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IRと大学職員⑧レポート・報告書におけるチェックリスト

 今回のテーマは、IR担当者が行う分析報告の報告書についてです。前回の報告における気をつけている事項について今回は少し報告書をテーマ掘り下げたいと思います。 (事例としてご覧下さい)

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今回はチェックリストとしていますが、中にはなくても良い項目もあります。

①報告書の目的について

●誰を対象としているか

 大学執行部でしょうか、教職員でしょうか、学生でしょうか。対象によって報告書で使用する文言や語句が異なります。また分析結果を記載する上で、様々な図表についてどこまで読み取れるかも想定する必要があります。

 ※相関とは何?この数値だと相関は強いの弱いのかは判断つかない、集団の分布の散らばりの程度は何処を見ればいいのかとか、そもそも何が分からないかが分からない場合も充分ありえます。報告会議で質問が出ない=対象者は分かっているとは限らない事は念頭に置いておく必要があります。

●どのように公開するか

  グラフとかフルカラーで出すと綺麗に見える場合もありますが、50ページもある報告書だとフルカラーで印刷できるかというと、費用面から難しい場合もあります。余裕があれば、フルカラー版と単色(あるいは二色)印刷版を作ってもいいのですが、手間がかかります。PDFのみでの公開であればフルカラーでいいかと思います。そうでなければ2色~3色にしておくと、コピー機の2色印刷(フルカラーより印刷費用が安価)とかあると、使いやすいです。例えば、黒と青にして、グラフは青の基本で作成するとかが考えられます。

 

②報告書の内容について

●目的やその集計分析のクエッションを記載しているか

 調査報告書であれば、調査の目的とその公表が報告書の目的となりますが、様々なデータを組み合わせ情報に変換(集計分析)し、報告書にまとめる場合は、それらの分析の目的を記載したほうが分かりやすいと思っています。なんとなくグラフだけ提示されて説明されるよりも、この集計分析の目的は●●です、このような現状から△△というクエッションが考えられるのでこの分析集計を行う、現状からこのような事が考えられるが数値を用いて証明する、

●使用したデータの説明、調査であれば対象者や回答者数といった情報はあるか

 どのようなデータを用いたのかはきちんと明示しましょう。同じメンバーに定例で報告しているのであればともかく、メンバーも変わるや久々に報告する事項だと、そのデータの持つ意味や調査内容はどのようなものかは報告書を見る側は覚えていない時があります。自分が前提としているものが、相手の前提にはなっていないという事をきちんと踏まえましょう。

●(可能であれば)集計分析結果の概要や要約は入れているか

 これを取り上げた理由としては、①忙しい人に膨大な報告書を渡しても読んでもらえないので、最低限押さえておくべきポイントをまとめる、②統計の知識を含め、グラフを読み取る能力は人それぞれであり、苦手な人もいる為、グラフや図表のみでなく、文字として要約があると伝わりやすい、といった点があります。相手が、比較的理解しやすく、簡易な方法でどのように伝わるかを意識しましょう。

 

③報告書の様式について

●文字の大きさは適切ですか?

 対象者の年齢も加味してください。人生経験が豊富な方達ばかりであれば、文字が小さいだけで読んでさえくれません。あとA4サイズの報告書であれば、全て文字でびっしりも厳しいです。文字の情報量が多い場合は、段組みや文字に下線・太字等、見やすくなる工夫もしましょう。

 

④その他

●集計等の一覧表は作成しているか。

 グラフがあれば、集計表は原則残っていると思います。集計表を報告書の中に入れるかどうかといった議論もありますが、報告書に入れない場合でも集計表はファイルにまとめるなどしたほうが後々楽になります。報告書を見て、この数字を詳しくしりたいとかの要望を受ける時もありました。自分は集計分析報告書と、担当者手持ちの集計表のみをまとめた裏報告書を作成しています。(というより、次に担当になる人が分かりやすいように報告書や集計表を作成するべきですね)

 

 分からない人に分かってもらうにはどうしたらいいか、どんなに良い集計分析であっても相手は理解しなければ意味がない、自分がやっているIRの目的に合えば必ずしも難しい分析を必要としない事(=統計分析を行う事がIRの目的ではない事)は頭の片隅に置いておかないといけないのだろうなと思います。自己満足の世界ではなく、例えば報告書を出す場合に、信頼できる人(集計分析の内容が理解できる人と、例えば若手など集計分析の背景・手法・結果があまり分からない人)に見てもらうなどしてみてもいいかもしれないなと感じます。