2021年8月10日に「令和3年度私立大学等改革総合支援事業に係る調査について(依頼)」が通知されました。
昨年度は7月15日でしたので1か月近く遅い気もしますが、一昨年は8月下旬と遅かったので、お盆休み入る前に送ってしまおうという狙いでしょうか?
さて、令和3年度の4つの以下のタイプがあります。
タイプ1:『Society5.0』の実現等に向けた特色ある教育の展開』
タイプ2:『特色ある高度な研究の展開』
タイプ3:『地域社会への貢献』※地域連携型・プラットフォーム型
タイプ4:『社会実装の推進』
この4つのタイプについては昨年度と同様ですね。さて、本ブログでは昨年度の私立大学等改革総合支援事業タイプ1からどう変わったか、どこに注意すべきなのか、気になる点についてメモとしてまとめます。
なお、本記事では私立大学等改革総合支援事業を「改革総合支援事業」と表記します。
- 過去2年の選定校数と令和3年度の選定予定数
- 改革総合支援事業を見る上でのポイント
- 改革総合支援事業タイプ1の構成と点数(令和2年度との比較)
- 改革総合支援事業タイプ1の各設問
- 令和3年度の私立大学等改革総合支援事業タイプ1の選定ライン予想
過去2年の選定校数と令和3年度の選定予定数
令和元年及び令和2年の改革総合支援事業の選定結果と令和3年度の改革総合支援事業の別添資料の採択予定数をまとめたのが下記の表です。なお、数字は大学だけではなく、短大や高専も含んだものです。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |||||
タイプ名 | 申請校数 | 選定校数 | タイプ名 | 申請校数 | 選定校数 | 選定予定校 | |
タイプ1 | 特色ある教育の展開 | 583 | 178 | 『Society5.0』の実現等に向けた特色ある教育の展開 | 556 | 130 | 105程度 |
タイプ2 | 特色ある高度な研究の展開 | 74 | 40 | 特色ある高度な研究の展開 | 87 | 50 | 40程度 |
タイプ3 | 地域社会への貢献 | 234/195 | 55/131 | 地域社会への貢献※ | 191/193 | 56/131 | 170程度(20-40グループ含む) |
タイプ4 | 社会実装の推進 | 99 | 52 | 社会実装の推進 | 96 | 52 | 80程度 |
※地域社会型/プラットフォーム型 |
タイプ1の選定校(予定校)数は年々減り続け、令和3年度も同様です。
一方で地域社会への貢献については例年と変わらず、タイプ4の社会実装(産学連携)は増えています。
令和2年度のタイプ4の申請は96校だったので、令和3年度は95校の選定予定だと、点数が低くても申請をしてみる価値はあるかもしれません。昨年はタイプ4は選定は34点だったのでこれぐらいの点数なら採択される可能性が高いと思います。
改革総合支援事業を見る上でのポイント
改革総合支援事業でよくやりがちや注意すべき点をまとめておきます。
- 基準時点は確認したか?特に年度には注意が必要
- 各設問の要件及び確認書を確認し、全てが適合しているか?
- 例示されている根拠資料例でなくてもいいが、要件にあった根拠資料は揃っているか
- 現場から出てきた資料及び主張だけではなく、大学としてのエビデンスの資料か?
