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大学として考えるべきは1年後、6年後、18年後の姿かもしれない

2018年度あたりから18歳人口が減少し、大学の競争が厳しくなる2018年度問題と言われていたのは数年前の事ですが、結果的には入学定員を超過して学生を入学させることについて、厳しく倍率が定められています。

倍率は守らない場合は私立大学だと補助金や学部学科の設置などのペナルティ、認証評価などで指摘されますね。

約2年前にこんな記事を書いたのですが、コロナ禍により今は現状よりさらに悪化している印象があります。

www.daigaku23.com

考えるべきは1年後、6年後、18年後

1年後の教育研究を着実にするために

2020年11月時点で各大学は新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮しながら、対面授業あるいは遠隔授業等を実施しています。またそのために様々な機材やシステムを導入したりもしていると聞きます。

このコロナ禍はすぐには沈静化しないでしょうから、大学として何を重点的に行い、支援し、教育研究を行うかは数年後を見据えた中期計画などにも落とし込み着実にやっていく必要があるでしょう。

www.daigaku23.com

見据えるのは6年後の2024年度

ただ考えるべきは1年後だけでいいのかといった疑念もあります。冒頭に述べた2018年度問題は、おそらく想定したほどのインパクトではなかったと感じる大学関係者も多くいるのではないでしょうか?

しかし18歳人口は徐々に減り続け、令和6年度(2024)には106万人となります。今は18歳人口は117万人ほどですので、10%は減るわけです。2018年度問題ではなく、2024年度問題というべき壁があることは大学に関わるものとして頭の片隅に入れておく必要があります。

そして毎年度18歳人口が減っていく中で、(特に中小規模の大学は)一度転がり落ちていくと這い上がるのはもう難しい状況になってきていると考えています。

18年後に最大化する大学の厳しさ

最近のニュースで心配なことは、出生数が過去最少というものです。例えば2019年度人口動態統計では出生数は86万5,239人と過去最少となっています。

resemom.jp

また先日のニュースでは

2020年上半期(1~6月)の出生数は43万709人と、前年同期比で8824人減少した。

とされ、おそらく2020年度は過去最少となる見込みでしょう。またコロナ禍の影響が出生数にどう影響がでるかは分かりませんが、おそらく数年間は出生数はさらに減っていくのではないかと思います。

mainichi.jp

そうなると18年後は多くの大学は現状維持のままにしておくと厳しい現状に置かれることが間違いありません。変化しない大学で生き残っていけるのは、立地条件がよい、もともとブランドや知名度が確固たるところだけでしょう。2020年で50歳ぐらいの人は逃げ切れると安堵するかもしれませんが、45歳以下はそんな事ありません。大学(あるいは法人)が生き残っていく為、また教育研究が充実するためにはどうすべきか、何が最適・最善かを模索し続けなければなりません。

なお、文部科学省は競争に敗れた大学は撤退してもやむを得ないという考えですので、国が助けてくれる、何とかなるだろうは甘い考えです。

<参考>

www8.cao.go.jp

大学としてどう生き残っていくのか

6年後あるいは18年後に大学として生き残っていく為には、何をすべきなのでしょうか?答えは大学によって異なりますが、例えば大学統合なども1つの手でしょう。先日も学校法人慶應義塾と学校法人東京歯科大学の統合について協議が開始されたと公表がされました。

www.keio.ac.jp

これだけではなく、最近だと関西国際大学と神戸山手大学の統合もあります。

www.kuins.ac.jp

慶應義塾大学だと持っていない歯学部ができること、関西国際大学は統合によって総合学園となったこと、さらにアクセスがよい神戸地区にキャンパスを持つことはメリットが大きそうです。

ただ統合は立地や学部構成など互いにメリットがないと中々難しいのではとも思います。単に経営が厳しくなったからどこかに統合できる訳ではないのではないかと思います。例えば学生募集停止を発表している上野学園大学は立地はかなり良いので、どこかのコンサルが動いていると思っています。

大学統合が生き残り化はちょっと疑問ですが一つの手段ではありますが、実は日々きちんと教育研究を行い、それを適切に広報(情報公開を)していく事こそが最低限であり重要だと感じています。

教育改革というと大学の中では非常に嫌がられますが、旧態依然の大学のままでは受験性も集まらない可能性がありますし、情報公開がすすみ、大学を受験する側の目もシビアになっています。

そうなると学生だけではなく、教職員も育成が不可欠であり、大学の執行部の卵を見つけて育てる事もしなければなりません。職員であればジェネラリストを組織は求められることが多いですが、現場でのジェネラリストと執行部となるべきジェネラリストは必要な知識・経験は少し異なるのではないかとも感じています。