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大学の編入学定員の推移と定員管理

編入学とは、短大卒業者や専門学校の2年課程以上の卒業生が4年制大学の3年次に入ったり、修得した単位をもって、2年次or3年次に入ることを指します。

大学によっては、編入学の定員があり、短大や高等専門学校及び専修学校(専門課程)などから毎年編入学生がくる大学も少なくありません。

またサイバー大学のように大学や学部学科の特性に応じて、かなりの編入学定員をもっていることもあります。

www.cyber-u.ac.jp

ただ大学によっては編入学定員が埋まっていないと、収容定員の充足率に影響が出る事もあるため、編入学の募集や定員管理は課題になることもあります。

文部科学省で公表されている近年の収容定員増変更の資料を見てみると、編入定員の増減はさほど変わってはいません。

令和3年度 大学名 学部名 学科名 2年次編入増減 3年次編入増減
令和3年度 共愛学園前橋国際大学 国際社会学部 国際社会学科   2
令和3年度 豊田工業大学 工学部 先端工学基礎学科   6
令和3年度 帝京平成大学 現代ライフ学部 経営学科   5
令和3年度 金沢学院大学 スポーツ科学部 スポーツ科学科   10
令和3年度 金沢学院大学 栄養学部 栄養学科   5
令和3年度 関西国際大学   その他の学科等   -10
令和4年度 愛知学院大学 真理学部 心理学科 1 1
令和4年度 摂南大学 外国語学部 外国語学科   -5
    国際学部 国際学科   5
    経営学部 経営学科   2
    経営学部 経営情報学科   -4
令和4年度 サイバー大学 IT総合学部 IT総合学科 20 80

ただサイバー大学は通信制の大学ですので、特性に応じた数なのでしょう。

ただし編入定員をなくす場合は、このように資料が公開されるわけではないので、詳しく資料をみてみたいと思います。

編入学定員と編入学者数

令和2年度の全国大学一覧の統計資料をみると、編入学定員(2~4年次含)は国立68校で計3,559名、公立34校511名、私立239校7,107名となっています。

続いて、編入学者数を経年で見てみます。使用するデータは学校基本調査の「学部別 編入学者数」です。平成元年から令和2年までの該当の帳票を全てダウンロードし、合計、昼間・夜間、種別(短大や高専等)の情報を一つのデータとしました。

まずは編入学の昼間及び夜間の推移です。

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平成12年度が編入学者数のピークで昼間は16,961名、夜間は916名となっています。平成13年度は微減ですが、そこから編入学者数は減りつつあり、令和元年7,351名と平成13年17,877名を比較すると合計で10526名減っています。

なお令和2年は7,651名、令和元年7,351名であり、比較して300名増えています。

全体の増減は何となく把握できましたので、次は男女別で見てみます。

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一時期は女性の編入学のほうが多かったのですが、近年は男女比は同じ様になっています。続いて、編入する前の学校種別の経年です。

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短期大学、高等専門学校 、専修学校(専門課程) 、高等学校(専攻科)、中等教育学校(専攻科)、特別支援学校(専攻科)で分かれています。種別に見ると短大からの編入学者数はピーク時に比べて大きく減っているのが分かります。

そもそも短大から4年制大学への改組も多く行われており、短大の学校数や学生数は平成5年をピークに減り続けています

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なお、編入学定員が多い高等専門学校の学校数及び在籍学生数の推移は下記となります。

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編入学定員をどうするのか

今回は、学問分野ごとにまでのデータを作ってはいませんが、該当学部の編入学定員や学位プログラムから鑑みえて、どこから編入学生にきてもらいたいか、今は充足しているのかで定員を減らすor現状維持or拡大するといった事を検討しないといけません。

特に短大からの編入学を見込んでいる場合は今後はさらに厳しい状況も考えられますので、収容定員充足率も鑑みながら先読みをしないといけません。

定員をなくす(返す)ことはさほど難しい事ではないのですが、増やすとなると定員増の申請はかなり大変ですので、慎重な判断が必要です。

また近年は編入学定員を通常の入学定員に振り返る大学もあります。例えば50名の編入学定員であれば、25名の入学定員とするなども検討できますね。

ただ大学の役割によっては編入学定員を残しておくことも求められているケースもあるかもしれません。