大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ

大学や高等教育関連、法令の解説が中心のブログ

【スポンサーリンク】

小中高の臨時休校や大学入試に関する萩生田文部科学大臣の臨時記者会見(令和3年1月5日)のメモ

令和3年1月5日に行われた萩生田文部科学大臣の臨時会見の記録です。なお、一言一句記録しているのではなく、挨拶や一部省略している箇所があります。


萩生田文部科学大臣臨時会見(令和3年1月5日):文部科学省

また個人の参考とするべきところは著者が赤字(小中高)あるいは下線(大学や大学入試部分)を引いているのと目次やタイトルは読みやすいようにこちらでつけています。

萩生田文部科学大臣の会見部分(初等〜高等教育、部活動の実施、入試について)

総理から記者会見で緊急事態宣言の検討が始まったということで、学校現場や受験生の皆さんは不安に思っている部分もあると思う。昨年の11月に文科省として基本的な方針が既にお伝えしているが、今日は改めて詳細を説明したい。

新型コロナウイルスの感染者数増加に伴い、学校における感染者数も増えており、学校においても感染の拡大に最大限の警戒をする必要があるが、新型コロナウイルス感染症は現時点においては児童生徒の発症や重症の割合は低く、学校から地域へ感染が広がっている状況ではない。

緊急事態宣言が出された場合、地方自治体の学校の設置者が臨時休業の必要性を判断することになるが、地域一斉の臨時休業はこれまでの感染状況や特性を考慮すれば、当該地域の社会活動全体を停止する場合にとるべき措置であり、子供の健やかなまなびや子どもたちの心身の影響の観点から避けることが適切だと考えている。

大学等における授業の実施についてはこれまでも申し上げているとおり、感染対策をより慎重に講じた上で面接授業の実施が適切と判断されるものについて、引き続き実施を検討する一方で、感染防止の徹底と面接授業と遠隔授業を効果的に活用した質の高い学習機会の両立が重要

このため、文部科学省としては本日都道府県教育委員会や大学等に対し、学校における教育活動の継続と感染症対策の徹底に関する通知を発出する予定である。

学校においては衛生管理マニュアルで示している感染拡大防止を継続して実施いただくとともに最近の学校における感染状況をふまえ、部活動における感染対策を徹底いただく必要があると考えている。

具体的には衛生管理マニュアルに従って地域の感染レベルに応じた活動を行っていただくとともに、特に感染例が多い高等学校においては地域の感染状況や当該部活動の内容に応じて、感染リスクが高い活動を一時的に制限することも含め検討するなど、感染拡大防止について強化いただきたい

また大学等の運動部活動の実施にあたっては、これまでの文科省の通知や関係団体のガイドラインの遵守を徹底し、感染対策を徹底していただきたい

また大学入学共通テストについては感染の防止対策に万全を期した上で予定通り実施するとともの高校入試等については実施者において感染症対策や追検査等による入試機会の確保を踏まえて実施いただきたいと考えている。

各学校では感染症対策を徹底しつつ、健やかなまなびのため、教職員の皆様が日々工夫や取組を行っていることに改めて感謝を申し上げる。

また文部科学省としても学校現場を支えていくために必要な助言や支援を徹底してまいりたい。

臨時会見での質疑応答

質疑応答は、受験生へのメッセージ、重複している質問は省略していますのですべてはありません。まだ見出しはこちらでわかりやすいようにつけています。

中学入試等について

質問:一斉休校はせず、大学共通テストも行うという話で、高校入試にも触れているがそれ以外にも各学校機関で入試がある。例えば中学入試などの文部科学省の考えを聞かせていただきたい。

回答:小学校〜高等学校の入試の実施者である各都道府県の教育委員会に対してはコロナ禍での実施について、試験会場の感染症対策を徹底することや追検査等により受験機会の確保についてこれまでも依頼をしている。昨年来、コロナの状況が続くことを前提として各教育委員会等を相談しているのでこれを徹底していただきたい。

