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平成30年度私立大学等改革総合支援事業の選定状況の所感

平成31年(2019)年2月26日に私立大学等改革総合支援事業の選定結果がようやく文部科学省のホームページに掲載されました。

前年度の公表が平成30年2月5日でしたのでいつもより大分遅めの公表です。しかも今まで出ていた選定の内示も各大学にはありませんでした。

 

平成30年度私立大学等改革総合支援事業は私立大学等改革総合支援事業の委員長所見によると「635校(大学・短期大学・高等専門学校)の審査を行い、278校を支援対象校として選定」しているそうです。

 

タイプ1「教育の質的転換」について

このタイプ1は募集時は200校の選定が予定されています。タイプ1の得点分布をみると84満点中55点が選定ラインですので約65%を取っていればよかったですね。70%あれば安心と思っていましたが、この見立てで間違いなかったようです。

ただ文部科学省の2019年度予算案から次年度の改革総合支援事業のタイプ 1 「特色ある教育の展開」 175校程度とされていますので、選定はもう少し厳しくなりそうです。2019年度は設問が一切変わらないとしても70%以上でようやく選定に手が届くぐらいですので、安心のマージンを取るなら85%ぐらいは点数を取っておきたいですね。

なお、今年は満点が2大学おりますが、どんな大学なのか、どんな根拠資料なのか、どんな解釈なのか非常に興味あります。

複数のタイプに選定されている大学ですが、下記のようになります。なお、下線はタイプ1の教育の質的転換に採択されている大学です。

4つのタイプに選定されている大学

東北公益文科大学芝浦工業大学東洋大学法政大学金沢工業大学、同志社大学、関西大学、神戸学院大学福岡工業大学、長崎国際大学

全てのタイプに選定されている大学

東京都市大学

規模が大きい大学が複数選定されているのが非常に気になる所です。またその中でもタイプ1に選定されている大規模大学があります。

今までタイプ1は全学部でやっているかどうかが問われる設問が多く、小規模・学部数が少ない大学が有利と考えていましたが、今年はどうやらそうでもないようです。

各設問ごとの特徴

ここではいくつか設問毎・回答毎の該当件数から、特色があるものをピックアップしてみます。

どういう設問があるかはこちらをご覧下さい。また本ブログの関連記事は下記となります。

www.daigaku23.com

設問1(3つのポリシーの点検評価)及び設問2(教学マネジメント体制)

この2つは、選定校の大学はどちらの設問も80%以上が得点を取っています。今までの改革総合支援事業や経常費補助の教育の質の指標と関わりがあるとの、これは取組自体は難しいものではないのと、設問1では短期間で対応しやすい事もあるでしょうね。

点検評価にあたって学生の代表者の参画は、例えば自己点検評価委員会に入っていただき、意見を聴取すればいいだけですから、対応自体は難しい事ではありません。(難しいのは、適切に自己点検評価をしているか、その点検評価に学生の意見聴取をどう組み込むかです)

設問3(IR)

IRの最高得点である、IRの企画や実施方法等に関する専門的な高等教育プログラムを履修した者を配置についえは、選定大学では18%、申請校では12%となっています。

これは個人の学修にも大きく左右される設問でもありますし、履修証明プログラムや学位などを必要としますので、短期間で対応できない設問でもあります。

今後はIRに関する履修証明プログラムなども出来るでしょうが、それでもすぐの対応は難しいですね。早いのは学内で該当する学修する人をIRに据えるか、外から持ってくるのですかね。

設問5(卒業時アンケート)

選定校では67%が80%以上の回収率・実施率で実施している事になっていますが、これ驚くべき数字かと思います。また申請校でも47%の大学が80%以上の回収率・実施率だそうです。

www.daigaku23.com

4年の秋とか冬にやった調査を根拠資料にしていたりしませんかね。このあたりは卒業予定の定義の解釈にもよりますが、 これはちょっと疑義があります。

設問11(履修系統図・ナンバリング)

履修系統図やナンバリングの作成や公表ですが、今までにも履修系統図やナンバリングの作成がありましたし、公表は難しくなかったので、殆どの大学が出来ていますね。これは次年度は教育の質の指標に組み込まれる気がします。

設問12(GPA)

GPAの活用で成績水準の設定や成績評価基準の平準化は難しいだろうなと思っています。結果を見る限りは出来ている大学と出来ていない大学が別れていますね。

教育、それも成績評価に関わるものは慎重にならざるを得ないので、妥当だとは思います。

設問14(学修成果等の活用)

全学部で出来ている大学の割合として、選定校では86%、申請校では52%となっています。これは私が想像するより高い数値です。

きちんと仕組みと活用実態を示す根拠資料があればいいですが、私自身はかなり慎重になった設問です。仕組みをどう示すかや実態をどう示すかは、判断が難しいので、結果は驚きでしたね。

設問15(カリキュラム編成にかかる教職員)

カリキュラム編成のための専門的知識を有する専任職員が、選定校では半分の大学にカリキュラム編成に参画しているようです。

ただこれも個人の学修に頼る部分もある設問なんですよね。

設問21(SD)

意外とSDの参加率が100%の大学多いですね。選定校で約72%もあります。ただハラスメント研修や学生の厚生補導に関わる研修もあるなど、定義が幅広い事もあるでしょう。

設問23-24(高大接続関連)

これはどの設問も点数を取れている大学が増え、昨年から安定している結果のように感じます。そろそろ、これらは教育の質の指標に移るかもしれませんね。

おわりに

今回、かなり頑張っている大学があるのではというのが設問毎の結果を見ていて感じる第一印象です。もし自分が監査や会計検査院の人間だったら、設問5、14、15あたりは厳しくチェックするだろうなと思います。

4年生は卒業予定だから、4年生の秋に調査をやったものは卒業時調査として根拠資料にしているとか、学修成果の活用で仕組みだけで実態がないとかありそうな気がしています。