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大学院レベルの履修証明プログラムの狙いや位置づけは何か

2020年度の文部科学省中央教育審議会大学分科会の大学院部会において、「大学院レベルの履修証明プログラム」が議論されています。

ただ履修証明プログラム自体は「平成19年の学校教育法の改正により、大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校(以下「大学等」という。)における「履修証明制度」が創設され、12月26日より施行されました。」と文部科学省のサイトに記載されているように大学院も対象となっています。

www.mext.go.jp

それではなぜ今更大学院レベルの履修証明プログラムが議論されているのでしょうか?また違いは何でしょうか?

今回は大学院部会第99回の議事録を中心として、大学院レベルでの履修証明プログラムの狙いについてをまとめてみます。

学部レベルと大学院レベルの履修証明プログラムの違い

学部レベルと大学院レベルといっても履修証明プログラムがどのレベルかは大学が明示していないと分かりにくいという前提があります。

ただ「令和元年8月13日 元文科高第328号「学校教育法施行規則等の一部を改正する省令等の施行等について(通知)別添4」によると次のように記載されています。

大学等における履修証明は,各大学等の自主性・自律性に基づき,多様な分野において多様な取組が行われることを期待しており,履修証明プログラムの目的,分野,内容,修了要件については各大学等において適切に設定されるべきものであること。 

大学等とあるので専門職大学、大学院や専門職大学院を含むと解釈します。また学部と大学院の違いについては履修資格(履修するための条件)から読み取ることが出来ます。

大学レベル

高等学校卒業者や高等学校卒業程度認定試験の合格者,各大学による個別の入学資格審査の合格者等の大学入学資格を有する者のうちから各大学等が定める者に認められること。

大学院レベル

大学院入学資格を有する者のうちから各大学院が定めることを想定していること

つまり、(当然ですが)受け入れ段階で参加者層が違います。そのためプログラム自体も大学院レベルだと学士号を持っているのが前提ですが、大学レベルだと18歳も参加可能ということですね。(色んな例外や特例はあります)

また履修証明プログラムは社会人や学外の人だけではなく、履修証明プログラムを開講している大学等の学生が履修証明プログラムを受講して、条件を満たせば履修証明プログラムの履修証明書の交付を受けることも可能です。

大学院部会(第99回)の議事録から見る大学院レベルの履修証明プログラムの狙い

それでは大学院部会(第99回)から、大学院レベルの履修証明プログラムのねらいやどういうことを想定しているのかを箇条書きでとりとめもなく書いてみます。

〇大学院レベルでの議論となったきっかけは履修証明プログラムの単位認定が可能となったことである。

〇他大学院プログラムの単位認定、例えば別大学の履修証明プログラムを受講して得た単位を他の大学院の正規課程に入学した場合、単位として認定することができる。

〇単位化の2つのメリット

 専門職のリカレント教育の活用(例:公認会計士)

 大学院間の連携強化

〇履修証明プログラムの60時間は実講義時間を想定(事前事後学習は含まない)

〇履修証明プログラムの位置づけは大学の自主的な判断とする。

 (例えば大学院の呼び水のような形でプログラムを位置づける可能性もある)

この他にも履修証明プログラムの60時間は多いのではという意見もありましたが、教育プログラムとしてあまりに短い時間数だとつまみ食いのようなプログラムになってしまわないかが心配ではあります。