そして各実施者におかれては、受験生や受験生の保護者、指導されてきた先生方など努力が無駄にならないように受験生同士の間隔を広くとること、試験会場への入退場の時間をずらす、休憩時間は会話を極力減らすように注意喚起するなど感染症対策や受験機会の確保に万全を期した上で予定通り実施いただきたいと考えている。

なお、幼稚園の場合も感染症対策に十分留意していただきたいと考えているところである。

高校生の県境を越えた通学について

質問:高校について部活動の制限の指摘があったが、実際に首都圏の私立高校では県境を越えて通学しているケースはとても多いと思う。行動範囲が広い高校生についてはどのような対応をしたらいいのか

回答:高校の場合は、特に私立の場合は県境をこえての通学があるが仮に今回緊急事態宣言が発出されるとすると、まさに一都三県なので、この外から首都圏に通っている人はどれぐらいいるのかちょっと把握出来ていないが、そこは設置者である学校法人のほうの判断を尊重したい。

もちろんリスクがないとは言わないが、マスクをして電車通学などをしてきて、そのことでのクラスター発生は確認が出来ていない。

高等学校においては部活動、寮生活、あるいは合宿などで発生している事例がほとんどなのでそこは設置者の慎重な対応を求めたいと思うが基本的には今までの感染症対策を徹底しながら、通学いただくことが望ましい

春の臨時休校と今回の判断の違い・根拠について

質問:一斉休校を要請しないという判断について、これまでおっしゃってこられた判断ということだが10ヶ月までに一斉休校という要請を政府としてされた、今回は緊急事態宣言が出るにあたってしないというような判断、同じような季節であり、変異種が子供の間でも広まりやすく、国内にも持ち込まれていることもあるが、10ヶ月前と違う判断となった根拠はなにか?

回答:昨年2月の学校の臨時休業の要請は当時の専門家会議の皆さんの見解、この1〜2週間が感染の早期に防止するために極めて重要な時期と繰り返しおっしゃっていた、その見解や感染経路が不明なこともふまえ、感染拡大防止や児童生徒の安全を最大限確保するための対応として行ったものである。

あのころはウイルスの性質などがよくわからなくて、十数年前の新型インフルエンザがまさに学校がクラスターになった実体験に基づいて学校を閉めないと危ないのではないかという多くの皆さんのご意見に耳をかたむけ、最終的に決定したところである。

この1年間色んなことを学習してきた、児童生徒の発症割合や重症割合は他の年齢と比べて極めて小さい。また感染経路も家庭内が多く、学校を中心に地域に広がっていない
状況から、当時わからなかった状況から少しずつわかってきたと思っている。したがって、これまでの状況を踏まえると文科省から学校へ一斉休校を求めることを考えておらず、子供の学びを最大限確保することを前提に各地域の感染状況を踏まえた対応が求められると考えている。

また申し上げるまでもないが休業はお願いベースでありますので、自治体などの感染状況によっては一斉に閉めたほうがいいという判断もあるだろう、地域の状況をみることが重要である。2月の時のようなお願いは考えていない。

部活動について

質問:部活動は、学習指導要領上は義務ではなく、あいまいな位置づけになっていると思うが、クラスターの発生はほとんど部活動と、学校にもプレッシャーがあると思う。部活動は必ずしもやる必要はないというメッセージを出してもいいという声もあるがこの点はどう考えているか?

回答:部活動については活動のみならず集団での移動・会食・宿泊など長時間での行動をともにする場合があり、集団内での感染拡大がある。このため中学校・高等学校における部活動の実施は新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルに従って地域ごとの感染レベルに応じ工夫すること、練習中はこまめな換気や手洗いなどを徹底すること、集団での移動・会食・宿泊・寮生活など感染症対策を徹底すること、特に高等学校においては感染リスクが高い活動は休止するなど、感染拡大に留意いただきたい。

また大学などの部活動においては寮生活や部活動の前後を含め、これまでの通知やUNIVASや関係団体が作成しているガイドラインの遵守を徹底し、感染対策を徹底していただきたい。

ご指摘があったように一律にやめたらどうか、続けたらどうかを申し上げることはできないが活動の内容によって感染リスクがあるものないものがあると思うので、現場で吟味いただきたい。屋内や屋外、直接ふれるもの、ふれないもの、文化系の部活動などは違うと思う。ここで文科省がメッセージを出すと大切な三学期に間違ったメッセージになってしまうと思うので注意をしながら対応いただきたい。

大学入試や体調不良について

質問:共通テストについて、当日体調に不安を感じた場合受験生はどうすればいいのか、体調面の受験生がきた場合についてどうするか、大学の個別の入試について確実に行っていく上でもどういう対応をとっていくのか?

