IRを行う上で、そのデータを出してとか、その情報が欲しいとか言われたり、言ったりしていませんでしょうか?またどちらも同じような意味合いで使っているケースも多いかもしれません。
しかし、データと情報はまったく異なります。例えばIRの定義や何かとを議論する際に嶌田・藤原・小湊「必要な時に、必要な情報を、必要とする依頼者に提供する業務およびそのためのデータの情報への変換業務」(嶌田・藤原・小湊 2016:288)と述べているものがあります。個人としては、これがIRの実務担当者が感じるIRであるかと思っています。
では、データと情報はどのように使い分ければいいのでしょうか?
例えば下記のサイトでは次のように書かれています。
「データ」は事実に基づく入力値(計測値)です。
「情報」は、データを、ある目的に沿って加工(集計、分析など)した
ものです。
またDAMA Internationalは(DAMA International 2010:2)はデータと情報について次のように定義しています。
データとは事実がテキストや数値、グラフィック、イメージ、音、ビデオの形をとったものを表す、情報はコンテクストの中に置かれたデータであると定義している。
大学の文脈で言うと、例えば成績データもSやAといった評価はデータ、成績の状況を授業ごとにまとめると情報になるとも言えます。つまり数値などのデータを意味ある集合体や分析の作業を行うことによって、情報と定義がなされる訳です。
ただ現実には、「このデータ出しておいて」は「この情報を出しておいて」という意味もあり、人によっては使い分けをしていないケースもありますので、きちんと会話の文脈を踏まえて判断する必要がありますね。
<引用文献>
嶌田敏行・藤原宏司・小湊卓夫,2016,「日米における中規模大学のIR活動に関する事例研究」『名古屋高等教育研究』(16):287-304.
DAMA International,2010,The DAMA Guide to The Data Management Body of Knowledge,Bredley Beach:Thchnics Publications LLC.(=2011,株式会社データ 総研訳『データマネジメント知識体系ガイド 第一版』日経BP社.). データマネジメ ント知識体系ガイド 第一版. (データ総研, 訳) 日経BP社.