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私立大学のガバナンス・コードの2団体の大まかな比較

2019年1月に学校法人のガバナンス改革についても書かれている「学校法人制度の改善方策について」が公表されました。

www.mext.go.jp

 この中の1つの項目「学校法人の自律的なガバナンスの改善・強化」に文部科学大臣所轄法人における中長期計画の策定として 私立大学版ガバナンス・コード」(自主行動基準)の策定の推進が記載されています。

 

今回はこのガバナンス・コード、日本私立大学協会(以下、「私大協))と日本私立大学連盟(以下「私大連」)の2つの私立大学の団体が定めたコードの構成をマインドマップでまとめました。

 

ガバナンス・コードとは何か〜目的や概要〜

ガバナンス・コードは私学が主体性及び公共性を高める自律的なガバナンスを確保することと時代の変化に対応する学校づくりを進めることです。

なお、私大連ではガバナンス・コードを「会員法人の自主性と私立大学の多様性を踏まえつつ、大学改革を推進する上で指針となる」と説明しています。この2つの団体のガバナンス・コードは、それぞれ構成や内容が異なっています。

日本私立大学協会のガバナンス・コード

構成について私大協は章立てであり、「それぞれの私立大学の実状に応じて、公共性と自主性を基本とした自律的なガバナンスコードを制定されたい」とし、各大学は公表されているガバナンス・コードを見本として策定することになります。

そのため、各大学の実状に合わせられるように、規程名や目的などは「○○○○」とされています。

日本私立大学連盟のガバナンス・コード

一方、日本私立大学連盟は基本原則・遵守原則・重点項目・実施項目の階層になり、赤字は私大連に報告義務を有するものです。

策定方針として自主性の尊重、コンプライ・オア・エクスプレイがあり、コードの主語は「会員法人」となっています。

 

ガバナンス・コードの比較

私大協と私大連のガバナンス・コードをマインド・マップにしてみます。なお、マインドマップは各見出しを簡略化しています。(例えば私大連では実施項目は長文と量が多いため、今回は非表示にしています)

私立大学 ガバナンス・コード

2つの団体で類似している内容は同じ色の線にしています。また構成をわかりやすく比較する為に私大協は順番を少し入れ替えていますので、正しい順番は番号で確認ください。

どちらの団体も、自律性・公共性・信頼性や透明性・継続性がコードに含まれていますが、私大協は教学ガバナンスや分類の仕方が異なります。

また私大連の特徴として学校法人全体に関する内容が多く、私大協は大学などに関する記述が多く見られるのは大きな特徴です。後者では例えば、3つの方針、教学ガバナンスといったキーワードも見てとれます。

これは私大協のほうが小規模・中規模大学が多い為でもあるかもしれません。またどちらのコードでも監事の重要性が際立ってわかります。

 

大学とガバナンス・コード

総合学園の1大学だとガバナンスというと法人が考えるもので大学は関係ないと捉える人がいるかもしれません。しかし、今回まとめたガバナンス・コードは大学も大きく関係する所も多いです。例えば中期計画や情報公開、収入の多様化、教学ガバナンスなどです。

所属する団体によってどちらのガバナンス・コードを適用するかが異なりますが、大学関係者は概要だけでも押さえておいたほうがいいと感じます。

また上記図でPDF版は下記となります。