回答:大学進学を目指して共通テストをする予定の50万人以上の受験生だけではなく、受験生を支えてきた保護者の皆様や指導をされてきた高校の先生のご努力が無駄にならないよう昨年の12月18日の会見でも申し上げたとおり、試験は予定どおり実施するつもりである。そのためでも文科省と大学入試センターが緊密な連携のもと、昨年11月に作成した感染予防対策に基づき、現在各大学において受験生を迎えられることができるように準備をしている。

また感染状況に関わらず試験を実施するため、受験生が利用する宿泊施設や公共交通機関の感染症対策の徹底や試験場やその周辺でも公共交通機関で密集状態をつくらないことにについて、厚生労働省、国土交通省、経済産業省、観光庁とも連携をしながら関係各所に要請を行うなど政府全体で受験生をサポートしていく予定である。

昨年11月15日の新型コロナウイルス感染症対策の分科会において、大学入学共通テストの感染症予防対策について審議いただいた際には専門家から入試は他のイベントと異なり、感染リスクは低い、感染がかなり拡大する場合には事前の健康管理を厳格に実施すべきなどの意見をいただいた。

こうした専門家の意見をふまえ基本的な感染対策に加え、自主検温、健康観察など受験1週間前から行い、特に感染拡大地域においては2週間前から実施、毎試験開始前に監督者による体調不良者の確認、体調不良の申し出がなくても例えば咳き込んでいる受験生がいて、他の受験生に影響があると判断されたものは救護室へ案内、救護室では医師が追試や別室での受験ができるかを判断していただいて、また昼食は指定された場所で自席で会話をせずに取ること、休憩時間にみんな同じ学校の生徒が集まってということはいつもは風景としてみられるが、今年は移動せずにやってもらいたい。感染対策の徹底を受験生や実施大学にもとめているところで、関係者に周知徹底をはかっていきたい。

各大学の個別入試については新型コロナウイルス感染拡大防止分科会における審議をへて昨年11月29日付けで一部改正した新型コロナウイルス感染症に対応した試験実施ガイドラインに基づく感染防止対策の徹底や選抜方法などの工夫により各大学において適切に実施いただきたいと考えている。なお受験生が安心して実力を発揮できるように受験機会を確保することが重要であると考えており、既に各大学の一般選抜において9割以上の大学が追試験を設定するなどご尽力いただいているところだが、引き続き必要な措置を最大限講じるよう昨年12月18日に改めて各大学に要請を行ったところである。

大学の個別入試について

質問:大学入試の関係で大学共通テストは大きな移動がないが、個別入試に関しては受験生が移動を伴うと見られる。移動についての見解を伺いたい

回答:受験生が利用する宿泊施設や公共交通機関など感染症対策の徹底など各省をあげてサポートしようと昨年から会議を続けている。確かに移動を伴うことになると思うが少し時間に余裕をもって、混雑がない時間などを選んで移動していただくことが望ましい。ここは準備をしてきた受験生の機会を奪うことなく、実施にむけて社会全体で支えていきたい。

終わりに(個人所感メモ)

今回の記者会見では11月の下記とは大きく変わりません。 

www.daigaku23.com

基本は各組織・機関が判断すること、生徒・学生・受験生に不利益が生じないようにすることを求めていること、部活動はやめろとは言えないが各組織が慎重に判断することなどでしょうか。

質問にもありましたが、これから大学だけではなく、様々な学校で受験が始まります。本日(1月5日)も感染者が非常に多いという報道がされていますので心配ではありますが、まずは初めての大学入学共通試験が無事に終わるよう、一大学関係者としては行動したいと思います。