2018年11月26日に文部科学省の中央教育審議会で大学分科会将来構想部会を中心に審議を進めたものが「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」として取りまとめられ、公表されました。
2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)について:文部科学省
答申の概要版を見れば、主だった内容を把握することが出来ます。ただ、答申は今後の大学の政策に関する部分や重要なキーワードが書いてある為、答申本文も目を通す必要があります。
ただ全てを目を通すのは毎回大変なので、私立大学で働き、補助金や学部等の設置などの業務を担当する立場として、仕事をする上で重要と思われるキーワードをマインドマップとしてまとめました。
「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」マインドマップ
答申では、同じキーワードが何回も出てくる(再掲)場合があるので、それらのキーワードは省略しているケースもありますす。
また文字が小さく読みにくい場合は、オリジナル画質を下記からどうぞ。約2MBあります。
個別「2040年に向けた高等教育のグランドデザインマインドマップ」の写真、画像 - 公開 - as-daigaku23's fotolife
2040年高等教育グランドデザイン答申の気になる点
今回の答申の印象は、大学教育に関する記述は今までの答申や議論で言っている事で特に目新しい事がありません。非常に大きいと感じるのは大学設置基準の改正でしょうか。
特に学生と教員の比率や教員組織の在り方が新たに再定義されるという事は、人事計画が大きく変わります。大学の支出は人件費が大きいですので、これによって大学経営計画も見直しをしないといけない可能性があります。
また経営的側面からは大学の社会からの退場や大学の統合について何回も出てくるのが非常に印象的です。
リカレント教育の履修証明プログラム
履修証明プログラムは120時間から60時間に変更となります。講座を受ける社会人の負担軽減というのもあるでしょうが、現状のプログラムが120時間に満たない履修証明プログラムも多く、実態に合わせたというのもあると考えられます。
ただ従来のプログラムのルールをグレードダウンすると、プログラムそのものの価値が落ちてしまうのではないかと危惧しています。
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実務家教員の配置や育成プログラム
自分の経験を伝えたいと考えている人が少なからずいるでしょう。そして実務家教員の配置というニュースはその人たちに明るいニュースかもしれません。しかし、大学の現場として気になるのは、実務家教員の定義です。
過去に実務経験が数年でもあるのがOKであれば、大学にそのような人たちは沢山います。特に資格課程を持つ学部学科はその割合が高い傾向にあります。
いうまでもなく、過去に実務経験があっても大学教員になれば、業績を積み重ねていく(論文を書いて発表する)事が求められていきます。育成プログラムも今後出るようですが、育成プログラムを経た人でないと実務家教員として認めないという条件がつかない限りは、プログラム経験者を優遇して採用することはないでしょうね。
学部単位の事業譲渡
学部単位の事業譲渡とは、どのようなケースで学部譲渡されるのかは非常に気になる所です。A大学の経営が厳しくなり、B大学へ学部を譲渡するケースが考えられますが、施設や教員組織などを考えると中々簡単にはいかないでしょうね。
嫌なやり方をすれば、学部や学科を一からつくり、入学・収容定員枠を増やすのは大変なので、学部を譲渡してもらって採算が取れないと思ったらすぐに学部学科を改組してしまうケースがあります。
学生の入学・収容定員枠は大学にとって貴重な財産です。これを増やすのは学内でのコンセンサスや所轄官庁への申請は大変ですので、条件次第では譲渡のほうが楽になるかもしれません。
おまけ
また今回の答申に関連した過去の記事はこちらです。
またマインドマップをテキストファイルに書き出したものは下記となります。マインドマップに記載されている上から順のテキストとなります。階層別のテキストではありませんのでご注意下さい。
• AIではなく人が果たすべき役割を考え実行できる人材
• 学修者本位への教育への転換
• 大学で連携した実施の要請
• 地域連携プラットフォーム
• (私立大学等改革総合支援事業)
• 大学等連携推進法人(仮称)
• 単位互換制度
• 学位の国際通用性の確保
• 学位の専攻分野の名称の可視化
• 国内情報センターの設立準備
• 学位英語表記の整理
• 2040グランドデザイン
• 2040年の展望
• 必要とされる人材
• 読解力や数理的思考力を含む普遍的な知識理解
• 汎用的な技能
• 高等教育が目指す姿
• アウトプットからアウトカム
• アウトカムから教育の体系化
• 少人数教育やICT活用
• 個々人の学修の達成状況の可視化
• リカレント教育の推進
• 教育研究体制
• 多様な学生
• リカレント教育
• 履修証明プログラム
• 120時間から60時間へ
• 単位累計加算制度
• 実務家教員の育成プログラム
• 留学生
• 受入から、共に学ぶ教育プログラムの提供
• 他機関との連携
• 英語の教育プログラム
• 就職と在留政策
• 日本留学試験の利用促進
• 大学での日本語準備教育設置の推進
• 多様な教員
• 学部学科横断の学位プログラム
• 実務家教員の配置
• 大学設置基準で規定
• 柔軟な(大学の)ガバナンス
• 近年の取組
• 幹事の権限強化
• 副学長の職務の変更
• 学校教育法第92条第4項
• 教授会の役割の明確化
• 学校教育法第93条
• 国立大学の一法人複数大学制の導入
• 私立大学の連携・統合
• 連携・統合支援
• 学部単位の事業譲渡
• 早期撤退の経営判断を促す指導
• 大学等連携推進法人(仮称)
• 単位互換制度と設置基準の見直し
• 大学の多様な「強み」の強化
• 世界を牽引する人材の養成
• 高度な教養と専門性を備えた先導的な人材を養成
• 高い実践能力を備えた人材を養成
• 教育の質保証と情報公開
• 情報公開
• 大学
• 教育の質の情報を把握・公表
• 取り組まない大学
• 社会からの厳しい評価
• 社会から撤退
• 国
• 全学的な学生調査・大学調査
• 一覧化して公表
• 学修成果・教育成果の可視化の情報
• 大学教育の質に関する情報
• 全学的な教学マネジメント
• 3つの方針の策定と教学マネジメントの確率
• カリキュラム編成の高度化
• ナンバリング
• 履修系統図
• カリキュラム編成の外部参画
• アクティブラーニング・ICT活用
• 柔軟な学年歴
• 主専攻・副専攻の活用
• CAP制度の適切な運用
• 履修指導体制の活用
• シラバスの標準記載事項の提示
• 成績評価基準の適切な運用
• 学修成果の把握
• 学修時間の把握
• 学生による授業評価
• FDとSDの高度化
• 教学IR体制の確立
• 情報公開の項目や内容等に係る解説
• 質保証
• 大学設置基準の見直し
• 学生/教員比率の設定
• 教育課程を踏まえた教員組織の在り方
• ICTを活用した授業の施設設備の在り方
• 履行状況調査・認証評価
• 法令違反
• 資源配分への反映
• 改善勧告や変更命令
• 認証評価
• 分野別評価
• 一定基準で整理
• 分野別参照基準の活用
• 学修成果のデータの活用