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過去の大学像や生存バイアスまみれの大学論は飾っておこう

大学で働いていると、大学に関するニュースを収集するので、大学に関する意見を多く目にすることがあります。

 

そこで辟易するのは、昔の大学像や生存バイアスが際立った大学論です。ではどのようなものがあるかというと直ぐに思いつくのはこんな感じです。

  • 偏差値が低い大学はなくすべき
  • 何故〇〇をしないのか、出来ないのか
  • 昔の大学はよかったのに、今は何故こうなのか
  • 国からの交付金や補助金は日本にある大学に配るのではなく、レベルや面白い取組みをしている大学に傾斜配賦すべきだ
  • 俗にいうFラン大学は無駄だから無くすべきだ
  • 留学生をもっと呼び込むべきだ
  • グローバルな教育をして、英語教育をもっとやるべきだ
  • 高等教育の修学支援新制度は~~だ(~~は無駄とかネガティブな言葉が多い)

これについて一つ一つ反証する必要はないと思いますが、例えば偏差値はAO入試や推薦入試偏重の大学だと信用していいものか微妙ですし、近年は都内の大学の競争だけが極端になっていますので、偏差値といっても信用性は個人的にはちょっと疑問です。(もちろん偏差値がを上げると、受験生が増える(かもしれない)ので、大学はあの手この手で(見せかけだけでも)偏差値を上げようとする所もあります)

美化された大学と自分達

また昔の大学と比較されてもかなり困ってしまいまして、何故か昔はよかった人達の脳内では(自分たちの都合に良かった)大学が美化されて、(美化された)優秀だった自分像が出てくると、もう手がつけられません。

大学のお金について

よく意見を見かけるのは、大学の交付金や補助金についてです。例えば成果を挙げている大学に重点に配分すべき、私立大学は補助金をなくして国立大学のみに配布すればいいという極端な意見などもあります。また近年は高等教育の修学支援制度についても意見がありますね。

ただ大学の補助金は単にお金を渡すだけではなく、私立大学であれば経常費補助金の資金配分として「教育の質に係る客観的指標」や、私立大学等改革総合支援事業のように国が達成アセスメント型評価や政策誘導のように使っているケースも近年はあります。

なお、多くの大学から補助金をなくし、後はつぶれてもいいけど好きにやってねとしたら、2019年度大学業界流行語大賞候補の「ガバチョ、ガバチョ」を大学でやってしまう所もあるかもなとぼんやり感じます。

大学に対する意見の是非

大学は交付金や補助金などの公的資金が入っていますので、大学としても公的機関として、大学外の様々な意見は受け止めねばなりません。

過去の1地点の自分の体験のみや、自分はたまたま上手くいったから他は知らないという生存バイアスが垣間見えるものについては、額縁に入れて、物置にでも放り込んでおくぐらいでいいのはないかと思っています。