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読了記録:残業学ー明日からどう働くか、どう働いてもらうか

残業の懐かしき思い出と今

新卒で入った最初の会社で配属された支店は、残業をつけていい目安時間は月10時間程でした。

それでも課全体では定められた利益目標額を達成していたので、月10時間ぐらいであれば上から文句を言われる数字ではなく、残業時間は多いほうでした。逆に利益目標額が未達成の課は残業をつけると支店長から嫌みのオンパレードだったのでサービス残業が非常に多い会社だったと思います。(自分が辞めた後の話ですが、同期の密告により調査が入ったとも聞きます)

一方、今は上司からの命令や相談や突発的な仕事が入ると、きちんと残業代は支給されます。でも周りを見ると、残業ガッツリの人やいつ家に帰っているの?、いつ休みを取っているの?という人もいます。

近年、大学は入学定員超過抑制や来年度の消費税の増税で収入が減り、支出が増えるという現状があります。入学金、授業料を値上げすればいいかもしれませんが、他の競合大学を考えると、そう簡単に値上げはできません。

そこで最近は予算削減も進み、さらに大学職員の残業抑制を行っている大学もあるとも聞きます。

ただ残業抑制やその方策については色々と疑問に思うところもあります。そこで2018年12月に出版された立教大学の中原先生の「残業学-明日からどう働くのか、どう働いてもらうのか」を拝読しました。

この本ですが、自分のような部下を持つ中堅ぐらいの社会人だけではなく、人事部や総務部、さらには役職を持つ年配の人や学生に読んでほしい本でしたね。

「残業学」の感想

残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? (光文社新書)

残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? (光文社新書)

 

残業については、色んな立場や価値観で意見や質問・疑問が異なるかと思います。
例えば、年配の方の「自分たちは夜中まで残業して頑張った。残業で成長できた」というのがあります。

この本で非常に興味深いのは、様々な立場や年齢から思う残業についての質問や論点を丁寧に解説して、残業を減らすための組織の生産性にまで書かれている事です。

残業の歴史や文化から始まり、大規模調査からみる残業実態、残業時間が多い人のリアル生活や日本人の特質、なぜ残業はなくならないか職場の課題や問題、働き方改革や残業抑制策がなぜ効果がないのかが一つ一つ分かりやすく解説されています。

残業時間の実態は他の調査でも調べる事が出来ますが、サービス残業の実態を業種や職種で明らかにしているのは興味深いデータで、大学だとキャリア支援の仕事で一考する為の材料になりそうです。

働き方改革は制度と一緒に意識改革もしなければならないと思っているので、時間はかかるでしょうがこの本に書かれている事をしていくと組織と人の大変革が出来ると感じます。

個人的には残業がなくなるのと同時に兼業や副業についても議論をしたいですね。