5月1日時点での1年次生というと、どんな数字を思い浮かべますか?
ここは大学によって定義がまちまちかもしれませんが、1年次生=入学生+留年生等も含む場合があります。そうすると、5月1日時点での1年次生と入学生では、数字が異なる可能性があります。(大学の入学定員管理を考える際にはその点をきちんと理解しておく必要がありますね)
ここ数年、IRについて議論をする際に、データマネジメントの重要性について話が出ることがあります。
過去記事でデータと情報についての話をしましたが、このデータを管理することとなります。
1.データマネジメントの定義とは
ではデータマネジメントとは何でしょうか?まず1つの定義として「データを活かして業務を改善し続けるとともに、新たな業務とそこで使うデータを設計する。そのためには、データを経営資源あるいは組織の資産ととらえて設計・登録・更新・活用することと、一連の行為をより安全に、かつ効果的に実施するための諸活動が欠かせない。これらを総称して『データマネジメント』と呼ぶ」(株式会社データ総研2015:10)と定義されています。
データを活かして業務を改善に繋げるは大学のIRのイメージと非常に近しいですが、データを安全に効果的に実施するための諸活動と幅が広いです。
またこのような定義もあります。「データをビジネスに活かすことができる状態で継続的に維持、さらに進化させていくための組織的な営み」 (一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム データマネジメントの基礎概念を定義する研究会2013:93)
こちらの定義は分かりやすいですね。2つの定義を見ると、データマネジメントは、企業がデータを財産と捉え、データを用いて企業自身が情報へと変換し知識へ進化させるための取組であると言えます。
2.データマネジメントの管理機能とは
それではデータマネジメントにはどのような活用があるのでしょうか?データマネジメントでよく紹介されるのがDAMA Internationalが示しているデータマネジメントの管理機能です(図1)
図1 データマネジメントの管理機能
出典:DAMA International(2010)より筆者作成
ちょっと分かりにくいものとして、メタデータとは、組織で使われるデータやプロセス、データルールなど様々なものを内包するもので、例えば、データ定義、データを保有するシステム、データ値の範囲、データやファイル構造などがあります。またデータのクオリティとは、データが適切に見つけられる、性格、十分なデータセキュリティ、データの一貫性などが具体例としてあります。
ただこれらで示されている管理機能は、IRを考える上でのデータマネジメントとはかなり過大であると思っています。
そもそもIRで何故データマネジメントの話になるかというと、データ定義を明確にすることや、データを適切に使用できるようにする為でもあり、図1の管理機能で言うならば、データガバナンスやデータクオリティなどではないかと考えています。
下記の図だと、データの部分の定義や管理や利用をどうするかを予め定めておかないと価値のある情報にはなりません。
データマネジメントとはいいますが、データカタログやデータ定義書の作成はデータマネジメントの1つです。ただ大学でこれは必要だなと思うのは、データマネジメントの責任者であると考えています。通常は充て職で、学長や事務局長がなるケースがあるかと思いますが、教学や経営などの知識とともにデータマネジメントに関する知識、また関連法令(例えば個人情報保護法)の知識がある人がいれば、大学内のデータ活用はもっと進みやすくなると思います。
3.データマネジメントは何からすればいいか?
まあまず手軽に出来るデータマネジメントとしては、以下の事をチェックしてはどうでしょうか。
①どこにどのようなデータがあるか
②データはどのように流れていくか
③データ定義は定まっているか
④データを使う際の条件などは定めているかといった事
ちょっと話は変わりますが、データセキュリティについては平成28年度に文部科学省から情報セキュリティに関する通知がきているかと思います。
またセキュリティポリシーの策定についても、大学もしくは法人で定めていると思いますので、是非確認をしてみてください。
<引用文献>
株式会社データ総研,2015,『データマネジメント業務改善の正攻法』日経BP社.
DAMA International,2010,The DAMA Guide to The Data Management Body of
Knowledge,Bredley Beach:Thchnics Publications LLC.(=2011,株式会社デー
タ 総研訳『データマネジメント知識体系ガイド 第一版』日経BP社.). データ
マネジメ ント知識体系ガイド 第一版. (データ総研, 訳) 日経BP社.
一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアムデータマネジメントの基礎概念
を定義する研究会,2013,『データマネジメント概説書JDMC版Ver1.1 ビジネスとI
Rをつなぐ―データマネジメントとは』一般社団法人日本データマネジメント・コン
ソーシアム.