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IRと大学職員⑱そのデータ・情報は誰のもの?

 IRを行う上で、データがうまく集まらない。例えば、学部が教学に関するデータを管理していて、大学機構であるIRを担う部署(以下「IR室」)には各学部からデータが提供されないとか、各部署からデータが出てこないという悩みです。

 その為には、大学には統合データベース(例えばデータウェアハウス)の必要や、IR室のデータベースへのアクセスが必要という意見や提言もあります。例えば、下記の図(IRの流れの一例)の赤線で囲んだ枠のデータと情報に、IRを進める上で課題になるという事です。

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 ただIRを進めるで、データや情報を集まらないという問題は顕在化しますが、同様の問題はIR室を外から見た場合も発生します。

 例えば、各学部や部署から収集されたデータをIR室が情報へ変換するとします。そして、それをクライアントZへ報告「A」(レポート)を提出します。 

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 ではこの報告「A」とこれを作成する上で活用された情報の扱いはどうなっているでしょうか?クライアントZがその活用やアクセスをする権限を決められるでしょうか?それともIR室は、(その報告や情報が他で使えれば)IR室の権限で定められた規則に従って活用できるのでしょうか?

 IR室は情報をまったく出してくれないのかと評される場合、IR室は情報をある程度自由に報告できる権限がないのかもしれません。それはデータや情報はどこが・もしくは誰が責任を持つのかが明確になっているかという事です。これは組織によってだいぶ異なるでしょうが、あらかじめ規定をしておくと、大学がデータを活用する上でスムーズに事が進みます(大学によっては、情報に関する規程がありますね)。

 一方、IR室も可能な限り、データや情報に関する権限が確認しておく必要があるかと思います。他から「〇〇が欲しい」というオーダーに「分からない」とか理由もなく「だめです」は、データだけではなく人へ(から)の信頼性も不可欠なIR室へ何か頼もうというのはなくなってしまいます。

 話題は少しずれますが学生調査についても同様だと考えています。近年、学生生活調査のみならず、学修行動調査やアセスメントに関する調査などで、学生の調査疲れがあるとも聞きます。大学が学生に調査を行った結果の情報は、どこが権限を持っているでしょうか?私個人の考えでは、調査をした対象へは余程の事(例えば個人攻撃など)がない限りは情報や報告は開示すべきであると思っています。

 データベースやら、IRに必要なツールは業者からも売り込みがありますが、それをどう活用するかに加え、データマネジメントも大学としてどうするかは学内で協議を行い明文化しておく、IR室はデータだけではなく、人ともコミュニケーションを取り、業務を行う事がIRを組織と進める上で必要ではないでしょうか。