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大学のWEB出願と課題~受験生にメリットあるWEB出願システムの必要性~

9月ぐらいから大学は入試シーズンとなり、大学によっては毎月入試が行われます。

 

入試を受けるには、一昔前は願書を書店で購入するという時代もありましたが、近年はオープンキャンパスで配布したり、Webで閲覧する事も出来るようになりました。

 

そして、所謂「Web出願」を取りいれる大学が増えています。ただ、資格試験のようにWeb出願といってもすべてがWebで出来るかどうかは大学によります。

 

Web出願できる大学の代表例

インターネットで「大学 Web出願」と検索すると下記の大学が上位表示されます。まずは検索してすぐに出てくる大学の一覧です。

〇明治大学

www.meiji.ac.jp

〇法政大学

法政大学は動画でWEB出願の方法について説明しており、非常に分かりやすいです。

nyushi.hosei.ac.jp

〇東京芸術大学

admissions.geidai.ac.jp

〇明治学院大学

www.meijigakuin.ac.jp

〇東京農業大学

https://www.nodai.ac.jp/admission/info/webentry/

〇淑徳大学

www.shukutoku.ac.jp

〇大妻女子大学

www.otsuma.ac.jp

Web受験の一般的な手続き

大学のWeb出願には基本的に必要なものとして、インターネットにつながったパソコンやメールアドレス、プリンターが必要です。(パソコンやプリンターがない場合は、その大学に行って手続きが可能となる大学もあるようです)

その後、受験生は次のような手順で出願をしていきます。

f:id:as-daigaku23:20181001141020j:plain

図を見てみると、気になるのは④で必要書類の確認・印刷をするのと、必要書類を送付する事です。WEB出願というと、全ての手続きはネット上で完結するイメージがありますが、殆どの大学では受験生が書類を印刷して大学に送付する必要があります。顔写真については、データをアップロードする大学(システム)も多いです。

また受験票については、①大学側が受験票を作成して受験生に送る場合や、②大学側が書類を受領・確認の上、受験生が自宅で受験票を印刷する場合がありました。②だとネット環境のパソコンがない受験生はちょっと面倒かもしれません。

 

大学WEB出願の課題と検討

パソコンの保有と利用

WEB出願には原則としてパソコンが必要ですが、全ての受験生の自宅にネット環境とパソコンがある訳ではありません。

まず、総務省の情報通信白書によると、世帯によるパソコンの普及率は年々下がっています。2016年には約70%となっていますね。

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc262110.html

 

また今の高校生、もしくは高校生がいる家庭のパソコンの使用状況はどうなっているのでしょうか?内閣府の「平成29年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」ではパソコンの所有率は分かりませんが、ノートパソコンの利用については「「ノートパソコン」は、学校種が上がるほど利用が多くなり、小学生では 10.9%、中学生では 16.3%、高校生では 19.3%となる。」(内閣府:2018)とされています。

一方、同じ調査でスマートフォンは「「スマートフォン(計)」の利用でみても、学校種が上がるほど利用が多くなっており、小学生では 29.9%、中学生では 58.1%となり、高校生では 95.9%がいずれかの「スマートフォン(計)」を利用している。」と使用率は言うまでもなく高いです。

スマートフォンやタブレットに対応しているWEB出願システムもあるでしょうが、大学としてもパソコンが必須ではないシステムをきちんと検討する必要があるのではないでしょうか。

完全WEB化の実現

受験票を紙から情報端末にするのは、カンニング防止といった観点から難しいでしょう。でも、書類を大学に郵送しなくてもいいシステムが必要ではないかと思います。

受験生がWEBで情報入力するのは、大学側は情報を入力する手間(人件費)が節約できる・記入漏れがないから問い合わせをする手間がなくなるといったメリットがあります。ただ受験生が書類を印刷して大学に送付する事はかなり手間だと感じます。

いくつか表から見えない課題もあるのでしょうが、受験票を印刷する以外の手続きはすべてWEBで出来ると受験生側にもメリットが出てくるのではないかと思います。

 

WEB出願のソリューション例

各大学、WEB出願は自前ではなく、企業からのシステムを借りてWEB出願の仕組みを構築している事が多いです。そこでいくつかの大学が採用しているシステムを並べておきます。

e-apply

株式会社DISCOによるシステムで出願から受験料支払いまで出来るシステムです。

目白大学 ネット出願ページを見てみると、一見大学のHPのように見えますが、URLを見るとDISCOのサイトであることが分かります。

e-apply.jp

UCARO

株式会社ODKソリューションズによる入試業務を一本化するシステムです。ホームページはスマートフォンやタブレットで見るように最適化されていますね。

www.ucaro.net

大学出願ネット

株式会社スクールパートナーズによるインターネット出願システムです。なお中学・高校向けインターネット出願サービスもあるとの事です。

www.sclpa.jp

三菱総研DCS株式会社(株式会社オプト・ジャパンを吸収)

ここの収納代行まで出来るネット出願システムです。

www.dcs.co.jp


終わりに

ちょっと調べただけでも、WEB出願まで出来るシステムがありました。ただ小規模大学だと、システム導入するだけでかなりの経費になってしまうのは悩みですね。

またWEB出願システムは現時点では、書類の郵送が必要な場合が多いです。WEB出願というとすべてがWEBで完結するイメージがありますが、現状はそうではありません。受験生の手間暇をいかに軽くするかといった事も考える必要がありそうです