私立大学の補助金で〇〇(〇〇には専門分野が入る)の人材がいるかどうかが、補助金の増減に関わる事があります。その為、大学は内部あるいは外部からの人材を登用して、専門分野に精通した人材を置くということがありました。
専門分野に限らず、働いている人は程度の差はあれど、専門性を身に付けなければならないと思っているのですが、最近感じるのはインプットばかりしている人は専門性を身に付けていると言えるのだろうかということです。そこで今回は私立大学の補助金の文脈から専門性についてのコラムです。
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専門性の質の担保とその方法
私立大学の補助金に関わる近年の私立大学等改革総合支援事業では、専門的な人材がいるかどうかが求められるものがあります。
例えば、データを収集し、分析をするIR(Institutional research)の人、カリキュラムコーディネーター、入試に関する専門的な業務を行うアドミッションオフィサーなどです。これらの人材は、昔は置く事が求められており、質までは求められていませんでした。
しかし近年では、専門性について質の担保も求められています。その方法として例えば次の4つがあります。
- 機関が一定の責任を持つ専門職として配置(任命)していること
- 研修などに参画させていること
- 知識を有することを証明できること(学位・業務経験・一定期間以上の授業等に参加・該当分野の研究実績がある、関連の資格等がある)
- 外部から講師として招聘されていること
まず1つ目の組織が専門職として任命しているということは、一定の実績や知識・スキルを持っているとみなすという事でしょうが、これは採用した後もきちんと評価をしていかないと専門性の担保はできないでしょう。
次に2つ目ですが、研修などに参画させることは記録も残りますので、専門性があると示すには非常に分かりやすいかもしれません。しかし学んだ知識をどう活かせるかを本人が試行錯誤しながらやっていく必要があります。単に参加して参加証明だけ欲しいというスタンプラリーでは全く意味がないのではないでしょうか。
3つ目の知識を有することが証明できるは、私立大学の文脈だとIRについてですが、自己の専門性をブラッシュアップしてもらわないとその証明がしにくい事があります。IRを担う人材がグラフ作成屋であればどんなに業務経験を積んだとしても専門性があるとは言い難いかもしれません。
4つ目の外部の研修会の講師として招聘されることは、実績があれば外部(他大学)から呼ばれてお話をすることがあるでしょう。他機関から認められたということは専門性があるという裏付けになっているのですね。(ただ、講師だとレベル差はありますし、補助金上で講師派遣が求められるとやりようはいくらでもあります。)
これらを見ると、インプットをしているか、第三者が判断できる専門性を示すエビデンスがあるか、外部から該当の人が専門的人材であるという評価がされているかが専門性を示すファクターではないでしょうか。(ただし補助金上の文脈という限定範囲になります)
常にインプットし続ける人に専門性はあるのか?
常に学ぶ意欲を持ち、どん欲に学び続ける人はそれだけで尊敬出来ます。ただ「インプットのレベルが一定で何も変わらない人はどうなのだろう」とふと思う時はあります。
例えば専門的人材として数年たつのに、未だに初学者向けのセミナーばかり参加している人は果たして専門性があると言えるのでしょうか。インプットも自身の理解や経験を踏まえて、もっと専門性の高い内容をインプットする、あるいは関連分野をインプットするといったことが必要だと考えています。
専門性とは自身で主張するのではなく、周りが認めるものではないか
インプット人材は、ご本人は専門性があると自負されるかもしれませんが、周りからは判断が難しいことがあります。だからこそ業務のプロセスで判明したり、アウトプットしたものが必要なのです。
また自身で自分は〇〇について専門性があるといっても自身の考えや価値観では専門性があると捉えているても、周り(外部)がそう思わないと専門性人材であるといえないのではないでしょうか。