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大学での研修の設計と実施の考え方の一例メモ

 大学では法令によりSDの実施が義務化となり、私立大学では私立大学等改革総合支援事業のタイプ1「教育の質的転換」でFDやSDの参加率が求められています。さらにFDはシラバス作成のFDや、成績評価のFDの実施が求められるなど年2回はこれをやらないといけないと縛りが出てきています。

つまり、大学外からFDやSDの実施や内容にまで最低限の条件が出ているとも言えます。そうは言っても、大学は課題や求められるものに応じて、FDやSDを実施する必要があります。

では、どのようにしてFDやSDを設計し実施しているでしょうか。あくまで自分の場合ですが簡単にまとめてみます。

 

1.FDやSDの目的はどうするか

FDやSDを検討する時に、大学のFDやSDの方針、また設置認可等の学部があれば設置の趣旨でFD等についての内容を確認します。その上で「大学として今後教育研究を進める上で何をすればいいのか、現場での課題は何か」といったヒアリングをします。

「〜〜を理解させたい、出来るようにしたい、知ってほしい」というトップダウン式の研修にするのか、「現場での課題は〜だから、解決する為の起爆剤にしたい」といった現場からの意見、どちらを重視するかはその時によって異なります。

ただ、FDやSDを考えるときにはいつも組織階層として大学全体、学部、学科、部署等で考えるようにしています。例えば大学全体の研修はトップダウン式、学部以下の組織レベルで行う研修は現場レベルの課題解決を目的とした研修にする事が多いです。

 

2.講師はどうするか

研修の講師を学内から選ぶのか、学外から選ぶかはいつも悩む所です。学内であれば、講師依頼のスケジュールは多少猶予がありますが、外部から講師を招聘する場合はスケジュール調整もあるので、遅くとも2〜3ヶ月前までには依頼しないと相手方の準備もあります。

また学内から講師を選ぶ時はあえて若手中堅の教職員に依頼する事があります。それは講師を行うという事も研修とする為です。(当人からは非常に嫌がられる事も多いですけど)

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3.講師と内容の調整をどうするか

外部講師の場合は、単に「〜について講演してほしい、話をしてほしい」とだけの依頼は極力避けるように部下には話をしています。

できれば、講師の方に本学の状況や課題を伝えた上で、「どういう目的で何故この話をしてほしいのか、どういう話をしてほしいか」を伝えるようにしています。これをしておかないと、たまに事例だけ話をされて終わりというケースがあり、単に研修が知っただけで終わってしまう事を防ぐためでもあります。

大学からは言いにくいことを外部の講師に言ってもらうと画策する事もあります

可能であれば事前に直接、話をするようにしていますが、「忙しく、話や事前相談はしなくて大丈夫」という先生程、事例はいいけど、研修としての目的と乖離している話をされてしまったと後で公開する事があるのです。

 

4.研修の方式はどうするか

研修はついつい話を聞くだけで終わりがちです。確かに企画するほうも、参加するほうも講演形式は楽ですよね。参加者の中は、後ろのほうに座って内職している人も見かけますね。内容いかんによっては、簡単なワークショップの実施や発表などもふまえて行う事も検討が必要です。