2021年2月9日に文部科学省中央教育審議会大学分科会から「教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について~教育研究機能の高度化を支える教職員と組織マネジメント~」(審議まとめ)(令和3年2月9日 大学分科会)が公表されました。
内容自体は、DXやコロナを除けばさほど目新しいものはないのですが、こういうまとめや答申から、今後文部科学省の政策誘導の中で何が求められるのかを読み取ることが(特に大学職員に)求められます。
特に私立大学だと来年度の私立大学等改革総合支援事業や客観的指標に関わってくる可能性もあります。
さて、今回はまあこの辺りは来年度の改革総合支援事業や客観的指標の補助金で設問として取り上げられそうだな・今年もあるけど来年もありそうだなと思う点を簡単なメモとしてまとめています。
大学教員に関する事項
テニュアトラック制の導入
「優秀な教員・研究者に自立した環境を提供して教育・研究に専念」するため、透明性のある審査で常勤教員となる「テニュアトラック制」とありますが、大学によっては任期がある特任と専任のみという所もありますね。もしくは一定の年齢以上は特任だけど、それ以下は任期なしで雇用という大学もあります。
教員の教育面やミッション面からの評価
私学だと「令和2年度教育の質に係る客観的指標(以下、「客観的指標」)」に入っている項目です。ただこのまとめでは教育面の評価だけではなく、「各大学のミッションに対応するような活動を行っているかという観点での教員評価」とも記載されています。なお、ミッション対応の評価は事務職員等にも同じ課題だそうです。
大学職員の評価は、ミッションや中期計画から、各部署へ落とし、個人目標の設定、それをきちんと評価し、昇格や昇給に使われていれば良さそうですが、他大学の人に聞くとそれきちんと出来ている大学は多くないからとも言われたことがありました。
学生参加型の教育改善(授業アンケートなど)
このまとめでは「学生参加型の教育改善の取組が進むことも期待される」とあります。一方、客観的指標では、授業評価結果の活用が求められています。特に顕彰や教員への改善取組への活用が求められています。
学生参加型の教育改善は、最近出版された中ではこちらが非常に参考になります。
FDの実施
大学のミッションに応じた教育と研究のバランスへの理解促進などが書かれています。またFDの実施には教育研究活動を支える事務職員や学生の視点を取り入れることも望まれるとされています。
教員の役割分化の検討
教育重視(ティーチング・プロフェッサー)や研究重視(リサーチ・プロフェッサー)などが示されていますが、大学設置基準ぎりぎりの教員数の大学はそこまで余裕はないですね。
教育課程に関する事項
授業科目の分類やナンバリング
カリキュラムツリーやナンバリングは既に補助金の設問にありますね。ナンバリングは「ただ番号を振るだけだから簡単だろう」という意見も聞きますが、ナンバリングをする際はカリキュラムを再度見直ししながらするべきだと思うので、そう簡単な話ではないかと感じます。
まとめの中で「授業科目の精選・統合や、学生が同時に履修する授業科目数の大胆な絞り込み」とあるので、この辺りも関わってくるのではないでしょうか。
反転授業など事前の知識習得や学修を必要とする授業の工夫
学生の学習時間の短さや、1単位あたりの授業と授業外学習時間の理解などが指摘されています。
チームティーチング
チームティーチングに限らず、教員間の意見交換や連携が十分ではないという指摘とまとめにはあります。またチームティーチングとはちょっと違い明日が、共同でのデジタル教材作成というのも気になる点です。
TAの導入
大学院で院生が多くいる大学はいいのですが、大学院の規模が小さい、あるいは社会人院生ばかりだとTAは難しいという状況もあるので、学部生なども活用したSAの育成も該当するかもしれません。
デジタル学修歴証明書
DXや生涯学習の観点からも学びの記録や認証が求められるとのことです。既に日本でも実証実験がされていますし、各大学に求められてくるかもしれません。(特に国際領域ですね)
その他
大学運営に関わる部分ですが、自己点検・評価や大学の意思決定に学生を参画させる、時間が有限であることをふまえて、効率化するといった事も書かれています。