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大学設置基準等の一部を改正する省令案骨子案のメモ

大学設置基準の改正は今まで文科省の大学分科会や各種委員会等で議論がされていました。

そして、令和4年5月17日の大学分科会(第167回)で大学設置基準の改正に関して、骨子案が示されています。

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今回の改正は、例年になく大きいものです。

ただ当初は大学設置基準はスクラップビルドのイメージでしたが、そこまでではなかったという印象もあります。

そこで大学設置基準等の一部を改正する省令案骨子案から、該当する大学設置基準を比較してみられるようにしてみました。なお、個人的なメモもちょっとついております。

なお、教員の基幹教員はこちらが参考になります。

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大学設置基準は長文の場合はすべて引用してはおりません。また赤字は筆者によるものです。

  改正 該当の大学設置基準 個人メモ
総則等理念規定の明確化 (1) 入学者選抜(第2条の2)及び教育課程の編成(第19条第1項)について、学校教育法施行規則に定める3ポリシーに基づき行うものとすることを明確化するよう改める。  (入学者選抜)
第二条の二 入学者の選抜は、公正かつ妥当な方法により、適切な体制を整えて行うものとする。
(教育課程の編成方針)
第十九条 大学は、当該大学、学部及び学科又は課程等の教育上の目的を達成するために必要な授業科目を自ら開設し、体系的に教育課程を編成するものとする。
3つの方針との関係について、各大学で確認が必要(内容は適切かどうか)
  総則の理念(第1条第3項)について、自己点検・評価、認証評価の結果を踏まえ、不断の見直しを行う旨明確化を行うよう改める。  3 大学は、この省令で定める設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、その水準の向上を図ることに努めなければならない。 定期的に行う自己点検・評価項目に大学設置基準を満たしている(以上)を確認、点検評価する必要性
教員組織・事務組織等の組織関係規定の再整理 「教員組織」(第7条第1項)について、事務職員等も参画し教育研究活動を行うことを明確化する観点から、「教育研究実施組織」に改め、大学は、その教育研究上の目的を達成するため、必要な教員及び事務職員等からなる教育研究実施組織を編制するものとする旨の規定を置く。  第七条 大学は、その教育研究上の目的を達成するため、教育研究組織の規模並びに授与する学位の種類及び分野に応じ、必要な教員を置くものとする。 教育研究実施組織の編成として、職員の参画をどのようにするか(もしくは求められるか)
例えば学部学科に、職員が構成員として入る可能性もある?
  教育研究実施組織において、教員と事務職員等の連携・協働(第2条の3)の規定の趣旨を取り込みつつ、教員の役割分担と連携のみを規定している現行の教員組織に係る規定(第7条第2項)を改め、大学は、当該大学の教育研究活動等の組織的かつ効果的な運営を図るため、教育研究の実施に当たり、教員及び事務職員等相互の適切な役割分担の下で協働しつつ、組織的な連携体制を確保し、教育研究に係る責任の所在が明確になるように教育研究実施組織を編制する旨の規定を置く。 (教員と事務職員等の連携及び協働)
第二条の三 大学は、当該大学の教育研究活動等の組織的かつ効果的な運営を図るため、当該大学の教員と事務職員等との適切な役割分担の下で、これらの者の間の連携体制を確保し、これらの者の協働によりその職務が行われるよう留意するものとする。
第7条
     ~略~
2 大学は、教育研究の実施に当たり、教員の適切な役割分担の下で、組織的な連携体制を確保し、教育研究に係る責任の所在が明確になるように教員組織を編制するものとする。
上記と関連、事務職員の教育研究への関わりの強化も考えられる。
(例えばカリキュラムコーディネーターなども含まれるかもしれない)
ただし教育だから責任は教員ではなく、職員にもあるということは理解が必要。
