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大学制度に関する文部科学省の今後の検討と大学の検討確認事項

2018年9月20日(木)に中央教育審議会 大学分科会 将来構想部会
制度・教育改革ワーキンググループの審議まとめ(案)の資料が公表されました。

制度・教育改革ワーキンググループ(第19回) 配付資料:文部科学省

 

今までの議論をまとめたものであるので、新しい項目はありません。しかし、今後、もしくは既にその中の一部は私立大学等改革総合支援事業などで政策誘導が進んでいる物もあります。

 

今回、文部科学省の今後の方向性から、大学が検討しなければならない事項について、自分のメモとしてまとめました。

 

※この記事は、今後、修正を加える場合があります。おそらく審議まとめの(案)が取れたころには加筆修正します。

 

学位プログラムを中心とした大学制度

学位プログラムについては既に過去の記事でまとめています。要は新しい横断的な教育課程を既存の資産を使って設置する事ができるというものです。

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さて、この制度についてですが学生組織について以下のような記載があります。

学部・研究科等の組織を越えた学位プログラムに所属する学生の数については、当該学位プログラムと緊密に連携・協力する複数の既存学部等の収容定員数を合計した数の範囲内の数で学則において定めるものとする

さて、大学が新しく学部学科を作る(設置認可や届出をする)時は、どんな時でしょうか?1つは社会的ニーズの変化があると思います。また学生募集がうまくいかない時というのもあるでしょう。

今回検討されている制度は、既存の枠を使って、学際的な教育課程をつくります。ただ設置審査については、おそらく今まで通りですので、大学側があえてこの制度を使うよりかは、学部学科を改組したり、収容定員を集めたりするほうが現実的かもしれません。

 

教育課程の改善、指導方法の改善等による学修の質の向上

ここではシラバスや学修評価、実務家教員についてが主な内容です。

シラバスについて

ただシラバスについては、準備学習に必要な学修時間の目安やDPと授業科目との関連についてが指摘されていますが、私立大学等改革総合支援事業タイプ1においては既に設問の中に登場し、対応している大学もあるかと思います。

学修評価について

学修評価はGPAについて記載されていますが

GPA等の適切な運用の在り方や活用の好事例を教学マネジメントに係る指針のなかで示す

とあります。GPAの計算式なんて、どこも一緒だろうと考えていましたが、「GPA計算除外科目」を設けている大学もあります。またGPAの運用方法としては、退学等勧告や学生表彰、CAP制度の緩和などをよく聞きます。

しかし改革総合支援事業タイプ1の設問にもあるように、GPAを用いた成績評価の標準化などが今後求められてくるのではないでしょうか。

実務家教員について

大学として考えるべき点は実務家教員についてですね。ここで気になった記述は、次です。

実務家教員が自らの実務における経験を教育課程に反映することで教育の質を向上させるために、専任でない実務家教員であっても6単位以上の担当授業科目を持つ場合には、教育課程の編成等に対して責任を負う者とするよう努めるべきことを規定

「教育課程の編成等に対して責任を負う者」の定義が曖昧ですよね。そもそも教育課程の編成については「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)(平成26年2月12日 大学分科会)

学校教育法に規定する,教授会が審議すべき「重要な事項」の具体的内容として,①学位授与,②学生の身分に関する審査,③教育課程の編成,④教員の教育研究業績等の審査等については,教授会の審議を十分に考慮した上で,学長が最終決定を行う必要がある

とあります。

<参考>

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律及び学校教育法施行規則及び国立大学法人法施行規則の一部を改正する省令について(通知):文部科学省

これを適用するならば、専任でない実務家教員でも、これらに関わるという事でしょうか?さすがに国は今までの議論との矛盾をそのままにしないと思いますので、そのうち指針が出るでしょう。

 

リカレント教育 

 リカレント教育は過去記事でも取り上げています。 

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ここで気になるのは、社会人が学びやすい環境の整備として履修証明プログラムの制度変更ですね。具体的には今まで120時間必要だったのが60時間でもOK、履修証明プログラム全体に対して単位授与が可能という事です。

60時間だと1単位ちょっとですが、90時間のプログラムにすれば2単位まで付与がいけそうですね。 

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学位等の国際的通用性

学位の専攻分野の名称が細分化されている事が問題視されているのは以前からですが、今回留意すべき事項として学位の英語表記があります。

英文表記として、日本学術会議の提言を参考に、「Bachelor of(学術的に広く認知されている分野の名称)in(現在付記している名称)」とすることを国が推奨

ただ、大学設置室にある学部学科設置時の書類「設置の趣旨」に記載されている学位の英語表記は、上記のようになっているケースばかりでしたね。

 

大学間の連携による教育プログラム等の多様化

改革総合支援事業タイプ5のプラットフォームでもありますが、ここでは単位互換制度についてです。

ここでは教育課程上の位置づけに応じた単位認定の基準と方法が記載されています。

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また以下についても確認が必要です。

大学設置基準第19条第1項の「自ら開設」の原則に照らせば、単位互換制度の利用を前提に、通常必要とされる授業科目を開設することなく、他大学の授業科目をもって代替させるような取扱いは許されない。なお、ここでいう「通常必要とされる授業科目」とは、必要最小限(卒業要件単位数)の授業科目という意味ではなく、教育内容の豊富化や多様な学修ニーズに対応し、学生の選択の幅を確保できるだけの授業科目を開設する必要があることに留意が必要。

でも最近はCAP制度の厳格化や教育課程の体系化により履修系統図や履修モデルの作成と公表が必要になっている中で、真逆の事を言っているように思えるのです。

 

例えば卒業までに124単位必要で、CAP制度の厳格化や履修系統図や履修モデルの提示により、学生の履修の選択の幅は狭まっているかと思います。

 

ただ、科目数も増やせば増やすほど、近年財政状況が厳しい大学には重い負担ですので、科目数を減らす検討が課題となっている大学もありますので、単位互換制度をうまく使う手もあるかもしれません。