特に4つ目が重要で、「私はこう思うから、この資料は正しい」は通用しません。誰もがその資料が該当の設問の資料であることが納得できる客観性が非常に重要です。
また年度などは設問で異なるので、特に注意しておきましょう。
さて、改革総合支援事業を担当する人は現場に根拠資料を依頼し、それを取り纏めて〇点でしたという作業は誰でもできます。それぞれのエビデンスが的確かを判断し、現場は実施していないといっても解釈や見落としにより実際にやっているケースもあるので取りこぼしの内容に学内に広くアンテナを張ることも必要です。
そのうえで、点数が足りない箇所については手当をすることが担当者としての仕事なのだと思います。
改革総合支援事業タイプ1の構成と点数(令和2年度との比較)
それでは令和2年度と設問はどのように変わったのでしょうか。令和2年度及び令和3年度の設問と点数を一覧にしたものが下記となります。
なお令和2年度は見やすいようにNoはそのままで表示順を入れ替えている個所があります。
令和3年度は、特別補助に数理・データサイエンス・AI教育に関する事項が新設されるとのことで、改革総合支援事業では3のデータ活用に関する配分が減っています。
また新規として過年度との比較として、「採択校の固定化を緩和し、既採択校の継続的な取組を促す設問」として5の全体総括があります。(詳細は各設問のところ)
改革総合支援事業タイプ1の各設問
ここからは各設問についてです。
1.教育の質向上
①全学的な教学マネジメント体制の構築
教学マネジメント指針でも示されているように、大学としての教学マネジメント体制の構築や体制の確立が求められています。
本設問は昨年度は「IR情報を活用した教育課程の検証」で、今年は教学マネジメント体制へと変わっていますが、追加の要件として効率的な教学マネジメント体制を構築している事が求められています。
つまり、昨年度まではIR情報を活用して教育課程を検証していればよかったのですが、今年は教学マネジメント体制が追加し、「教育課程の運営に必要な教職員の業務内容の制定・点検を全学的な教学マネジメント体制で実施」していればOKとなります。
例えば大学基準協会で第3期認証評価を受審し、内部質保証について言及を受けていなければ、大丈夫そうな設問ですね。
②IR機能の強化
昨年度まではIRについて講師の派遣実績があれば、再考点数だったのですが、今回は「IRの他大学等への普及に向けた取組みの実績がある」が4点(最高得点)となります。なお、講師派遣は3点に下がっています。
4点とするには、大学が組織的にIR及び自大学等の取組成果を他大学へ普及する実績が必要です。具体的には研修会の主催や他大学等への指導・助言(いわゆるコンサルティング)とありますので、これから、基準日である10月31日までに大学主催のIRの研修が増えるかもしれませんね。
③卒業時アンケート調査の実施・公表
卒業年次で卒業時または卒業見込み時に成長度や満足度について調査しているかが問われています。昨年度からの変更点として、3点とるには回収率が80%→85%と変更となりました。
また分析結果を公表していることなので、単にグラフだけの報告書を公表しているのは分析をしていると言えるかは判断に迷う所でで、今後会計検査院の検査が入った時に心配だなと感じています。(ネットで検索するとグラフのみを公表している大学もあるようです)
④アクティブ・ラーニング型の科目の開講
例年通り、アクティブ・ラーニングが導入されているかの設問です。昨年は10%→30%→50%で得点がつきましたが、今年は20%→40%→50%となっています。
昨年度の選定結果で設問別を見ると、選定大学はほとんどが50%となっているので、あまり影響が少ない変更ではないでしょうか?
ただしコロナ禍の影響により、遠隔授業も実施している中で、文部科学省はどのように考えているかは気になる点です。
⑤情報リテラシー科目の開講
情報リテラシーの科目が全学必修or一部学部必修もしくは選択科目かが問われています。
改革総合支援事業では、情報リテラシーを「ICTを用いて、多様な情報を収集・分析して適正に判断し、モラルに沿って効果的に活用することができる技能」と定義しています。
ただし内容は多様で、情報だけではなく、情報のアウトプットも含んでいますので、初年次系の科目は該当するものが多いかと思います。
(情報系の授業が必修で内容が合致していれば、得点をとるのは難しい設問ではありません)
⑥ICTを活用した双方向型授業や自主学習支援等の実施
クリッカーやタブレット、eラーニングを活用しているかが問われている設問です。BYODや遠隔授業が進む中ででクリッカーはスマホで代替できますし、この内容はそろそろ精査して欲しいと思います。
さて、この設問ですがクリッカーやタブレットなどは教職課程のICTや教育方法でやっている可能性があるので、教職課程がある大学はそこにも聞いてみましょう。
⑦GPA制度の導入及び活用
