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教学マネジメント特別委員会の議論のまとめと気になる点のメモ

2018年11月に文部科学省の中央教育審議会で出された「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)(中教審第211号)」は、2040年の展望や高等教育が目指す姿、教育研究体制、そして教育の質保証と情報公開について記載がされています。

そして2018年12月に中央教育審議会の大学分科会に「教学マネジメント特別委員会」が設置されました。この委員会の所掌事務は「各大学等における教学マネジメントの確立に向けた方策(学修成果の可視化や情報公表の在り方を含む)について専門的な調査審議を行う」とされ、2019年1月16日時点で第1回は12月18日、そして第2回は1月16日と2回開催されています。

議論は平成31年度3月以降も続くようですが、この特別委員会で審議された内容は、大学にさせる為に、私立大学であれば私立大学等改革総合支援事業に盛り込まれる可能性は十分あります。

 

教学マネジメントに係る指針と気になる点

教学マネジメント特別委員会の第2回の資料を見ると、「教学マネジメントに係る指針に盛り込むべき主な事項の全体像(案)」や今後の特別委員会の審議ロードマップがあります。

この指針については既にグランドデザイン答申に記載されています。

その上で、各大学の教学面での改善・改革に係る取組を促していくために、必要な制度改正に加え、各大学における取組に際してどのような点に留意しどのような点から充実を図っていくべきかなどを網羅的にまとめた教学マネジメントに係る指針を、大学関係者が参画する大学分科会の下で作成し、各大学へ一括して示す

               ~略~

【参考】教学マネジメントに係る指針に盛り込むべき事項の例
・プログラムとしての学士課程教育と三つの方針の策定、全学的な教学マネジメント
の確立について
・カリキュラム編成の高度化(ナンバリングや履修系統図の活用、編成における外部
人材の参画等)、アクティブ・ラーニングやICT を活用した教育の促進
・柔軟な学事暦の活用、主専攻・副専攻の活用、履修単位の上限設定(CAP 制)の適
切な運用、履修指導体制の確立、シラバスにおいて標準的に期待される記載事項の
提示、成績評価基準の適切な運用、学生個人の学修成果の把握、学修時間の確保と
把握、学生による授業評価
・FD(ファカルティ・ディベロップメント)の高度化、SD(スタッフ・ディベロップ
メント)の高度化
・教学IR 体制の確立
・情報公表の項目や内容等に係る解説 等

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そして今回の教学マネジメントに係る指針に盛り込むべき主な事項(案)は下記になります。

  1. 学修目標の具体化
  2. 授業科目・教育課程
  3. 成績評価
  4. 学修成果の把握・可視化
  5. 教学マネジメントを支える基盤(FD・SDの高度化、教学IR体制の確立)
  6. 情報公表

上記6個について、気になる点をまとめます。

1.学修目標の具体化

三つの方針の策定が義務化となり、2017年度から大学は学位プログラムごとに方針を策定しています。この三つの方針の中で「卒業認定・学位授与の方針」所謂ディプロマポリシーは学生の学修目標として機能し、「具体的かつ明確な目標を示す必要」と指摘されています。

試しにいくつかの大学のディプロマポリシーを検索してみてください。大きくまとめた(ふんわりとした)ディプロマポリシーが散見されるかと思います。これを「具体的に示しなさい」、その際は「「学生は~することができる」という記述で能力を規定することが原則として必要」と指摘しています。

そうすると、大学によってはディプロマポリシーの見直しが必要です。でも「~することができる」だと、規定するものが多くなり、ディプロマポリシーはかなり長文になりそうな気がします。

またディプロマポリシーは産業界のニーズだけではなく、国際社会や地域社会も含むニーズを見る必要があるのと、方針を産業界や地域社会といった外部の関係者の意見をふまえて作成する必要とも言っています。

ただ私立大学等改革総合支援事業のタイプ1や教育の質に係る客観的指標では三つの方針の点検評価に学外の参画が条件になっていますね。

2.授業科目・教育課程

教育課程は体系性と順次性が学士課程答申などからも言われています。そのためにカリキュラムマップについて言われてきました。今回の委員会では、「(カリキュラムマップを)学生に分かりやすい形で提示されること」や「学内外に教育課程の体系性を明らかにする観点から「ナンバリング」を実施すること」の必要性が指摘されています。

さらにカリキュラムの編成は、体制を整えて大学及び学位プログラム全体で組織的に行われる必要とありますので、教授会で議論したからカリキュラム変更が出来るという事ではなく、専門の委員会などでカリキュラムについて検討する必要があるかもしれません。
なお、これは私立大学等改革総合支援事業タイプ1の②「教学マネジメント体制」にも同様の内容があります。

またこれから起こりそうな事として、キャップ制度が機能していないと指摘がされていますのでキャップ制度の厳格化(半期で〇単位まで)もありそうです。(ただし認証評価ではおおよその目安はあります)

3.成績評価

成績評価は厳格化というキーワードでまとめられると考えています。ただ「成績評価について、事後に意図されたとおりの成績表が行われたか検証を行うことも重要」とあるのは引っかかります。

4.学修成果の把握・可視化

今回、きちんとディプロマポリシーと学修成果を結びつけるように書かれています。また今後学修成果等の情報は公開が義務化されるでしょうが、これらについては「ベンチマーク等が可能となるように共通理解となるような形で指針において示す必要がある」そうです。またディプロマサプリメントの作成と活用についても指摘されています。

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5.教学マネジメントを支える基盤(FD・SDの高度化、教学IR体制の確立)

高度化とは何でしょうか?「教員の参加状況は必ずしも十分とは言えない」や「教学マネジメントに係るPDCAサイクルの一環として有効に機能するように」と言われています。
例えばPDCAサイクルで課題が出た場合に、その課題に対するFDを行うという事でしょう。


また授業アンケートを用いたFD(既に私立大学等改革総合支援事業タイプ1に設問あり)やFDとSDが合体したPD(professional development)のキーワードも挙げられています。

こういうPDとか出てくると、また一部で混乱するので、きちんと定義づけをしていただきたいです。


⑥情報公表

こちらはグランドデザイン答申や情報の公表の今までの議論をみたほうがいいですね。

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ただ情報公表については

公表義務付けが考えられる情報又は一定の指針を示すことが考えられる情報の定義や数値の算出方法、わかりやすい形での公表方法等について、各大学の実態等を踏まえつつも、ベンチマーク等が可能となるように共通理解となるような形で指針において示す必要がある

とされていますので、今後指針が出てくるでしょう。

 

終わりに

今回見た限りではそんなに目新しい事はありません。また2018年度の私立大学等改革総合支援事業タイプ1の設問とほぼ同様の内容もあると思われます。

ただ2019年度の私立大学等改革総合支援事業タイプ1は、選定校予定数がさらに減る見込みです。つまり補助金によって、文部科学省や国側は政策誘導しにくくなりますので、このような指針や法令改正で誘導するのでしょうか。

なんか、今回の事項を見ていると大学設置基準の大綱化前のように雁字搦めになりそうな将来が彷彿します。