2015年ごろからでしょうか、急速に「大学職員の楽」や「大学職員は安定」しているといった情報がネットで見るようになりました。
おそらく、大学職員の方が発信する大学職員の転職に関するブログの影響もあるかと思います。
大学で働いていると説明をすること
さて、散髪は若い頃は美容院に行っていたが、この年齢になると理容室のほうが楽で、個室か半個室の理容室で散髪する事が多いです。いや、この記事は散髪の話ではなく、散髪時によく「(仕事は)何をしてらっしゃるのですか?」と聞かれる事についてです。
いくつかありますが、次の3つが多いですね。
- 「教育関係です」と大きい範囲でいう。
- 「大学です」と答える。ただし、その後に「教員なんですか?」と聞かれる事が多い
- 「大学の事務職です」と答える。
1は、あまり親しくない人などに答える事が多いです。「教育関係というと学校の先生ですか?」と返されることがあると「教育系は塾やベネッセとか幅広いですからね」と答えるとあまり突っ込んできませんね。
2については、「いや、職員なんですよ」と答えるのですが、「大学職員は人気ですよね!」と言われる事もあります。理容室に限らず、色んな所で言われるし、中途募集をすると倍率はかなり高いとは聞いています。
大学職員が人気職種と考えられる理由
でも、何故人気職種なのでしょうか?
例えば、私の親は、私が小さい頃に「友人の大学職員が定時で帰れるし、仕事もそんなに忙しくないと言っている」と言っていたような気がします。そして、今でもそのイメージは残っているかもしれません。また私が、夏休みや冬休みは企業よりは長いという事を見ているせいかもしれないです。
最近はインターネットで大学職員は楽とかいう一般化したような情報を発信している大学職員アフィリエイターがいるせいもあるでしょう。
また例えば世間的にはこんなイメージがあるのではないでしょうか。
事務職である
今は職員も多様化しているし、募集は営業色が強い場合がありますし、地域連携や産学連携は自学の教育研究を理解して交渉して事業を進めていく事もあります。
どちらかという事務作業だけをやる専任職員は若いうちだけで、今は広い範囲の知識や情報収集力、問題解決力は最低限必要ですね。特に中堅以降の大学職員はこれらが問われます。
定時で帰れる
大学や部署、シーズンによります。年度末はどこも忙しいし、ピークの波は部署によってあります。
また一般的に学生の人が対応する窓口の多くが派遣職員やアルバイトなどに変わりつつあります。この方達は定時で上がることを原則としていますので、定時でみんな帰れると思うかもしれません。
ストレスが少ない。
そんな事はありません。これも組織や人間関係によりますし、ストレスで休職や退職する人も多いです。他大学の知り合いの大学職員に電話すると休職中という事もたまにありますよ。
仕事が楽
否定は出来ませんが、大学や部署、その人の能力によるしか言えません。これは思ったより楽だったというのと、仕事をやらないから楽とかいくつか混在している気がします。
給料が良い
他のブログで大学職員の給料に関する記事があったりと、もの凄く良い事例が紹介されています。言うなれば、同じ業界で外資系のトップクラスの給料が紹介されているようなものですね。地方の大学で、定員割れをしている大学はかなり悲惨であるとも、友人から聞いています。
安定している
大学の中にいて、学内外の情報を見ていると、突然倒産というようになくなる事はありませんが、なくなる可能性だって0ではないです。
私の同じ県内の大学の財務諸表を見ていると、毎年赤字であと数年で現金が尽きるのに、外から見ている限りは、のんびりしているなという大学もあります。
世間からみる大学職員
では、世間からは大学職員はどのように描かれているのしょうか。朝日記事や朝日関連雑誌のデータベースで、見出しが大学職員がついており、不祥事や犯罪、人事についての発表を除いたものをピックアップしてみました。(毎日新聞は該当なし、読売は教育ルネサンスに大学職員に関する特集がある)
月日 | 媒体名()内は 号数など |
タイトル |
2016/12/19 | アエラ(028) | 大学職員って今も勝ち組? 非正規雇用と転職組が増え環境激変中 |
2016/7/23 | 朝日新聞(教育1) | 大学職員も、海外に学ぶ ビジネス英会話の研修採用 国際化の意識高める |
2014/11/30 | 朝日新聞(朝刊 千葉首都圏・1地方) | 大学職員にスキルアップの場 市川で勉強会 /千葉県 |
2014/8/1 | 朝日新聞(朝刊・教育1) | 大学職員、進む「プロ化」 経営・広報・就職支援、高まるニーズ |
2013/6/7 | 朝日新聞(夕刊・1社会) | 大学職員、シューカツ人気 「安定、転勤は限定」に魅力 【西部】 |
2010/9/20 | アエラ(032) | 大学職員になりたい ブランド力向上に貢献、数千人応募の狭き門 |
1989/1/26 | 朝日新聞(朝刊・5面) | 男女格差大きい大学職員 |
上記の表は、年代の新しい順番に見出しのみを一覧にしています。そもそも実態を探るにはサンプル数が少なすぎるのですが、近年は職員の高度化や厳しさについて紹介されているのではないかと思われます。
(私個人の感覚ですが、非正規雇用と転職組は他大学の状況を聞いても確実に増えていると思います。)
終わりに
この記事は大学職員が人気職種である事を否定や批判をするものではありません。ただ上記の表にあるように、非正規や転職組の増加、プロ可などは少しづつ進んでいますし、旧来のイメージとは異なる事は知っていただきたのです。それゆえ、自分たちも常に努力をしなければならないと考えています。
また事務作業は基本ですが、それだけをしていればいいわけではなく、根拠や背景を踏まえ、事務作業をこなす必要があります。
最後に余談ですが、先日家族と出かけていると、所属機関の教員から電話が来て、某所の中長期計画や方針と具体化した計画について話し合っているのを(昔、某大学で働いていた)家族が聞いたらしく、「方針や計画策定の仕事をなんで担当してるの?それは先生方の仕事ではないの?」と聞かれました。
人によるのでしょうが、そういう仕事も大学職員であっても担当している大学もあります。また役職が上になればなるほど、こういう仕事が増えていきます。