GPAが成績不振者への個別指導の実施の基準や進級・卒業判定、科目履修に求められる成績水準の設定、教員間や科目間の成績評価基準の平準化に活用しているかが問われます。
これらは規程化され制度化している事が重要であり、例えば成績評価基準の平準化については(規程がある)会議・委員会で次第・資料・議事録などでGPAをもとに議論をしたという根拠はあったほうがいいでしょう。
単に「教員間で話をした」しかし記録はないだと本設問のエビデンスにはならないです。
⑧CAP制度の導入
履修科目の上限(CAP制度)がGPAと連動しているかが問われています。まず全学年にCAP制度があることです。なお、昨年度と変わらない設問です。
この設問は制度があればいいので、認証評価(大学基準協会)のようにCAP制度で〇〇単位までというように基準がないのが特徴です。
⑨ティーチング・ポートフォリオの導入・活用
ティーチング・ポートフォリオが活用されているか、あるいは導入しているかが問われています。
ティーチング・ポートフォリオは、「ティーチング・ポートフォリオ」という名称そのものの制度でなくても、教員が授業や指導の業績を「教育業績ファイル」のように貯めておく仕組みがあればおそらくは大丈夫です。
また活用する仕組みは具体的に明示され、教育改善に活用、教育業績の評価に活用する仕組みであるとされています。(ポートフォリオを用いた面談、FDなど)
⑩大学の教育活動への学生の参画推進
昨年度まではTAやSAの研修を実施ているかが問われていました。2021年度はこれに加えて、教育プログラムの設計や自己点検・評価に学生の意見の聴取など、学生が大学の意思決定に参画する機会を設けておくことが必要です。例えばFDを検討する際に学生をまじえて議論は比較的取組みやすそうです。
またTAやSAも研修だけではなく、必要な資質・能力を明示し、それらを向上させる取組みと、役割の明文化やマニュアルもあったほうがいいでしょう。
⑪学修成果等の可視化
毎年変わらない設問の一つです。昨年の結果を見ると、選定校の中では71%もの大学はディプロマ・サプリメントなどの取組みを実施しているとしていますが、個人的にはこの数字は結構グレーな判断が含まれているのではないかと思います。
監査や会計検査院の人はここの設問はチェックしがいのある設問ですよ。
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⑫学修成果の企業等との意見交換の実施
学修成果の内容や情報について企業等と意見交換を実施し、結果に応じて見直しをしているかが問われています。
昨年度までは企業と協議していればよかったのですが、今年は意見交換を行ったうえで見直しまでしていることが問われています。この意見交換については⑪について企業と意見交換を行えばいいかもしれませんね。
手順としてディプロマ・サプリメントに入れる項目について企業と意見交換(⑫)→制度構築(⑪)が出来ます。
また意見交換を行う対象ですが、昨年は産業界のみでしたが今年からは地方自治体や非営利組織も含まれましたので、やりやすくはなりました。
2.高大接続
⑬学力を多面的に評価する一般選抜の実施
昨年度と殆ど変わらず、一般選抜で学力の3要素を多面的・総合的に評価しているかが問われています。
必須事項としては次があるでしょう。
- 2科目以上の出題科目による学力検査の実施
- 多面的・総合的な評価について募集要項に明記(どのように評価するかも入れる)
- アドミッション・ポリシーに基づいている事。
なお、昨年度はタイプ1に選定されているいくつかの大学の募集要項を見ましたが、今年及び昨年の要件に合うような記載は殆どありませんでした。
⑭一般選抜における記述式問題の出題
例年とあまり変わらない設問ですが確認事項について、「文章やグラフ等により自らの考えを表現させる」記述式と明確に書いてありますので、募集要項に出題の意図と評価する能力を書いておきましょう。
また全ての一般選抜で行う必要はなく、3月の一般選抜のみで行うといった形式でも本設問が該当します。
⑮総合型・学校推薦型選抜における基礎学力把握
昨年はマイナス点がありましたが、マイナス点が今年はなくなった設問です。基礎学力の把握は筆記や実技、口頭試問など色んな手段が考えれます。例えば推薦の面接の前に簡単な独自の検査を行うこともあり得るでしょう。
⑯入学者選抜の多面的・総合的な評価及び学生の能力を伸長するための取組み
昨年度から設定された設問で多面的・総合的評価とそれを伸ばす取組として初年次教育などを行っているかが主な内容です。なおこれは既に終わっている令和3年度入学者選抜が対象です。
学生の能力を伸長する取組みは正課外も対象になるため、初年次教育を実施していれば、何とかなる設問です。なお、昨年度に改革総合支援事業でタイプ1を申請している場合は設問の回答の整合性も注意しましょう。
⑰アドミッション・オフィサーの配置
例年同様の設問ですが、昨年の結果を見ると選定校の7割の大学には、アドミッション・オフィサーとして教員も職員もいるそうです。
