自己点検・評価報告書は全て読みます。また直近の認証評価の自己点検・評価報告書や評価結果も目を通しておきます。

評価系の書籍を読む

評価の理論や日本の高等教育での評価について知る為に、いくつか書籍も読んでおくといいと思います。まずはこの辺りを読んでおけばいいのではないでしょうか。(なお、大学の自己点検・評価は受ける認証評価機関の影響もあるので、大学基準協会の本は決してベストではありません)

 また評価の先達の方が紹介されたこの本も愛読書の一つです。

大学の文脈を知る

大学評価は理想論を振りかざせば楽なのですが、日本の大学全てが同じ評価である必要はありません。また大学の文脈(文化や組織、人などをここでは指す)によって、評価のあり方が大きく異なります。そのため、大学の文脈を知る事は非常に重要なのです。

評価系の勉強会に出てみる

評価系の勉強会はあまりないのですが、私自身は大学評価コンソーシアムに大変お世話になっています。今は対面での勉強会や集会は難しいですが、評価やIR担当者が一様に集い、学び、情報交換することは仕事に役に立つはずです。

また大学評価コンソーシアムでは大学評価初心者用コンテンツやガイドラインも公表していますのでこれらを活用するのもいいと思います。

さらに評価関連は横の繋がりがけっこうありますのでネットワークがあると、情報収集も出来て仕事がしやすいと思います。

 

終わりに

大学評価の仕事は、単に各部門や部署に依頼をして取りまとめるだけなら、難しくはありませんし、誰でも出来る仕事です。でも求めているのは作業だけを出来る人材ではありません。

大学評価の担当者になったからには評価のプロとして、評価の理解を深めることをしていく必要があるかなと思います。