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卒業時調査の方法と実態

平成30年度の私立大学等改革総合支援事業タイプ1では、新規の設問が沢山追加されました。今年度、該当の補助金を申請された大学はかなり苦労したかと思います。

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新規の設問の中で、今回ハードルが高かったと思うものに「卒業時調査」があります。

これは「学修成果に係る自己評価に関する」調査と定義され、卒業時または卒業予定の段階で実施したアンケート調査を実施しているかが問われます。さらに回収率が80%以上でないと満点が取れない設問なので、かなり厳しいです。

既に次年度の私立大学等改革総合支援事業の申請を目指して、卒業時調査について検討している、もしくはこれからする大学があるでしょう。

今回は少し気になった卒業時調査と卒業時調査の実態について調べたものをまとめました。

 

卒業時と卒業予定

卒業時調査では、卒業時または卒業予定の段階で実施した調査と要件付けられています。

卒業時とは

まずは卒業とは何でしょうか。

学生は卒業要件を満たすと卒業出来ます。(大学設置基準第32条)

第三十二条 卒業の要件は、大学に四年以上在学し、百二十四単位以上を修得することとする。

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卒業要件は大学の学則や履修規程などに規定されているかと思います。

また卒業要件を満たすと、卒業については学長が決定を行うにあたって、教授会で卒業について意見を述べる手続きがされます(学校教育法) 

第九十三条 大学に、教授会を置く。
2 教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする。
一 学生の入学、卒業及び課程の修了
二 学位の授与
三 前二号に掲げるもののほか、教育研究に関する重要な事項で、教授会の意見を聴くことが必要なものとして学長が定めるもの

本学の場合、後学期の授業が1月に終わり、2月下旬に成績が出て、3月最初の決められた日の教授会で卒業について議題が上がります。卒業が決まるのは教授会終了後、学長が決定をしますので、3月2週目ぐらいに決定します。

卒業時とすると、本学の場合は卒業が決定した時なので、3月中旬が適当であろうと考えています。

卒業予定とは

就職活動では卒業見込証明書を発行し、使う事があるかと思います。大学では卒業見込という言葉は一般的だと感じます。卒業見込証明書はおそらく4年生になると大学が発行してくれるようになりますね。

ただ卒業予定証明書という名称は殆ど聞いた事はありません。(卒業予定者へというネット上での掲示はたまに見ますね。

卒業予定という言葉を聞くのは、キャリア関連、特に就職活動かと思います。例えば、大学の就職率に関する資料などに就職予定者数と記載するケースもあるでしょう。

また就職状況調査でも、卒業予定者とされています。

平成29年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(12月1日現在):文部科学省

上記の文科省の調査だと10月から行う調査から卒業予定者としているようです。

インターネット上だと、就活に関するサイト等で「卒業見込み」と「卒業予定」の違いについて解説をしているようですが、明確なエビデンスに基づいたこれだというものもありません。

そこで「予定」と「見込み」について言葉の定義を確認すると下記の通りとなります。

【予定】

前もって定めておくこと。あらかじめ見込みをつけること。また、その定められたことや見込み。

"よ‐てい【予定・預定】", 日本国語大辞典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2018-10-18)

 【見込み】

(1)見た様子。みば。みえ。見かけ。外観。

(2)目をつけてねらいとするところ。手に入れようとめざしているもの。めあて。

(3)先行きの予想。また将来の可能性や望み。あて。

(4)刀の鍔などの細工物で、入念な細工をした物。

(5)茶碗や鉢の内面。

(6)建築で、部材の側面。

"み‐こみ【見込】", 日本国語大辞典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2018-10-18)

どうも日本国語大辞典の言葉の説明を見ると見込みより予定のほうが確実性が強いようです。

今までのとをまとめると、個人としては4年次前期までは卒業見込み、4年次後期からは卒業予定としてもいいかと感じます。

ただ、大学によっては教学は卒業見込み、就職は卒業予定と使うケースもあるでしょうし、時期によって変えている事もあるでしょう。また大学側がそのように定義しても、改革総合支援事業に関しては卒業予定と判断するのは先方ですので注意しましょう。

(ふと思うのは、改革総合支援事業の設問を作った人はあまり意識せずに卒業時調査の要件を書いたのではないでしょうかね)

 

大学の卒業時調査の実態

大学ではどのような卒業時調査が行われ、回収率はどうなっているのでしょうか?

今回、「卒業時調査」で検索をかけた結果と、「卒業生調査」で検索をかけた結果を精査しまとめました。

卒業生調査も検索したのは、下記の図にあるように、①卒業前の学生を対象にしたものと②社会人を対象にしたものが混在している為です。

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また私立大学等改革総合支援事業にあるように、学修成果に係る内容が含まれている調査をピックアップしています。たまに大学の満足度のみの調査がありましたが、今回は入れていません。

ピックアップした大学と調査の公表URL 

中央大学

http://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/overview/evaluation/survey/pdf/survey_01.pdf?1527724800029

京都外国語大学

本学の取り組み 卒業生・在学生アンケート | 授業や学生生活に関する調査報告 | 大学案内 | 京都外国語大学・京都外国語短期大学

宮崎国際大学

https://www.mic.ac.jp/files/uploads/investigate_graduate.pdf

京都精華大学

https://www.kyoto-seika.ac.jp/about/files/2017/06/gd_questionnaire2016.pdf

金沢工業大学

各種アンケート結果 | 大学案内 | KIT 金沢工業大学

https://www.kanazawa-it.ac.jp/about_kit/29_sougou.pdf

成城大学

満足度96.6% 2018年卒業生アンケート | 成城大学

法政大学

各種アンケート調査結果|法政大学 総長室付 大学評価室|法政大学

目白大学

「卒業生アンケート」の学生向けフィードバックを実施しました | 目白大学教育研究所

青山学院大学

https://cdn.aoyama.ac.2xx.jp/wp-content/uploads/2018/09/2_2017%E5%B9%B4%E5%BA%A64%E5%B9%B4%E7%94%9F%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C_WEB%E5%85%AC%E9%96%8B%E7%94%A8.pdf

これらの調査について、調査実施期間や実施方法、そして回答率など公表されている範囲でまとめました。

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調査の実施方法について、卒業時の調査はWEBもありましたが卒業式や学位授与式当日に実施するという大学もあります。事例はあまり多くないのと大学によって状況が違いますので、断定は出来ませんが直接配布回収のほうがやはり回収率は高いですね。

特に驚くべきは法政大学です。大規模大学なのに回収率が約88%は驚異的な数字かと思います。

 

終わりに

近年は様々な調査が増え、調査疲れという言葉も聞きます。言うまでもなく卒業時調査も学生にも負担をかけますし、大学側も実施や集計にコストがかかります。補助金の為にやるのではなく、例えばアセスメントの一環として取り入れるなど、活用できるものにしなければなりません。使わない調査こそもったいないし、無駄ですね。