このブログを当時書いていた当時、私自身の業務の一つとして、各種調査の実施・分析・報告も担当していました。
学内のプロジェクト型で複数の先生方が担当し、事務局として参画する場合もあれば、簡単なアンケートであれば自分で分析・執行部の会議に報告する場合もあり、教学データをアンケートデータとの関連を検証ということも(素人に毛が生えた程度ですが)やっています。
IRの学問領域とは
さて、以前ある(調査や統計とはあまり縁のない)教員に「IRはどの学問領域に属するのか」と聞かれたことがあります。その時は、IRは学問領域ではなく、IRに取り組んでいる先生はこのような研究をしている先生方が取り組まれていますと紹介をしました。
社会ではIRと言えばインベスター・リレーションズ(Investor Relations)を指すかと思いますが、大学関係者では何らかの学問分野であり、研究である。強いて言えば、研究とあるから、「職員が入る余地はない」と考えている教職員もいるかもしれません。
ではIRとは何かというと、手元にあった、中井俊樹・鳥居朋子・藤井都百 篇「大学のIR Q&A」の用語集によれば次のように記載されています。
機関の政策立案、政策形成、意思決定を支援するための情報を提供する目的で、高等教育機関の内部で行われる調査研究
ただ、様々な大学のIRの取組を見ると、経営・評価・教学・学生支援等、タイプが分かれており、大学の実状に合わせて行っている為多種多様です。そしてセミナー等で大学職員のIRに関する取組も近年は聞くようになりました。
さて、IRの本当に入り口にいる私ですが、この1年間、この業務に関わった上でIRで何も知らすに自分で学んだ事(SD)としてやったことを備忘録として書いておきたいと思います。
IRの理論書には、IR人材に必要な知識・経験などが記載されていますが、あくまで実務を通しての基本的な事項も書いていますので、経験談としてお読み下さい。
①学内の情報の整理
学内に何の情報がどこにあるかの整理、そしてどの情報が重複しているかの把握
②データベースの作成
エクセル・アクセス・その他データベースソフトによるデータベースの作成
③調査法についての学習
あるところに、科目等履修生として学習しました。そこでは高等教育全般について学びました。
④統計学(基礎)の学習
調査法と一緒に学んだことも多いですが、今まで統計学に縁のなかった私には理解するのが一番大変でした。(特にお世話になったのは、漫画とライトノベル風の統計学の入門書)
⑤教員への相談
統計学や調査に詳しい若手の教員に、調査の設計や分析方法まで。
⑥理解しやすい図表等の作成のノウハウ
最近のオフィスは、グラフとかもテンプレートで見やすく分かりやすいものがすぐに出来ます。しかし本学はつい先日までXPだった為、グラフなども一から作る必要がありました。
IRのライフサイクルに、レポーティングと並んでプレゼンテーションも含まれてい ます。(参考 リチャード・D・ハワード篇「IR実践ハンドブック)

IR実践ハンドブック 大学の意思決定支援 (高等教育シリーズ)
- 作者: リチャード・D・ハワード,大学評価・学位授与機構IR研究会
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特に機関の意思決定をする会議等に出す資料(報告書)は、年配の理事や教職員もい るので、特に分かりやすい報告が必要です。
⑦各種IRに関するセミナーの参加
幸いなことに、所属部署の予算や外部資金を使って、地方で参加しているのも参加す る機会をいただけました。特に大学評価コンソーシアムのものはおすすめです。
ここまで書いてみて、実は、学内のリソース(資源)で賄えるものがあるのではないかと思いますが、それには学内の制度や組織改革が必要です。情報関連の教員、統計学や調査に見識のある教員、そして関連する大学内の科目などの活用があたります。
⑧データ可視化に関する情報収集
大学のIRをどのようにやるかはいくつか方向性があります。その一つにビジネスインテリジェンスツールを用いて、データの可視化を行うというものがあります。
昨今はTableauなどが主流ですが、Googleでも無料で使えるルッカースタジオなどがありますので、最初はそれからチャレンジしてみてもいいかもしれません。
大学のIRの初心者向けの本やセミナー
ここではいくつか参考になる本やセミナーなどを紹介します。まずは本からです。このあたりが手元にあればいいでしょう。
セミナーですが、前述の大学評価コンソーシアムのセミナーや山形大学のIRの履修証明などはがっつり分析を学びますのでおすすめです。大学評価コンソーシアムについては、コンソーシアムに個人での登録が必要なのでぜひ登録しましょう。
終わり
思いつくままに書き並べてみましたが、大学職員がIR(自分の場合は特に調査の分析・報告、教学データとの統合による調査)を行う場合は、統計学や調査法などの基礎の知識を身につけ、教員と話ができる土台を身につける必要があると思います。(「相関値を出して」と言われ、それも分からないようだと話にはならないですよね。)