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教職課程の質保証のためのガイドラインについて~検討会議第3回のメモ~

教職課程に関して、質保証のためのガイドラインの策定のために、国が検討を進めています。令和4年にはこのガイドラインに沿った体制や仕組みを整える必要があります。

本記事では標記の検討会議での意見を記録し、今後大学がどうすべきかを考えてみます。なお、メモは全ての発言を反映したものではありません。

◆今回の主な視点◆ ・教学マネジメント指針と教職課程の質保証のためのガイドラインの位置づけ
・3つの方針と教職の養成の目標や計画の位置づけ
・自己点検・評価の結果から、FD・SDの実施
・(教職課程の)中核機能のあり方(多様性と責任の所在)
・大学職員の参加や専門性
・ガイドラインの位置づけ

ガイドラインの修正点について(事務局より、資料1で説明)

前回からの修正点について(なお、冒頭の数字は資料1のページ番号と対応)

【参考資料】教職課程の質保証のためのガイドライン検討会議(第3回)会議資料:文部科学省

・(P1)教学マネジメント指針についての意見をいただいて、教学マネジメント指針の中で強調しているものを明示し、教職課程も一緒に変わっていくという趣旨で教学マネジメント指針の内容について触れている。

・(P2)教職課程の自己点検評価をやりっぱなしではなく、改善につなげられるようにという意見を踏まえて、FDやSDの実施なども入れた。またFD・SDの重要性について記載している。

・(P3)授業科目のレベルについて追加説明を入れている。

・(P5)教員養成を主たる目標や計画と3つの方針の関係について、「必要性に応じて」ということを入れておく必要がある。教員養成目標と3つのポリシーについて、現状はあまり意識されていないものも観測されている。これは教職課程のガイドラインなので、これをもって3つの方針を見直せということにはならないように、必要に応じてを入れている。

・(P5)学修成果と教育成果があるが、理解していただくのは難しく学修成果という記載にしている(紙面の量の問題で説明するのも難しい)

・(P6)シラバスに教職の目標との対応を入れる、対応の関係を明確にする。

・(P7)履修カルテの重要性が見えにくく、学修成果の可視化について活用できているかが問われる。

・(P8)学生の教職の意欲は把握するのは私学では難しいという意見があるので、意欲を踏まえつつという文言にしている。把握の仕方や深さは各大学に委ねるのが適切ではないか。

・(P11)中核組織の管理のあり方や指揮命令系統は各大学のありかたがあると考えられるので、中核組織の機能が果たせるようにという記載にしている。

・(P11)事務職員の参加と書く事によって、参加が当たり前であるメッセージが伝わるようにしている。

質問や意見交換について

質問や意見についてのメモです。書き方などの意見は一部省略しています。

〇必要な資質能力を身に付けているかを学生自身が確認するのは履修カルテであって、教育成果を見える化していくのがわかりいい。中核組織の形態について事務職員や代表者については参画ではなくて、参加なのか?

→参加と参画について、組織形態なので既にある組織にメンバーシップとして入るイメージをもって参加としている。

〇最近の指針をみると学長のリーダーシップが必ず書かれているが、今回の文書は学長という文書は出てこないが意識的に外しているのか?

→学長については、質問の通りで、教育大学であれば当然だが、一部の教職課程を持っていない大学の場合などもある。大学としてと書くことで質問に対するニュアンスを入れている。

→総合大学の場合は学長とされるとやりにくい所もある。中核組織は複数学部があるところは作り方が違う。直接、学長のリーダーシップとすると学長が直接方針を立てたりしないといけない、出ていくのは学内でバランスを取りにくい。最終的に理事や役員に決定事項が行けばいいのではないか?

〇参加と参画について、P11の職員については、事務職員の参加の参加をとって「確保すること」でもいいのではないか?

→事務職員を確保することとすると、下請けの職員を確保しておけというニュアンスで取られないかという心配がある。

→教職員が議論に参加し、専門的な事務職員がいないとこういう仕事がまわらない、こういう課題解決が出来る人を確保するという意図があれば。

→事務職員のところについて各大学で様々だが、教職課程の運営を担う事務職員がいないということはあり得ないと思っているが、教員だけの大学があるとすれば確保という形になるのではないか。

→事務職員がいないということはありえない、中核組織を持っている大学は私学でもある。職員は中核組織の業務だけではなく、免許更新の業務を担当している場合もあり、業務荷重のこともある。

〇P7の達成状況を明らかにするというところに就職状況とあるが、任期付といったものがある。卒業生の活躍なども重要ではないか?学習成果の把握・可視化は雇用主の評価は教職課程でも持ってくることはできないか

→教学マネジメント指針の中で卒業生に対する評価として、進学先や就職先の評価を通じて、卒業生がDPに記載した能力についての記載がある。全教学マネジメント指針にあっても各大学の判断で行っている状況。細かくあれをやれ、これをやれと全ての大学に求めることが適当なのかといった点もある。

雇用先の評価を取り入れている大学は国立が多い。認証評価で学位授与機構はそれを強く求めている、他の認証評価団体はそこを求めていないという背景がある。

〇中核組織が出来ることによって、そこをやればいいやとならないようにする必要があるのではないか?P10にその旨が書いてあるが、教職課程の責任体制などについてもう少しあってもいいのではないか?

→(もう一声として)検討する。

・中核組織での職員の役割について(職員の専門性も話があるので)重要視していただきたい。評価については、教職課程の自己点検・評価が学生の利益になるかを考えていかないといけない。

〇P1の最後の文書の「教職課程の自己点検・評価についても、各大学の既存のシステムを前提とした「供給者目線」ではなく、学生が必要な資質・能力を身に付ける観点から教職課程が最適化されているかという「学修者目線」で行われていくことが強く期待されるものである。」の供給者目線という文言ではなく、大学の自律性や主体性などの観点から書いたらどうか。

〇大学の自立とか主体性とかがこのガイドラインの前提としていることを言っていただいて、自己点検・評価で徐々にレベルを上げていくようなことを言ったほうがいいのではないか

内部質保証と教職課程の自己点検・評価(個人メモ)

今回の検討会議の話を聞いていると、教学マネジメント指針や3つの方針から見たガイドラインの位置づけや多様な大学の中でどうやるかといったことが議論されているようです。

ただ、大学評価や自己点検・評価を担当している立場からすると、大学基準協会で認証評価を受審する大学は、このガイドラインで示すような教職課程の質保証のために行う自己点検・評価は、教職課程の中核組織で行って結果だけを報告してOKということにはならないと思います。今ある内部質保証システムの中で教職課程の質保証のための自己点検・評価をどうするかを検討する必要がありそうだなと感じます。