  事務組織に並ぶ形で規定されていた厚生補導を行う組織(第42条)について、組織規定の一体的整理及び厚生補導の役割を明確化する観点から、大学は、学生に対し、課外活動、修学、進路選択及び心身の健康に関する指導及び援助等の厚生補導を組織的に行うため、専属の教員又は事務職員等を置く組織を編制する旨の規定を置く。 (厚生補導の組織)
第四十二条 大学は、学生の厚生補導を行うため、専任の職員を置く適当な組織を設けるものとする。
厚生補導の具体化、認証評価では改善案のようなものを見ることがある。
また組織的に行うこと、専属の教員が追記されていることも注目。
  事務組織(第41条)について、組織規定の一体的整理及び今日の事務組織が果たす役割を明確化する観点から、大学は、教育研究、厚生補導の円滑かつ効果的な業務の実施のための支援、大学運営に係る企画立案、当該大学以外の者との連携、人事、総務、広報、情報システム、財務、施設整備その他の大学運営に必要な業務を行うため、専属の教員又は事務職員等を置く組織を編制するものとする旨の規定を置く。 (事務組織)
第四十一条 大学は、その事務を遂行するため、専任の職員を置く適当な事務組織を設けるものとする。
どこまで具体的に大学設置基準に記載されるかはわからないが、企画立案、人事、総務、広報などが明記されていることから、職員の仕事についても言及されていると言えるのではないか
基幹教員、授業科目の担当、研修等に係る規定  現行の専任教員規定(第12条)に代えて、授業科目の担当(第10条)について、大学は、 ・教育上主要と認める授業科目(主要授業科目)については、原則として基幹教員(教育課程の編成その他の学部の運営について責任を担う教員(助手を除く。)であって、当該教育課程に係る主要授業科目を担当する常勤の教員又は一年につき八単位以上の当該教育課程に係る授業科目を担当する教員)に、 ・主要授業科目以外の授業科目についてはなるべく基幹教員に それぞれ担当させるものと改める。  (専任教員)
第十二条 教員は、一の大学に限り、専任教員となるものとする。
2 専任教員は、専ら前項の大学における教育研究に従事するものとする。
3 前項の規定にかかわらず、大学は、教育研究上特に必要があり、かつ、当該大学における教育研究の遂行に支障がないと認められる場合には、当該大学における教育研究以外の業務に従事する者を、当該大学の専任教員とすることができる。
(授業科目の担当)
第十条 大学は、教育上主要と認める授業科目(以下「主要授業科目」という。)については原則として専任の教授又は准教授に、主要授業科目以外の授業科目についてはなるべく専任の教授、准教授、講師又は助教(第十三条、第四十六条第一項及び第五十五条において「教授等」という。)に担当させるものとする。
2 大学は、演習、実験、実習又は実技を伴う授業科目については、なるべく助手に補助させるものとする。
教員の規定の大幅な改正だが、ここは大学の持ちコマ規程などから確認すればよさそう。気になるのは「主要授業科目以外の授業科目についてはなるべく基幹教員」であり、兼任(非常勤)とどうするか、今の非常勤きょうんを基幹教員とするのか、その場合の待遇はどうするかなど検討が必要
   質保証の観点から、一年につき特定の学部において八単位以上の授業科目を担当する教員は、複数の学部において基幹教員数の四分の一の範囲内で算定することができる旨を定めるとともに、収容定員が別表に定める数に満たない場合に兼任の教員に代えられる教員数(現行制度は2割の範囲内)と併せて四分の一の範囲内とする旨を定める(別表第一、別表第二の備考)。  別表のため、省略 大学経営上としては、プラスの方向の内容かもしれないが、他の教員への負担増(学生指導、大学運営などなど)が非常に心配である。例えばアカデミックアドバイザー導入など負担軽減を計ることも必要か
  授業科目の担当(第10条)に関し、TA(ティーチング・アシスタント)やSA(スチューデント・アシスタント)などについても条文上明示的に規定する観点から、大学は、各授業科目について、当該授業科目を担当する教員以外の教員又は当該大学の学生その他大学が定める者(指導補助者)に補助させることができるとともに、十分な教育効果を上げることができると認められる場合は、授業科目を担当する教員の指導計画に基づき、指導補助者に授業の一部を分担させることができる旨の規定を置く。  (授業科目の担当)
