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大学の情報公開と中退率公開の課題

大学の留年・中退率公開義務化が、現在中教審のワーキンググループで検討されているとニュースが出てきました。(H30.9.19引用)

www.nikkei.com

 今後の大学の在り方を議論する中教審部会のワーキンググループ(WG)は18日、各大学に対し、学生の留年・中退率、単位の取得状況などの情報公開を義務付けるとした提言案を了承した。

               ~略~

提言案は情報公開の現状について「大学の教育成果や学生の知識・能力の習得状況が確認できない」と指摘。新たな公表項目には、教員1人当たりの学生数(ST比)、学生の満足度なども盛り込んだ。

今まで、法令上で公開を定める項目の中に学生の留年・中退率などは入っていませんでしたので、各大学は今後対応をすることになります。

 

なお、今までの情報公開の流れについては過去記事をご参照下さい。 

www.daigaku23.com

 

大学の留年・中退の情報公開の現状

大学が公開したくない情報として、大学の留年・中退の情報は最たるものでしょう。「昔、就職率を公表せよ」という時は、大学としてどう対応するかといった情報交換がかなりされていました。 

では、大学の中退などの情報は、今は調べる事が出来ないかというと、そんな事はありません。例えば駒澤大学のファクトブックでは、中退率を経年変化で見られるよう公表されています。

www.komazawa-u.ac.jp

また大学によっては、自己点検評価報告書やアニュアルレポートなどで公開しています。

 

外部調査による中退等情報の公開

大学には多くの調査がきています。回答しないと、回答の督促や理由を聞かれる調査もあったり、内部から「ライバル大学の情報はあるのに、なぜ本学の情報はないのか」といった突き上げもあったりで、回答率が高い調査もあるでしょう。

その一つとして、「大学の実力」があります。ここは、中退などの設問があり、それらの回答結果の中退率などの情報は冊子やネットで公開されています。 

大学の実力 2019 (単行本)

大学の実力 2019 (単行本)

 

kyoiku.yomiuri.co.jp

上記で大学の中退率を調べたり、比較もできますので、調べようと思えば何とでもなってしまうのです。

 

大学の情報公開の課題

中退などの情報公開が義務化されたとしても、実は大学はあまり影響がないのではないかと考えています。おそらく義務化されたとしても、項目が追加される&インターネットで公表という内容でしょう。

ただ大学の情報公開は現状としていくつか問題があるように感じます。

大学の情報公開の場所

学校教育法施行規則で定まっている情報公開の項目は、大学のホームページのどこで公表されているか、分かりにくい大学が非常に多いです。

通常は大学の概要のメニューの中に入っている事が多いですが、巧妙に隠しているケースもあります。大学関係者でも中々発見できない情報であれば、大学関係者以外の人だと情報公開データを調べて見るのはかなり至難であるなと感じます。

大学のHPのトップページから3クリックぐらいまでが限度ではないでしょうか?

情報公開のフォーマット

またどのように情報公開しているかも課題です。例えば学生数にしても、サイトで直接公表しているケースやPDFデータで公表しているケースもあります。

またPDFもテキストデータがなくコピペが出来ないようにしているケースやPDF印刷不可としているケースもあります。

 

大学ポートレートは項目や活用の検討は必要ではないか

大学が独自のHPに公開する場合、公開はしているけど、中々情報に行きつかないケースというのは、今後変わらずにあるでしょう。

1つの課題解決として、大学が情報を打ち込み、一つにまとまっている「大学ポートレート」があります。ただ現時点の大学ポートレートの公表項目は、中退などの情報は入っていません。

公表項目 – 大学ポートレート

ここに中退項目が入れられば、同じサイトで見られますのでユーザーニーズはあるかもしれません。

 

ただ、大学ポートレートでは、大学間の情報の比較は一部項目のみになっている、文字情報が非常に多い、アクセス数は月平均30万程度(H28とH29では、H29はアクセス数が上がっている)で中規模大学のHPのアクセス数ぐらいと気になる点がいくつかあります。

大学ポートレート運営会議の開催について

 

また大学ポートレートの設計は、おそらく国や大学関係者らしく「情報を知りたい人は、調べて、見てくれる」という前提があるのではと感じています。

一方、高校生などは「情報を知りたい場合は、スマホで、最小限の労力で情報にたどり着きたい」というのがあるでしょう。 高校生向けに情報公開をするなら、大学ポートレートをスマホでもタブレットでも画面サイズに依存しないレスポンシブデザインにする検討が必要ではと感じます。

(その為には大学ポートレートがどのような端末で、どのような人たちに見られているかを調べてる必要があるでしょう)

 

大学ポートレートにアクセスすると、見た人の属性について聞かれるアンケートが表示されますが、面倒くさがりな人は、あの画面だけで大学ポートレートから離脱(消して)しまうと思います。

 

大学の情報公開のまとめ

現時点で中退情報の公開は、既に公開されている情報の大学も多いです。また現在の大学の情報公開は、HP内に巧妙に隠しているケースもあります。

法令で中退率などの公表について定めても、どのように公表すべきかを指針を出さないと、見られない情報公開で形骸化してしまうのではないでしょうか。