近年、教育の質保証をはじめとした改革を進めるため、国は私立大学等改革総合支援事業を推し進めています。最近はこの事業の補助金をとるためにIRをやっているかどうかや、IRを担う人の専門性について加点になったりと状況がだいぶ変わってきました。特に専任のIR担当の職員の方が増えてきているなと、勉強会等を通じて感じています。
さて、以前にIRに関する記事で、自分がIRに関するSDとしてやった事をまとめた事があります。
その中に統計の基礎知識があり、自分自身は書籍等を通じて学んだ部分が多いです(特に大学時代は文系で統計学も学びもしませんでした)JMOOCの統計学の講座も受けてみたり、iTunes Uなどコースとして学べるものも試してみたことがあります。
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職員がどこまで統計学を学ぶかは、人によってレベルが違うと思うのですが、自分はまずは基本統計量の整理と理解、そして算出方法までを学ぶべきと考えています。IRの研究文献を見ると、このような解析をできるようにならなければと思ってしまう事もありますが、多変量解析などは、学内に詳しい教員は少なからずいると思いますので、個人ではなくチームで行えば問題ないはずです(職員が教員になるわけでもありません)
さて、ようやく本題です。今回は統計学を学んでこなかった自分が何冊か読んでみて、いいなと思った本を紹介します。(私自身も統計学を全て分かっているわけではないので、おこがましい記事ではありますが)
小説で統計学を学ぶ
とある弁当屋の統計技師(データサイエンティスト) ―データ分析のはじめかた―
- 作者: 石田基広,りんと
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2013/09/25
- メディア: 単行本
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とある弁当屋の統計技師(データサイエンティスト) 2 ―因子分析大作戦―
- 作者: 石田基広,Ixy
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2014/01/23
- メディア: 単行本
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まず、表紙がライトノベル風なので、電車の中ではブックカバーをつけないと読みにくいのですが、物語で統計が学べるシリーズです。統計学を学んだ事がない人の最初の1冊としていいと思います。(電車で読む際は、ブックカバーを推奨します)
マンガで統計学を学ぶ
マンガとはいっても、理論を丁寧に説明しています。これから読んでもお勧めですが、計算式も出てきてますので、数字アレルギーがある人は、下記の本を読んでこっちにしたほうがいいかもしれません。ただこれはきちんと数式の説明がありますので、必ず読んでおくべきだと思います。
放送送大学の教材なのですが、社会調査の基本から統計まで丁寧に説明されています。(とは言っても、数字が苦手な自分は何回も読み返しました。)
この本は今でも手元に置いて、いつも参考にしています。
IRに関する本
IRに配属されたばかりの本であれば初学者向けの上記の本がおすすめです。初心者向けで非常に丁寧に分かりやすくIRの仕事を説明しています。
また大学IRスタンダート指標集は、データを扱う際にデスクの上に置いておきたい本ですね。
大学IRスタンダード指標集 ―教育質保証から財務まで― (高等教育シリーズ)
- 作者: 関東地区IR研究会,松田岳士,森雅生,相生芳晴,姉川恭子
- 出版社/メーカー: 玉川大学出版部
- 発売日: 2017/03/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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いくつか書籍を紹介しましたが、国内外のIR担当者からお話を聞く機会があり、考える事は、職員としてIR担当者になり求められる事は、アカデミックな土台を持ちつつも、統計学を究めることではなく、データがどこにどのような形であるかを理解し、基本的な分析ができる事であり、その次のステップとしてアクセス等を使いこなし、またビジネスインテリジェンス(BI)ツールなども用いて多次元分析(そしてそのためのデータベース、キューブを構築する)という段階なのではと考えています。