最近読んだ本の中での読了記録を久々に更新します。
ヘンな論文
学生の頃は自分が所属する学部の教員しか知らず、世の中にどんな研究があるかといった事はあまり興味がありませんでした。
大学で働いていると、学部等の設置業務や資格課程の申請で先生方の研究業績書を見る機会があります。そこで先生方の業績を見ていると、ふと「何故、こんな研究をしているのだろう?専門分野とちょっと違うのでは?」と思う時があります。
さて、「ヘンな論文」は、「珍論文コレクター」のサンキュータツオ氏の著作です。目次を見ると「世間話の研究」や「浮気男の頭の中」、猫カフェを題材にした「猫の癒し効果」などタイトルだけで興味をそそられる13本の論文の概要やつっこみが記載されています。
例えば、公園の斜面に座る「カップルの観察」では「傾斜面に着座するカップルに求められる他者との距離」(小林・津田:2007)を目的にしている研究との事です。
この本がいいのは、一般読者に論文を分かりやすく、面白おかしく解説し紹介しているのです。またコラムとして「論文」や「研究」について解説しており、論文や研究と縁のない人の理解がしやすいようにしているのも読みやすさを後押ししているポイントだと思います。
また、この「ヘンな論文」は続編もあります。
引用文献
小林茂雄・津田智史(2007)「傾斜面に着座するカップルに求められる他者との距離」,『日本建築学会環境系論文集』615,65-71.
高大接続の本質
高大接続の本質―「学校と社会をつなぐ調査」から見えてきた課題 (どんな高校生が大学、社会で成長するのか2)
- 作者: 溝上慎一,京都大学高等教育研究開発推進センター,河合塾
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2018/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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先日、趣味のオフ会で某県立高校の先生とお話をした時にポートフォリオの話になりました。
昨日、趣味の集まりで話をした人がたまたま高校教員だった。
— とある大学職員 (@daigaku23) 2018年10月3日
そこで高校のポートフォリオの話をしたら、高校側も大学がどう使うか分からないから不安、でも上からシステムだけきて、生徒には取りあえず情報を入れさせていると聞いた
色んな所でポートフォリオの開発やシェア争いがある中で、どう活用するかはまだ模索段階であるなと感じます。
これに限らず、大学としても高大接続をどうするかといった議論がなされている、もしくは議論しなければいけないけど、面倒だと感じるから誰も学内で引き取り手がいないという状況ではないでしょうか。
ただ高大接続の議論をする時は、入試改革だけではないと思っています。例えば、大学側としては入試・入学前教育・初年次教育・カリキュラムや教養(基盤)教育・正課外教育などセットで検討しなければならず、それが本学でもどうしようかと先が見えにくい議論で難航しています。
溝上先生の「高大接続の本質」は10年トランジョン調査やその結果(例えば高校生から大学生の移行期間の成長など)について解説され、大学の包括的な高大接続の議論へ示唆を示すものとなっています。
文系大学教育は仕事の役に立つのか
勤めている大学のは、人文社会学系の学部があり、気になる本です。
大学不要論など、SNSやインターネット上で発信されるのを目にしますが、調査を通じて学びと仕事の活用や、学生時代の学習経験、奨学金利用と学生時代の学びなどの知見があるこの本をおススメしたいですね。