なお、アドミッションオフィサーは募集業務だけではなく、面接官として入っている・選抜の会議に入っているなどがエビデンスから確認できるといいと思います。
教員だと大きい大学のアドミッション部門にいる大学の専門の先生をイメージするのですが、昨年の結果をみると各大学はかなり緩い判断をされているのかもしれません。(単純な入試委員としての教員が該当するかは大学で判断が分かれるでしょう)
あとはアドミッションオフィサーの講座や養成プログラムに参加しているとエビデンスとしてしっかりします。
⑱「数学」「情報」の試験問題を出題
令和3年度からの入試を対象とし、一部の試験形態に数学や情報における試験問題を出題することを募集要項等に明記する必要があります。
ただ理系学部や医療系学部とかの入試に数学などがあれば、一部学部に該当して2点は取れそうですが、私立文系大学には厳しい設問です。
⑲入学予定者への課題提示
入学前教育は12月以前に入学手続きしたものを対象として実施した場合が該当しますが、編入、社会人、留学生等入試での入学予定者は含めないと今年は明記されました。
⑳高等学校教育と大学教育の連携強化
高校との連携で以下の事項について取組みをしているかが問われています。
- 大学等における学修を高校生が経験する機会(合同授業の実施等)の提供
- 高等学校又は教育委員会との年2回以上の定期的な意見交換体制の構築
- 高等学校と大学等との教職員の人事交流又は合同研修の実施
- 高等学校と連携した入学前教育の実施
1つ目は出前授業をやっていればOKですね。2つ目は体制の構築(合意)えdすので、2回以上の意見交換ができると書面上から確認できるようにしましょう。(せめて1回ぐらいは意見交換をしておいたほうがいいかと思います)
3つ目は人事交流は発令が必要なのですが、総合学園だと人事異動(特に職員)で該当することがあります。
4つ目は要件が少し異なり、今までは推薦を行った高校となっていますが、今回から高大連携によりと記載されています。可能であれば高大連携を示すエビデンスがあるといいかもしれません。
なおこれらの取組みは学部等の一部=大学のどこかでやっていれば該当する設問です。
㉑入学者選抜の妥当性の検証
前回はデータ活用の区分にあった設問ですが高大連携へと移動しました。今回は入試区分とは「一般選抜、学校推薦型選抜、総合選抜」と区分が明記されています。
また総合選抜入試だと何回も実施している大学があるかと思いますが、「各入試区分において一部の試験形態で検証していれば、該当入試区分は検証しているものとする」とありますので、総合選抜の検証は10月の総合選抜だけ実施するといった事もOKですね。
3.データ活用による教育展開とデータ活用人材の育成
㉒IR等の知識を有し、データ分析を実施する専門職の配置
IRの専門職がいるかに関する設問です。IRの担当者として発令が確認出来る事は最低条件ですが、担当のIRの人が統計解析やデータ分析に関する知識を有していることの確認が必要です。
(少なくとも、記述統計レベルのレポートでは専門職と呼べる知識を有するエビデンスとして適正かは疑問です)
可能なら、統計関連の授業を受講している、学位がある、IRに関する論文があると担当者としてはかなり安心ですね。
また昨年度は意思決定等に資する提案を行う職種が確認出来ればよかったのですが、今年度は機関決定等に資する提案まで実施していることが実績から確認できることが必要です。
㉓卒業後アンケート調査等の実施・公表及び調査結果の教育活動等への活用
卒業生と就職(進学)先の2つの調査(意見聴取)を実施していることが不可欠の設問です。そのうえで教育活動へ活用しているエビデンスが必要です。
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また進路先の意見聴取については、いくつかリンクを置いておきます。
令和元年度 卒業生の就職先等の進路先の意見聴取等の調査 (埼玉女子短期大学)
令和二年度 卒業生の就職先等の進路先の意見聴取等の調査 (埼玉女子短期大学)
https://www.nvlu.ac.jp/wp-content/uploads/2020/12/careersupport_017_02-3.pdf
㉔数理・データサイエンス・AI教育に係る科目の開講
ここでは数理・データサイエンス・AI教育を実施していること、数理・データサイエンス・AI教育のPBLを実施していることが問われています。
昨年度の設問2つが合体した設問で内容は変わりませんが得点は減った設問です。内容としては統計に関する授業が全ての学部で開講されていれば選択科目でも1点取れます。
探してみると統計の内容を含む科目は意外とあるので、統計学という科目名称だけをエビデンスとするのではなく、他の科目名称やシラバス内検索で探してみましょう。
4.多様な教育体制と社会との連携
㉕分野・学部等を超えたカリキュラム編成の検討・改善
