最近の文部科学省の大学教育部会では、3つのポリシーや教育の質保証についての議題があがっておりますが、今年度前期頃には専門的大学職員が議題に出されておりました。
よく考えたら、「専門的」とは何なのでしょう。例えば「専門」「的」に分解してみると、日本国語大辞典には次のように記載されています。
「専門」⇒学問・職業などで、その人がもっぱら研究したり、従事したりしている部門、分野
「的」⇒そのような性質をもったものの意を添える
これだけ見ると「専門職員」でもいいのではないかと思いますが、既に技術専門職員といった使われ方をしていますので、区別化を図る意もあるのかもしれません。
さて、本題ですが専門的職員に関する調査が各大学になされました。
そこでは専門的職員の職務名について次の23を挙げています。
1.執行部による判断等を大学経営全体の視点から総合的に補佐する職務、2.監査、3.IR、4.法務、5.財務、6.広報、7.人事、8.情報通信・IT、9.施設管理、10.入学者受入、11.教育課程編成・実施、12.FD、13.学習支援、14.研究管理、15.研究技術、16知的財産、17.国際、18.地域連携、19.図書、20.就職・キャリア支援、21.学生の健康管理、22.資産運用、23.寄付
大学職員の仕事のかなりの部分を挙げているように感じ取れます。
また大学教育部会の資料では、専門的職員の資格について次のようにあげています。
②資格
○①の職務等に従事する大学職員の採用・登用の要件としている資格等
(例:専門的職員に必須な要件として、
・学位(学士+実務経験5年以上) ・語学力 を満たすことが必要。
同時に、職務に応じて求められる●●●●といった資格を必須とすべき 等)
○当該大学職員が現に有する資格等
○また、①の職務等に対応して、重要になると考えられる資格等
例えば、大学卒で実務経験5年以上ですとハードルが非常に低いのは気のせいでしょうか?それはさておき、今までの大学職員の議論には、ゼネラリスト・スペシャリスト・アドミニストレーターの議論がある事を忘れてはならないと思います。これらを無視する訳ではありませんが、今回のテーマであるハイブリッドな専門的職員という存在について考えてみます。
まず以前こんな記事を書いた事があります。
この記事では、カリキュラム・コーディネーターがアカデミックアドバイザーの業務の一部を担う必要性について述べました。言い換えると、カリキュラム・コーディネーターというメジャーを持ち、アカデミックアドバイザーというマイナーがあるハイブリッドの専門的職員のイメージです。
(ハイブリッドはここでは「一般に、異種のものの合成物。複合。」という意としています)言い換えれば、メインの武器は刀だけど、サブの武器もきちんと用意していて効果的に組み合わせて活用できるといったイメージです。
さてちょっと筋からそれますが、チーム医療という言葉があります。
<引用先>チーム医療推進協議会
病院では様々な職種のメディカルスタッフが働いています。こうした異なる職種のメディカルスタッフが連携・協働し、それぞれの専門スキルを発揮することで、入院中や外来通院中の患者の生活の質(QOL)の維持・向上、患者の人生観を尊重した療養の実現をサポートしています。
各専門スタッフが互いに連携・協働することですが、本来は大学の専門的職員もチーム教育研究を推進するといった方法が最良なのかもしれません。しかし何回も言うようですが、地方の小規模中規模大学では、人員配置の余裕がなく、教務と施設管理といったようにいくつかの業務(分野)を兼務している事も聞きます。また先ほどの専門的職員の調査では23の分野を鑑みると、それぞれに専門スタッフは到底置けません。
そこで先述のように、目指すはチームが理想ですが、ハイブリッド型専門的職員を養成することで小規模中規模大学でも専門スタッフという枠組みを取り入れることができるかもしれません(もちろん、どのように養成するかや人事や待遇などは改めて考える必要があります)
まあそもそも「学位(学士+実務経験5年以上)」で専門的職員と呼んでいいかは懐疑的ではあります。修士号以上が必要とは言いませんが、「他大学で働いた際に同分野でも実力を発揮できるか」がキーではないかと思います。そもそも、同業他社で飯を食っていけないのであれば専門=プロフェッショナルといえないと思うのですがいかがでしょうか?