第十条 大学は、教育上主要と認める授業科目(以下「主要授業科目」という。)については原則として専任の教授又は准教授に、主要授業科目以外の授業科目についてはなるべく専任の教授、准教授、講師又は助教(第十三条、第四十六条第一項及び第五十五条において「教授等」という。)に担当させるものとする。
2 大学は、演習、実験、実習又は実技を伴う授業科目については、なるべく助手に補助させるものとする。
一部であって、授業全部とならないような確認、仕組みが必要か
  教職員の研修等に係る規定(第25条の3(FD)、第42条の3(SD))をまとめて規定する。 (教育内容等の改善のための組織的な研修等)
第二十五条の三 大学は、当該大学の授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究を実施するものとする
(研修の機会等)
第四十二条の三 大学は、当該大学の教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため、その職員に必要な知識及び技能を習得させ、並びにその能力及び資質を向上させるための研修(第二十五条の三に規定する研修に該当するものを除く。)の機会を設けることその他必要な取組を行うものとする。
設置基準上ではないが、教学マネジメント指針から、FD/SDの高度化、またその前にFD/SDのイベント化ではなくどうしたら日常化に出来るか見当が必要
※ここに予算をきちんとつける必要
単位の計算方法 単位の計算方法について、「講義及び演習」と「実験、実習及び実技」に分けて定めている現行の規定を改め、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、おおむね15時間から45時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位として単位数を計算する旨の規定を置く。  (単位)
第二十一条 各授業科目の単位数は、大学において定めるものとする。
2 前項の単位数を定めるに当たつては、一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、次の基準により単位数を計算するものとする。
一 講義及び演習については、十五時間から三十時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。
~以下略~
大学が自ら設定するということは、その設定の根拠を明確にしておく必要がある。
さらに自己点検・評価などでそれが適正かもチェックが必要ではないだろうか
校地、校舎等の施設及び設備等 校地(第34条)について、学生の休息のみを例示している現行の規定を改め、教員と学生、学生同士の交流の場としての校地(空地)の役割についても明確化する。  (校地)
第三十四条 校地は、教育にふさわしい環境をもち、校舎の敷地には、学生が休息その他に利用するのに適当な空地を有するものとする。
2 前項の規定にかかわらず、大学は、法令の規定による制限その他のやむを得ない事由により所要の土地の取得を行うことが困難であるため前項に規定する空地を校舎の敷地に有することができないと認められる場合において、学生が休息その他に利用するため、適当な空地を有することにより得られる効用と同等以上の効用が得られる措置を当該大学が講じている場合に限り、空地を校舎の敷地に有しないことができる。
~以下略~
教員と学生、学生同士の交流の場としての校地があるか、面積だけではなく、機能や質的にも確認が必要
  運動場(第35条)や体育館その他のスポーツ施設及び講堂並びに寄宿舎、課外活動施設その他厚生補導施設(第36条第5項)について、個々に「原則として」又は「なるべく」備えると書き分けている現行の規定を改め、必要に応じ設ける施設として一般化し、大学は、学生に対する教育又は厚生補導を行う上で必要に応じ、運動場、体育館その他のスポーツ施設、講堂及び寄宿舎、課外活動施設その他の厚生補導施設を設けるものとする旨の規定を置く。 (運動場)
第三十五条 運動場は、教育に支障のないよう、原則として校舎と同一の敷地内又はその隣接地に設けるものとし、やむを得ない場合には適当な位置にこれを設けるものとする。