今年から、継続的にカリキュラム編成の検討や改善を行っている事と、教学マネジメント体制でも要件を満たせば該当するとなっています。
教育課程編成を担う組織(ただし常設の組織にであること)で要件を満たしていれば、ここの設問には該当する可能性があります。
この設問は全学共通カリキュラムの組織があると非常に話は楽なのですが小規模大学にはそういうにはない事が多く、大規模大学が点数を取りやすい設問だと思います。
㉖分野・学部等を超えたカリキュラム編成の実施
実際に人文・社会科学系、自然科学系など学部を超えて文理融合となるようなカリキュラムを全学部or一部の学部で実施していることが必要です。
㉗インターンシップ科目の実施
コロナ禍で令和2年度にインターンシップ2週間以上を求めるのはかなり厳しい条件です。なお令和2年度はインターンシップ科目で全ての履修者が2週間以上のインターンシップをすることが求められていましたが、今年は当該科目の一部が2週間以上実施していればいいと変更されています。
㉘実務家教員の教育課程編成への参画
本設問では5年以上の実務を有する教員で年間6単位以上担当する教員に対し、教育課程編成に参画する仕組みの構築が必要です。
専任教員で教授会に全員が参加する大学であればいいですが、非常勤で該当者がいれば全員が参画する仕組みが必要です。
「実務家教員 教育課程 規程」で検索するとグレーな規程も見かけますので、規程については確認が必要ですね。
㉙主専攻・副専攻制等による履修
昨年度の結果を見るとこれを出来ている大学はかなり少ないです。規程の改正やカリキュラムの変更など規模の大きい話ですので、数年スパンでの検討が必要な設問ですね。
㉚学事歴の柔軟化に関する取組み
こちらも㉙と同様ですが、大学院で秋入学を実施していれば該当するので、点数が取れる大学もあるでしょう。
㉛教育リソースの活用
昨年はオープンエデュケーションとなっていた設問です。昨年度も書きましたが、点数と取るのであれば学生への自主学習ツールとしての活用を行うことですね。
5.教育改革全体の統括
「採択校の固定化を緩和し、既採択校の継続的な取組を促す設問」ですが、気分的にはクイズ番組で今までは10点の設問なのに、最後の設問だけは100点といった感じの設問です。
昨年度の改革総合支援事業の満点に対する得点の割合がどれだけ伸びたかが評価される設問で、20%以上、10~20%未満、5~10%未満によって点数が変わります。20%以上だと5点の配点なので割合としては結構大きいです。
疑問としては昨年度は改革総合支援事業に申請をしていない大学は本設問の対象なのでしょうか?
昨年申請をしていないとエビデンスがないので、昨年は低く得点設定して、今年は高くなったから20%以上の伸び率で5点とか簡単にできてしまい、不利益が生じるのではないかと懸念されます。
(積極的に教育改革を行う大学と申請も行わない大学の2極化とあるので、昨年度申請していなくてもOKなんでしょうね)
また本設問は10%以上伸びた大学から優先的に改革総合支援事業のタイプ1を採択することがあると記載されています。つまり選定ラインにいくつも大学があるとすると、昨年は選定されなかった大学は選定され、毎年選定されている大学は選定されない可能性もある訳です。
得点割合とするとこんな表ですね。
得点割合 | 令和二年 | 令和三年 |
99点 | 91点 | |
100% | 99.0 | 91.0 |
90% | 89.1 | 81.9 |
80% | 79.2 | 72.8 |
70% | 69.3 | 63.7 |
60% | 59.4 | 54.6 |
50% | 49.5 | 45.5 |
40% | 39.6 | 36.4 |
30% | 29.7 | 27.3 |
20% | 19.8 | 18.2 |
10% | 9.9 | 9.1 |
0% | 0.0 | 0.0 |
なお昨年の選定ラインは99点満点中の68点でした。68点の大学の得点割合は68.6%です。昨年度選定ラインぎりぎりの大学は下記の点数となります。
昨年度から20%以上向上(5点)→88.6%→81点以上
昨年度から10-20%未満(3点) →78.6~88.5%→72点以上
昨年度から 5-10%未満(1点) →73.6~78.5%→67点以上
計算してみると昨年採択されている大学は結構厳しいですね。文科省としてはもっと改革をすれば問題ないというのでしょうが、80点以上(得点割合80%)の大学が昨年は29大学あって、満点とらないと5点取れないというのはクソゲー感がありますね。
令和3年度の私立大学等改革総合支援事業タイプ1の選定ライン予想
前年度の得点分布結果からみると、今年のタイプ1は70点以上は取れないとタイプ1の採択は難しいのではないでしょうかね。
前年度申請されなかった・出来ていない大学は得点割合の伸び率でブーストがあるとはいえ、70点をいきなりたたき出すのはかなり難問のような気もします。