大学設置基準について、本記事でシリーズとしては最後になります。今回は、第10章の共同教育課程、第11章の工学部の学部、第12章の国際連携学科、第13章の雑則について取り上げます。
なお、平成30文科高第287号(平成30年7月5日)で第11章の工学部教育に関する章が追加され、国際連携学科が11章から12章、雑則が12章から13章になっています。
しかし、共同教育課程や工学に関する学部の教育課程、国際連携学科についての内容は、殆どの大学職員は知らなくとも、そういう内容が大学設置基準に定められていると知っておけば充分です。よって、本文は第13章の雑則のみ、この記事に引用します。
第十三章 雑則
(外国に設ける組織)
第五十七条 大学は、文部科学大臣が別に定めるところにより、外国に学部、学科その他の組織を設けることができる。
(学校教育法第百三条に定める大学についての適用除外)
第五十八条 第三十四条、第三十五条、第三十六条第四項及び第五項、第三十七条、第三十七条の二、第四十七条、第四十八条並びに第四十九条(第三十四条、第三十五条並びに第三十六条第四項及び第五項の規定に係る施設及び設備について適用する場合に限る。)の規定は、学校教育法第百三条に定める大学には適用しない。
(その他の基準)
第五十九条 大学院その他に関する基準は、別に定める。
(段階的整備)
第六十条 新たに大学等を設置し、又は薬学を履修する課程の修業年限を変更する場合の教員組織、校舎等の施設及び設備については、別に定めるところにより、段階的に整備することができる。
共同教育課程について
共同教育課程については平成20年11月に通知が出ています。
大学設置基準等の一部を改正する省令等の施行について(通知) 平成20年11月25日:文部科学省
また詳細は文部科学省のこちらが図解も出ていますので、参考になります。
工学に関する学部の教育課程に関する特例
工学分野の連続性に配慮した教育課程や教員組織について、定めています。特に工学部の連続性に配慮した教員の配置と、専任教員数がそれぞれ詳細に定められています。例えば、企業等との連携による授業科目を開設する場合、「専攻分野におけるおおむね五年以上の実務の経験を有し、かつ、高度の実務の能力を有する者を置くもの」とされ、実務家教員について定められています。
詳細については下記のリンク先がよく分かります。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/06/14/1405960_6.pdf
www.daigaku23.com
大学設置基準及び大学院設置基準の一部を改正する省令等の施行について(通知):文部科学省
国際連携学科について
国際連携学科は、平成26年11月に公布及び同日施行されています。
資料1 大学設置基準等の一部を改正する省令等の施行について(通知):文部科学省
詳細はこちらをご覧下さい。
また大学の事例もあげておきます。
平成30年度開設予定の大学等の設置に係る答申について(平成29年6月29日):文部科学省
外国に設ける組織
大学は(大学院。短期大学含む)、外国に、学部、学科、研究科、専攻その他の組織の一部を設けることができます。この根拠がここになります。
学校教育法第百三条に定める大学についての適用除外
まず学校教育法第百三条を見てみましょう。
第百三条 教育研究上特別の必要がある場合においては、第八十五条の規定にかかわらず、学部を置くことなく大学院を置くものを大学とすることができる。
この学校教育法第百三条は大学院大学に関する内容です。そして校地・運動場・情報処理や語学学習の部屋などは、適用しないという事になります。
段階的整備
これは新たに大学等を設置した場合の教員組織、校舎等の施設及設備の段階的な整備について定められています。大学を作ったとしても、開設1年目から大学設置基準上で必要な教員組織や校舎等を整備る必要はありません。
例えば教員は開設初年度から段階的に採用していけば
詳細はこちらをご覧ください。
平成十五年文部科学省告示第四十四号(大学設置基準第四十五条の規定に基づく新たに大学等を設置する場合の教員組織、校舎等の施設及設備の段階的な整備):文部科学省
(平成30年8月17日更新)