学校教育法109条に基づき、7年以内ごとに一回,大学は文部科学大臣の認証を受けた機関(認証評価機関)による評価(認証評価)を受けることが義務付けられています。とは言いましても、現場の方はあまり関係のないこと、学外の方はどういうものかが分からない、評価担当者は準備から含めて大変な数年間と様々なイメージがあるかと思います。
認証評価については、ここでは説明しませんが、近年は認証評価の議論がされていますので、そのあたりの資料を見ると概要が理解できます。
<参考>
中央教育審議会 大学分科会 法科大学院特別委員会(第8回)議事録・配付資料 [資料4−1]−文部科学省
さて、認証評価機関連絡協議会というものがあります。ここには認証評価結果の概況が公開されております。また各大学の取組みの中で優れていると評価されている一覧表も公開されています。
<参考>
この一覧表を見ていると何となくですが、認証評価団体ごとに優れた取組みの傾向が違うのではと思う所がありました。そこで、①大学基準協会、②大学改革支援・学位授与機構、③日本高等教育評価機構に平成27年度受審した(短期大学を除く)大学を対象に傾向を見てみました。
まず対象数ですが次の通りです。
そしてそれぞれどのような点を優れた取組みとして取り上げたのかを、各評価項目ごとに回数を集計してみました。(赤字は気になる数字です)
①大学基準協会
②大学改革支援・学位授与機構
③日本高等教育評価機構
これだけをみると、①は地域貢献の取組みを評価されていることが最も多いです。②は教育内容及び方法が評価されています(ただ、国立大学が受審し、1つの大学で何個も教育内容及び方法が取り上げられていました)。③は学生サービスが最も多いです。それぞれの団体によって評価内容や観点が違うので、横に並べることはしませんが、傾向は少し見えてくると思います。
また対象大学と上記の回数で1大学あたり平均で何個の優れた取組みを評価されているのでしょうか。
これだけを見ると②が突出して高いのが分かります。ただ回数だけ見ても、その認証評価団体がこうだという事にはなりません。寧ろ、このような評価を受ける(優れた取組みを取り上げられる)大学が多いということと捉えられるかもしれません。また先述のように設置形態(国公私)や大学規模なども踏まえる必要があります。
最後に内部質保証や自己点検・評価の項目がどのように記載されているのかを見比べてみます(大学名はとっていますが、見る人がみればわかります)
あくまで一例ですが、この分野は大学基準協会が内部質保証について詳細に評価し、この評価内容だけを見ても優れた内部質保証システムが構築されているのだなと想像できます。(むしろ大学基準協会は内部質保証や自己点検評価について厳しく見ているとも言えるかもしれません)
認証評価団体には優劣はありませんし、各大学はそれぞれの考えがあって認証評価団体を選択しています。きちんと教育の質保証を行うために、各大学が内部質保証を構築することが求められています(平成30年からの認証評価はそのあたりが厳しく見られるとも言われています)
ただ自己点検・評価と内部質保証システムはイコールではありません。各大学が内部質保証を進めるうえでは、自己点検評価と内部質保証の目的や内容についてきちんと説明できる人材を育成することが不可欠ではないかと感じています。