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総務省の地域計画調査における大学の調査や指摘事項

総務省中部管区行政評価局における地域計画調査のサイトページに「緊急時における大学の遠隔授業の実施に関する調査」が2020(令和2)年12月11日に所見表示されました。

この調査結果及び総務省からの改善意見については、ニュースになっていたので、目を通した方も多かったと思います。この改善指摘の例としては下記のようなものがあります。(総務省中部管区行政評価局,2020

  • 遠隔授業における面接授業に相当する教育効果を担保するための措置の実施状況を把握し、この措置が行われていない場合は必要な対応を行うこと 
  • 学生が履修登録をする際に、授業の選択や事前の準備が適切にできるよう、全てのシラバスに授業の実施方法(面接授業・遠隔授業の別、具体的な実施方法)を明記すること
  • 授業の実施方法の検討やインターネット環境等の整っていない学生に対する適切な支援が実施できるよう、授業を開始するまでに、学生の情報通信機器の保有やインターネット環境の状況を把握すること
  • 保健管理センターにおいて、ウェブ会議システムを活用したオンラインでの学生の心のケアを行っていることを、学生が把握しやすい方法で周知すること

内容としては文部科学省から2020年度(前期)に通知されていたものなので、対応している大学もあるかと思いますが、大学関係者としては総務省がここまで指摘をする、これがある意味最低基準(スタンダード)であることを再認識しやらないという選択肢はなくなったのではないでしょうか。

(本記事の参照ページはリンク先、参照日時は2020.12.19となります)

総務省の地域計画調査とは何か?

そもそも「総務省が何故改善意見を出しているのか?、文部科学省や会計検査院なら分かるのに」と思う人もいるかもしれません。

今回は地域計画調査との事なので、総務省のHPを確認すると地域計画調査とは次のように説明されています。

管区行政評価局・行政評価事務所では、現地的な改善の必要がある行政上の重要課題について、独自に調査を行って改善を図る「地域計画調査」を実施しています。

つまり遠隔授業や学生支援については行政上の重要課題として捉えられているのですね。また今年度の地域計画調査はこんなものを実施しているそうです。

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出典:総務省HP

過去の地域計画調査の大学関連

それではこの地域計画調査では、大学に関連するものとして過去にどのようなものが調査されているのでしょうか?

調べて見ると過去に大学(高等教育)関連で今回の遠隔授業のように改善意見を出しているものがあります。今回は最新のものから概要だけを確認してみます。

関東管区行政評価局による障害学生への支援―発達障害を中心として―の評価(令和元年度)

令和元年度に関東管区行政評価局が平成28年度4月1日からスタートした「障害者差別解消法」が3年経過したことから、国立大学法人の支援について実態調査を行った結果が公表されています。ここで指摘されている例として次があります。

  • 障害のある学生の在籍状況の把握方法を見直し
  • 学生支援(入学前~就労支援)
  • 災害時の支援

上記は一例ですが、結果報告書をみると障害のある学生の支援について、事例なども分かるものとなっています。(結果報告書は下記URL参照)

https://www.soumu.go.jp/main_content/000673977.pdf

近畿管区行政評価局による障害学生への支援の評価(平成29年度)

先ほどの関東管区行政評価局は「障害者差別解消法」スタートから3年後以降の取り組み調査ですが、こちらは平成29年となるので、1年経過した際の調査結果が公表されています。

例えば施設のバリアフリーの状況、視覚障害のある方々によるホームページのアクセシビリティ点検、障害のある学生に対する意識調査、大学の支援内容について調査が行われています。

特に大学のホームページは近年はデザイン性にあふれるHPにしている大学も増えてきましたが、視覚障害のある方が見ることも踏まえておく必要があります。(ここでは大学のHPはコントラスト、スライドショーの表示時間、画像の代替テキストの設定、PDFが音声読み上げに対応していない、リンクが多いといった調査結果が示されています。)

平成28年度以前や関係団体に関する評価

ここから大学や関係団体に関する評価の題とリンクをまとめておきます。

〇平成30年度

新潟行政評価事務所「より一層、患者に配慮したサービスを目指して 新潟行政評価事務所~新潟県内の独立行政法人等の病院における利用者サービスに関する調査(行政相談契機)~ 」※国立大学法人の5病院も対象

東北管区行政評価局「災害備蓄食料の活用の促進に関する調査の結果報告書平成3 1年3月2 8日 -食品ロスの削減を中心として-

四国行政評価支局「公共施設等における障害者の受入れに関する実態調査

〇平成29年度

総務省中部管区行政評価局「宗教的配慮を要する外国人の受入環境整備等に関する調査ームスリムを中心としてーの結果

〇平成28年度

中国四国管区行政評価局「国立大学等における障害のある学生の修学支援に関する調査

〇平成27年度

北海道管区行政評価局「特殊法人、独立行政法人等におけるAED(自動体外式除細動器)の設置状況等に関する実態調査

北海道管区行政評価局「北海道内におけるジェネリック医薬品の普及促進に関する調査」※大学病院

中国四国管区行政評価局「救命率の向上につながるAEDの利用環境整備に関する調査
―必要な時に誰もがAEDを利用できる環境作りのために―

総務省熊本行政評価事務所「独立行政法人の医療機関における放射性同位元素等の管理
に関する調査結果に基づく通知(概要) 」※大学病院

終わり

過去の調査結果を見ていると法令が変更されたものできちんと対応されているかといった事が見られているように思います。しかし今回の遠隔授業はもともと大学設置基準などであったけど、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い注目されている点について調査をしたと言えるかもしれません。

ただこの調査結果は概要のスライドではなく、結果報告書については事例集といってもいいような内容となっています。今回の遠隔授業についても対応や通知なども詳細に記載されていますので、私立大学でも活用できる内容ですので、結果報告書を一読しておくといいかもしれません。

www.soumu.go.jp