先日、ようやく私立大学等改革総合支援事業の平成28年度の採択の報道発表がありました。
近年、文部科学省はこの事業の選定について、大学規模など、様々な資料を出しているのですが、今回は支援事業の委員長所見、特に「選定にあたっての所見」について少し掘り下げてみます。ただ今年度の所見を見るだけではなく、平成26年度の同様の所見も対比しながら見ていきましょう。
<引用元>
平成26年度私立大学等改革総合支援事業委員長所見
平成28年度私立大学等改革総合支援事業委員長所見
選定にあたっての所見は、大きく2つで構成されているかと思います。
1つ目は全体の支援事業の選定にあたっての状況(得点等)や国・大学へのお願い。2つ目は1つ目を受けての期待するものも含めた具体的な記述です。上記の表だと文字ばかりなのと、H28とH26では少し内容が異なる箇所がありますので、重要な点も含めてピックアップしてみました。
筆者作成
①~④は、2つの大きな構成の中で1つ目にあたり、2つ目は⑤以降となります。
内容としては1つ目を見ると①は事業の申請数についてのコメント、②は事業の評価項目へのコメント、③は国への依頼・お願い事項、④は2つ目の構成への対象者です。大きく違うのは④でしょうか。H26は、⑤以降の内容は事業に選定された大学を対象としていたのに対し、H28は各大学と記述が変わっています。(この各大学は選定された大学を指すのか、日本にある私立大学を指すのかは断定できないと思います)
2つ目については、年度で比較しても大きな変更点はないのですが、本事業の成果を社会へ発信することと、実施率100%の取組みについての記述が出ています。実施率100%という事は、次年度はその項目はなくなる可能性があるか事業での得られる得点が下がる可能性がある為でしょうか。
この事業は、意味があるのかといった話を聞く事がありますが、定員超過についての厳格化による収入減や補助金の減額と傾斜配分などによって、大学の収入は年々厳しくなっている現状があります。教育と経営は中々相入れない事も承知していますし、この事業に対応したから改革が進んだと言えるかは少し疑問です。この事業に選定される事は、取組みはやっているかもしれないが本当に大学改革と言えるのだろうか、小手先だけなのではという思いもあります。そこは⑪の学内一体となってやったかどうかが一番問われるのかもしれません。