2019年5月末に広島にある広島国際学院大学・広島国際学院大学大学院が2020年度以降、学生募集を停止するとリリースがありました。
ただ学生募集を停止するといっても、企業の倒産とは異なります。
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学生募集停止をする判断をどこでするか
学生募集を停止するという決断をどの段階、つまり自分達だけではこの(経営)状況を挽回できないとう判断をどこでするかは難しいと感じます。
企業のようにすぐに組織を畳むのではなく、学生が卒業するまではきちんと大学や学部等を存続させないといけません。
つまり在籍している全ての学生が卒業するまでに、教育経費、教職員の人件費、施設等の維持等に関わるお金はかかる事になります。また募集停止をすると年々学生は減っていきますので収入は減るのに、支出はほぼそのままです。
つまり、一定の所で今後の財務の計算を行い、経営判断をしないとお金が足りなくなってしまいます。例えば大きい法人が母体で、法人の中にいくつもある大学を廃止するのであればお金は何とかなるでしょうが、中々そうもいきません。
慎重に経営判断をしないと学生は必要な学びが出来ずに、不利益を被る事もあり得ます。
例外として解散命令が出された創造学園大学(堀越学園)があります。この時は、全国の大学に学生を受け入れられるかといった問い合わせもありました。
大学や学部等の学生募集停止の流れ
大学の学内の手続きで「学生募集停止をする事の意思決定」が行われた後、大学は文部科学省へ速やかに報告をする事と定められています。
この報告には「いつから募集を停止するか、募集停止をする理由、今後どうするか(在学生が不利益にならないように取り扱う事や教職員の身分、施設設備の取扱等)」を記載します。
ただ文部科学省からは学生募集停止については「学生や教職員等の理解を十分得るように」と注意もなされています。そうでないと、上層部が勝手に学内の一部の学部の学生募集停止の報告を行ってしまうといった事もあり得ますね。
また学生募集を停止したからといって、組織がなくなる訳ではありません。先ほども学生がいる限りは組織は存続させる必要がありますので、大学の在籍者の修学上必要な事項を定めた学則には、該当組織が廃止されるまではきちんと記載がされています。
(ただ学生募集の停止がされて、数年後に組織の廃止をする事が決まると在籍学生は標準修業年限、大学であれば4年間で卒業してもらわないと、経費が年々嵩むので困ってしまう事態もあります。
例えば休学や留年などで一人でも学生が残ると組織は存続させないといけません)
大学や学部等の廃止について
学生募集停止の段階はまだ組織(大学や学部等)はありますが、在籍学生がいなくなると廃止の認可申請の手続きをしていきます。
ここで注意すべきは学生募集の停止は「報告」ですが、大学や学部長の廃止は「認可」である事です。なお、認可されるとその組織はなくなります。
この手続きについては「平成十八年文部科学省令第十二号 大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則」にも定められており、第9条には次のように記載されています。
第九条 大学等の廃止の認可を受けようとする者は、認可申請書(別記様式第一号の一)に次に掲げる書類を添えて、文部科学大臣に申請するものとする。
一 基本計画書(別記様式第二号)
二 当該申請についての意思の決定を証する書類
三 廃止の事由及び時期並びに学生の処置方法を記載した書類
2 大学等の廃止の届出を行おうとする者は、届出書(別記様式第一号の二)及び学則(変更事項を記載した書類及び新旧の比較対照表を含む。)に前項に掲げる書類を添えて、文部科学大臣に届け出るものとする。この場合において、同項第二号中「申請」とあるのは「届出」とする。
これらの書類の中で、特に廃止をする意思決定、つまり理事会の議事録や決議録を原本証明をした上でも提出する必要があります。
また「廃止の事由及び時期並びに学生の処置方法を記載した書類」については、募集停止の届け出と同様に、学生の処遇、教職員の処置、施設設備の処置、また学籍関係書類の保存方法について記載する必要があります。
学籍については、どこかできちんと管理しておかないと、卒業証明書など証明書関連の発行が出来なくなってしまいますので、非常に重要です。
もし自分の出身大学が廃止になってしまう場合、学籍はどこで保管されるのかは必ず確認をしておいた方がいいですね。