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PD(Proffesional Development)はFDとSDが合わさったものなのか?

2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)(中教審第211号)」の教学マネジメントに係る指針に盛り込むべき事項の例の1つとして「FDファカルティ・ディベロップメント)の高度化SD(スタッフ・ディベロップメント)の高度化」が盛り込まれています。

また中央教育審議会大学分科会教学マネジメント特別委員会の第2回の資料の資料2「教学マネジメントに係る指針に盛り込むべき主な事項の全体像(案)」にも、FD・SDの高度化について記載されています。

ただ教学マネジメント特別委員会の「教学マネジメントに係る指針に盛り込むべき主な事項の全体像(案)」の⑤教学マネジメントを支える基盤(FD・SDの高度化、教学IR体制の確立)に引っかかる内容があります。

専門性の高い教職員の育成の充実を図るために、FD・SDが促進される必要があるが、内容に応じて適切な場合には、FDとSDが一体化した「PD(ProfessionalDevelopment)」という形で実施することも考えられる。

PD(Professional Development)は本ブログでも過去に取り上げた事があります。

www.daigaku23.com

当時は大学職員としてのSDやPDについて述べています。この時からPDは専門性を高めるという意味と理解していましたが、今回、PDはSDとFDの融合という意味で使用されていいます。

そして、これを皮切りに答申や審議会大好きマンや業者から「これからはPD」「弊社のPDプログラムはどうですか?」と言われることは想像に難くありません。

 

FDとSDの現状の整理

2018年のグランドデザイン答申や教学マネジメント委員会では、FDやSDの高度化が求められていますが、現状の大学設置基準を見るとFDやSDは下記のようになります。

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FDやSDは大学設置基準で実施が義務化されています。また私立大学のみの対象ですが補助金に関わる私立大学等改革総合支援事業タイプ1では、FDやSDの参加率100%を求められるとともに、FDやSDの取組の具体例も挙げられています。

特にFDについては、授業評価アンケートを使ったFD、成績評価に関するFD、シラバス作成に関するFDそれぞれが設問となっており、私立大学等改革総合支援事業タイプ1に選定されようとすると、1年間に3回のFDのテーマが決まってしまいます。

 

FDやSDの高度化はPDではないのか?

今回、FDやSDを高度化しろとのことですが、教育職としての「授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究」や、「教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため、その職員に必要な知識及び技能を習得」を高度化させることは、専門性を高める事を意味するのではないでしょうか。

そしてこれこそPDではないでしょうか?イメージとしてはこんな感じです。

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ただ、今回の教学マネジメント特別委員会の第2回の資料でのPDは、「内容に応じて適切な場合には、FDとSDが一体化した「PD(ProfessionalDevelopment)」という形」と書かれています。そうすると、例えばFDとSDが重なる部分をPDとするこんなイメージや

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完全にFDとSDが一体化したこんなイメージが思い浮かびます。

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でも、上記2つの図はPDかというと、高度化という意味合いを持っていると考えると非常に違和感があります。

 

PDではなくUD(University Development)?

どちらかというと、参加対象が教職員であることや非常に幅広い領域を扱う可能性がある事から、PDではなく、UD(University Development)としたほうがしっくりきます。

また最近は金沢大学で「University Development(UD)とは、FDとSDを統合発展させた概念」としてセミナーや研修会を開催しています。

herd.w3.kanazawa-u.ac.jp

ただUDには、教職協同としている発表事例もあり、UDの明確な定義は定まっているとは言えません。

少なくともFDとSDを合体させただけではPDとは言えないと考えています。FDやSDの両方の側面を持ちながらも、第三者が高度な内容であると理解できるものでなければPDとしないほうがいいのではないでしょうか。