2 前項の規定にかかわらず、大学は、法令の規定による制限その他のやむを得ない事由により所要の土地の取得を行うことが困難であるため前項に規定する運動場を設けることができないと認められる場合において、運動場を設けることにより得られる効用と同等以上の効用が得られる措置を当該大学が講じており、かつ、教育に支障がないと認められる場合に限り、運動場を設けないことができる。
~以下略~
必要に応じての箇所で、必要性の根拠を明確化
  校舎等施設(第36条)については、校舎に備える個々の室の名称を号に分け、会議室、学生自習室、学生控室などを含め詳細に掲げている現行の規定を改め、教育研究上の機能として必要となる教室(第36条第3項)、研究室(第36条第2項)等は引き続き列記しつつ、必要な施設を備えた校舎を有することとして一般化し、大学は、組織及び規模に応じ、教育研究に支障のないよう、教室、研究室、図書館、医務室、事務室その他必要な施設を備えた校舎を有するものとする旨の規定を置く。  (校舎等施設)
第三十六条 大学は、その組織及び規模に応じ、少なくとも次に掲げる専用の施設を備えた校舎を有するものとする。ただし、特別の事情があり、かつ、教育研究に支障がないと認められるときは、この限りでない。
一 学長室、会議室、事務室
二 研究室、教室(講義室、演習室、実験・実習室等とする。)
三 図書館、医務室、学生自習室、学生控室
~以下略~
通常で施設を保有していればそんなに影響なし。(ただ近年は多様な機能をもった施設が必要、ICT環境の充実などは課題)
  図書及び図書館(第38条)については、電子化、IT化の進展や今日の図書館の役割を踏まえた規定に見直す観点から、閲覧室、整理室等の紙の書籍のみを想定した施設に係る規定(第38条第4項、第5項)については削除するとともに、教育研究を促進するため、図書、学術雑誌、電磁的方法により提供される学術情報その他の教育研究上必要な資料を、図書館を中心に系統的に整備し、学生並びに教員及び事務職員等へ提供するものとする旨の規定を置く。 (図書等の資料及び図書館)
第三十八条 大学は、学部の種類、規模等に応じ、図書、学術雑誌、視聴覚資料その他の教育研究上必要な資料を、図書館を中心に系統的に備えるものとする。
2 図書館は、前項の資料の収集、整理及び提供を行うほか、情報の処理及び提供のシステムを整備して学術情報の提供に努めるとともに、前項の資料の提供に関し、他の大学の図書館等との協力に努めるものとする。
3 図書館には、その機能を十分に発揮させるために必要な専門的職員その他の専任の職員を置くものとする。
4 図書館には、大学の教育研究を促進できるような適当な規模の閲覧室、レフアレンス・ルーム、整理室、書庫等を備えるものとする。
5 前項の閲覧室には、学生の学習及び教員の教育研究のために十分な数の座席を備えるものとする。
大学図書館の機能や役割について、今回の改正に合わせて、検討(中期計画に反映等)も必要
教育課程等に係る特例制度 省略 省略 省略
大学設置基準のその他の改正事項
(一部省略)
単位の授与(第27条)について、「試験の上単位を与える」との現行の規定を改め、現行認められている多様な学修評価方法により単位を与えることを明確化するため、大学は、一の授業科目を履修した学生に対しては、試験その他の大学が定める適切な方法により学修の成果を評価して単位を与えるものとする。 (単位の授与)
第二十七条 大学は、一の授業科目を履修した学生に対しては、試験の上単位を与えるものとする。ただし、第二十一条第三項の授業科目については、大学の定める適切な方法により学修の成果を評価して単位を与えることができる。
近年は試験100%については、文科省からいろいろと言われているが、ここでより具体的になった。
(シラバスチェックなどでここもきちんと確認していく必要がある)
  卒業要件に定める在籍年数(第32条第1項、第2項、第3項、第4項)について、修業年限は法律により規定されており、「おおむね4年」の期間を指すものであって厳密に4年間在籍することを求めるものではないことを明確化するよう在籍年数の規定を削除し、併せて大学が定める要件を満たす旨の規定を置く。 (卒業の要件)
第三十二条 卒業の要件は、大学に四年以上在学し、百二十四単位以上を修得することとする。
~以下略~
この規定をどこまで解釈するかで、いろんな戦略が検討できる(9月卒業をきちんと定めることもできる)