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メディアを利用して行う授業の学則変更と準備について~大学の設置の手引きより~

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、令和2年及び令和3年は多くの大学で遠隔授業が行われた年でした。

そもそも大学設置基準にはメディアによる授業についてがあり、メディアによる授業は上限60単位となっています。

(授業の方法)
第二十五条 授業は、講義、演習、実験、実習若しくは実技のいずれかにより又はこれらの併用により行うものとする。
2 大学は、文部科学大臣が別に定めるところにより、前項の授業を、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることができる。
3 大学は、第一項の授業を、外国において履修させることができる。前項の規定により、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させる場合についても、同様とする。
4 大学は、文部科学大臣が別に定めるところにより、第一項の授業の一部を、校舎及び附属施設以外の場所で行うことができる。

ただし令和2~3年は文科省は特例措置ととり、上限の中に含まないとしています。

では令和4年度以降はどうなるでしょうか?大学によっては特例措置がなくなるかもしれないことを踏まえ、今までは大学の学則の中に入れてこなかったメディアによる授業を入れようとしている(した)大学もかなりあるかと思います。

そこで、大学の設置等に係る提出書類の作成の手引きから、メディアによる授業の箇所を引っ張り、これから何をすべきかを整理したいと思います。

なお、設置の手引きを参照していますので、完成年度を迎えた大学・学部等は関係ないと思うかもしれませんが、基本的な考えは一緒ではないかと思います。

(本記事は通信教育課程は除いています。また引用は全て令和5年度の大学の設置の手引きとなります。)

設置時のメディアによる授業の設定について

設置時にはカリキュラム表を出すのですが、メディアによる授業を行う場合は、どの授業がメディアを行っておこなう授業かをカリキュラム表で示しておく必要があります。(P81)

通信教育の開設に係る申請等の場合は,下の表の左欄に掲げる「大学通信教育設置基準」(昭和56年文部省令第33号)第3条又は「短期大学通信教育設置基準」(昭和57年文部省令第3号)第 3 条に規定する授業の方法に応じて,当該授業科目の「備考」の欄にそれぞれ同表右欄に掲げる区分記号を記入してください。これらの授業方法を複数併用する場合は,併用する方法を全て記入してください。 

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これから設置申請や届け出を行う時は、予めどれがメディアによる授業を行う科目なのかを明示できるように検討しておく必要があります。

またこの検討は科目だけではありません。設置認可申請や届け出で出す書類の中に「設置の趣旨等を記載した書類」があります。

ここにはメディアによる授業について下記の様に記載があります。

⑥  多様なメディアを高度に利用して,授業を教室以外の場所で履修させる場合の具体的計画 【大学設置基準第25条第2項,平成13年文部科学省告示第51号,短期大学設置基準第11条第2 項,平成13年文部科学省告示第52号】

・実施場所,実施方法及び学則における規定などを記載してください。

・当該実施方法が告示の要件を満たすものであることを具体的に説明してください。

・審査において当該実施方法による授業で利用するコンテンツの提示を求める場合がありますので,御留意ください。 

どのようにメディアによる授業を行うのか、規程に反映しているのか、要件を満たすように出来ているか(=事前に設計できているか)、コンテンツの目途はできているのかが問われるので、気軽にこの科目はメディアによる授業を行いますとだけで申請できないようになっています。

メディアによる授業と学則や規程について

メディアによる授業を行う場合は上記の引用からも分かるように学則への記載が必要です。このあたりを明文化したものとして、手引きのQ&Aに該当箇所があります。(P336)

Q1-7.  通学制の学部において,一部の授業科目についてメディアを利用して授業を行う場合,学則に明記する必要があるでしょうか。

A.  卒業要件において,「大学設置基準」第32条第5項の制限がかかってきますので,学則やその他の履修規程で明示してください。学生の身分に関わることなので,学則に記載なくメディアを利用して授業を行うことはできません。学則の記載例は以下のとおりです。

(メディアを利用して行う授業)

第○条  メディアを利用して行う授業は,あらかじめ指定した日時にパソコンその他双方向の通信手段によって行う。

2  前項の授業を実施する授業科目については,○○規程において定める 

これを見ると、学則にメディアによる授業について記載が必要であり、いくつかの大学の学則を見ると、①メディアによる授業も行う、②①は60単位までを記載しているようです。

ただ注意しないといけないのが、上の「前項の授業を実施する授業科目については,○○規程において定める」ですよね。

もしかすると、「今後メディアによる授業をするかもしれないから学則にメディアによる授業をやるかもしれないから、それだけ示しておけばいいや」と考える人もいるかもしれません。

しかし例示を見ると、予め規程などでどの科目がメディアによる授業を行うかを示しておきなさいとしています。

おそらく教学に関する規程なので、学生にはきちんと案内をしないといけないですし、履修の手引きに掲載も考えないといけません。

まとめ

・メディアによる授業を行う場合は学則への記載が必要

・設置申請などは方法や内容まで見られる可能性あり

・どの科目がメディアによる授業なのかは、どこかで規定しておく必要がある