新型コロナウイルス感染拡大防止にともない、殆どの大学では授業開始延期や、オンラインでの授業を実施しています。オンラインの授業については前学期が全てオンライン授業とする大学や、当面の間はオンラインで状況が落ち着いたら対面授業に戻そうと考えている大学もあるでしょう。
さて、そんな中、学生たちから学費の減免や返還に関する声があがっています。そして、2020年4月下旬から、学生への支援について方策を打ち出す大学が出てきています。なお、本記事では各大学の支援策について「学費減免」とは言わずに「学生への支援」と表記します。
学生支援の新たな方策を打ち出した大学と元々ある制度
令和元年度の学校基本調査によると大学は「786 校(国立 86 校,公立 93 校,私立 607 校)があります。しかし2020年4月末の段階では、新型コロナウイルスに関わる学士支援を発表している大学はそう多くはありません。
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既に学生支援を行う事を決定した大学は大学のホームページ等で発表し、それがニュース記事のトピックになっていますから、何故自分が関係している大学は何もしないのかといった意見もあるかと思います。
しかし多くの大学には家計が急変した際の支援制度が既にあります。また当座のお金が必要であれば、その為の支援制度もあるでしょう。未だに発表がないから何もしていないわけではないと考えています。
今やるべき学生への支援とは何か
学費減免の訴えやその署名のページはいくつか目を通していますが、この理由として主に次のようなものがあるのではないでしょうか。
- オンライン教育で質が担保できないから
- 施設が使えないのに施設の関連費用を払うのはおかしいから
- 生活が苦しいから
また学生側としても、このような状況の訴えを目にします。
- 生活が苦しい
- 学費が払えない
- 情報環境が整わない
理由はまだ他にもあるでしょう。さて、大学として今やらなければならないのは在学する学生が不利益にならないようにする事です。そのため、学生側の生活支援、学費の延納や減免や働く場所の提供、情報環境の整備などが最優先でしょう。
全学生へ一律の支援も重要ですが、本当に困っている学生への支援を最重要でしなければなりません。またこれらは一緒くたに解決するのではなく、それぞれの理由についてそれぞれ解決していく必要があります。
単に学費削減ではどの問題が解決できるかわかりません。そのため、大学では具体的な支援策を発表しているのだろうと思います。また学生に不利益にならない為には直接的な学生支援だけではなく、大学の教育研究機能をきちんと維持していくことも不可欠です。
学費(特に授業料や施設関連費)は結論を出すには時期が早い
オンライン授業で教育の質や施設が使えないはまだ前期はどうなるか分かりません。前学期全てをオンラインと発表した大学はともかく、8~9月に全て集中で授業しますという大学が出てきてもおかしくはないです。
今の状況では前期の終わりまでどうなるか誰も分かりません。ある程度の目途がつくまではまずは学生の教育支援や学生支援にリソースを割くべきではないでしょうか。
終わりに
既に述べましたが、大学では元々ある制度を活用して学生支援を行うと判断する大学もあるでしょう。また〇億円の支援が出来るのは、母体が大きな大学や学校ぐらいです。「早稲田大学や立命館大学がやっていて、なぜここでは出来ないのか?」と他大学を比較し、大学の良しあしを判断するのはどうなのかと感じます。
先ほども書きましたが、今は学生支援と教育研究活動の維持に大学が限りあるリソースを注ぎ込んでいる状況です。また立地によっても状況が異なります。他の大学はこうだから同じことは出来るわけではないことは理解いただきたいなと思います。