平成30年08月30日に文部科学省のホームページで概算要求の発表資料が掲載されました。
2019年度文部科学省 概算要求等の発表資料一覧(2018年8月):文部科学省
事前にニュースにあった通り、私立大学研究ブランディング事業は今回ありませんでした。
さて、概算要求を見る限り、来年度も私立大学等改革総合支援事業(以下、「支援事業」)はあるようです。そこで概算要求の発表資料から、支援事業がどう変わるかを見ていきます。
2017年度から2019年度の私立大学等改革総合支援事業
まずは2017年度(平成29年度)から2019年度(平成31年度)までの支援事業のタイプの変更の流れを図にしました。
なお、平成30年度から平成31年度は私の見立てですので、公式な資料に掲載はされていません。さて、今回の概算要求では、大きな変更点がいくつかあります。大きくは平成30年度まであったグローバル化に関するタイプの消失ですね。
各タイプの名称の内容の変更や追加
今回、いずれのタイプでも名称が変更されています。この名称の変更により内容がどこまで変わるかは現状では分かりません。ただ資料を見る限りはタイプごとに次の点が気になります。
タイプ1【特色ある教育の展開】
・学修成果の可視化に基づく教育方法の改善
・文理横断的な教育プログラムの開発
タイプ2【特色ある高度な研究の展開】
・これは概要を見る限りは平成30年度のタイプ3の大学の分野連携の研究部分のみが含まれているようです。
・社会的要請の高い課題解決に向けた研究
・研究を基軸とした特色化・機能強化(もしかするとブランディング事業の継承でしょう?)
タイプ3【地域社会への貢献】
・概算要求段階だから記載していないかもしれないが、プラットフォームについてスタートアップ型と発展型がないですね。もしかして、区分けがなくなるのでしょうか?(平成30年度予算の概算要求には区分けは記載されている)
今年はタイプ5のプラットファームの申請を見送って、次年度にスタートアップ型で申請しようとしていた地域もあったかと思います。
・地域と連携した教育課程の編成
タイプ4【社会実装の推進】
・概要を見る限りは、平成30年度のタイプ3「産業界との連携」を変わらないのではと思います。
私立大学等改革総合支援事業の選定予定校の減少
選定校数については、教育の質に関わるタイプ1が年々減っているのが顕著です。
しかし、産業界との連携や社会連携は選定予定校数は増えています。
さて、平成31年度の支援事業に関する事で非常に気になるのは、今年から実装された一般補助の教育の質に係る客観的指標ですね。
今年、取り組みが多かった設問について一般補助へ流れていくのであれば、大学によっては補助金が減る可能性もあります。(特に大規模大学でしょうか?)
資料には「教育の質保証や経営力強化に向けたメリハリある配分を本格導入する。」とあります。またタイプ1が次年度メジャーアップデートするのであれば、今年はあって来年は支援事業から消える設問は一般補助にまわされる可能性もあります。
そうすると今年度の支援事業のタイプ1は、申請をしない大学であっても、準備はしておかないと一般補助が多少減る可能性もあるでしょう。
国は、大学の改革の取組度合いによって補助金を変える政策誘導が近年行われています。ただ今までは私学からすると+αのイメージでした。しかし、これからはやらないと取れるはずの補助金がなくなるという事態になるかもしれません。