大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

大学や高等教育関連、法令の解説が中心のブログ

【スポンサーリンク】

なぜ、終わりなき大学改革をしなければならないのか

大学改革というワードや、大学改革と考えられる事業はネガティブなイメージを持っている人も少なくはないでしょう。

また類する言葉に「毒まんじゅう」を思いうかべる人もいるでしょう。

さて、今回は私学で働く立場から大学改革について、徒然と書いてみます。

なぜ、大学改革なのか

大学は、大学だけがスタンドアローンで存在しているわけではありません。社会とのつながり、様々なステークホルダーがいます。

そして、社会は刻一刻と変化をしています。例えば十年前は2022年度時点で社会の変化に伴い数理・データサイエンス・AI教育の需要が出てくるとは思いつかなかった人が大半ではないでしょうか。

大学のまわりが変わる以上は、大学もいつまでもそのままというわけにはいきません。

いうまでもなく、大学としての軸、在り方など変えてはいけない部分はあります。しかし、10年間あるいは20年間何も変わらない大学というのは、ごく一部を除いて厳しい局面にさらされてしまうでしょう。

大学改革の方向性

また大学改革といっても、今より良くなることだけを指すのではありません。

  • 今の基準・状況より上を目指す
  • 周りが変化する中で現状維持を目指す=マイナスにならないようにする
  • マイナスから0、そしてプラスを目指す

こんなものも大学改革に含まれています。ただ、今は18歳人口が減少している、社会状況、大学数の増加(短大から4大へ、専門職大学)などの厳しい状況があります。

例えば志願者数の場合は、以前は一度志願者数が落ちても、奇跡のV字回復みたいな大学の事例がありましたが、今はそう簡単にはいきません。最低限は今より悪くならないために改革をしつつ、プラスにどうすればできるかを早い段階から検討実行をしないといけません。マイナスにいったら、そこから落ち続けるだけの可能性が高いのです。

ただ企業と同じように、現状維持だけで満足していると、原則は後退していると捉えるべきです。

大学改革の考え方

最初に述べたように大学改革というとマイナスのイメージがあるのは、自分達が良いと思っているものが出来なくなった、資源がなくなった(どこかに集中された)という理由があるかもしれません。

ただ大学改革について考えてみると、大学改革には生存戦略・信頼性の担保・価値性の担保といった側面があると考えています。大学改革というから抵抗感があるかもしれませんが、組織が持続的に生き残っていくために必要な施策といえるのかもしれません。

大学はすでに大競争時代に突入しています。文科省、そして特に財務省は経営が厳しい学校法人(大学)はつぶれてもやむなしという判断をするでしょう。教育で競争なんてと思うかもしれませんが、地方の小規模大学では10年後に組織があるかどうかといった分岐点に直面しているのではないでしょうか。

さらに大学は社会と接続しており、社会で求められるものを全て反映できなくても、きちんとやっていくことは大学への信頼性や価値性の担保や向上につながります。

たまに古き良き時代を語る人がいますが、その時代だったからよかったのであって、今はそれが妥当なのかはきちんと評価しないといけません。

ただ注意すべき点として、大学改革を執行部が鉈をふるってやると残るのはやらされ感と反感です。そうならないためにも大学改革で必要なのはステークホルダーへの丁寧な説明と納得感、組織として実施する力なのです。